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雪溶け水溢れる尾瀬を行く【2】 [尾瀬ケ原]

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【雪溶け水をたくさん湛えた上田代の池塘群。尾瀬ヶ原湖も現れた。】

日の出も早まり,今は5時前には陽が昇る。それに合わせて早めに小屋を出た。もう,ヘッドライトも必要無い。
ひんやりと湿った空気が漂う静かな道を急ぎ足で上田代に向かう。
日中は暑くても,この日の朝は木道や湿原に霜が降り,うっすらと白くなっていた。
尾瀬ヶ原湖の水は昨日に比べて明らかに減ったが,巨大な鏡は昨日に引き続き健在である。風のない水面には朝を待つ燧ヶ岳や至仏山がくっきりと浮かび上がっていた。

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【尾瀬ヶ原湖に映る朝の燧ヶ岳】

やがて,至仏山頂全体がピンク色に染まる。そして,いよいよドローンを離陸させる。
朝焼けの空とその空を映す尾瀬ヶ原湖を始めとする数多くの池塘がモニターに映し出される。この時期ならではの,そしてドローンを使わないと決して見ることができない光景が広がる。見慣れた光景も劇的に変えるこの撮影機材は明らかに尾瀬の歩き方や撮影スタイルまでも変えた。
やりたいことはいっぱいあるのに体は一つしかないのがもどかしい・・・。

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【一旦水は引きかけたが,一昨日の大雨だまた復活した。】

年々機材は増え,ザックは体力と反比例して重くなり,以前ほど小回りが効かなくなってはいるが,それらのマイナス材料を補ってあまりあるメリットが得られる。しかし,思うような写真も撮れず,あちこち飛び回るうちに何もない穏やかな朝となった。

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【この日の朝はかなり冷え込み2℃。霜が降りて木道や湿原も白くなっていた。】

平日の早い時間のせいか,下ノ大堀の定番ポイントまで歩く間,全く人に会うことがなかった。
2週間ほど前はまだ雪の下にあったこの場所は,今ではすっかりミズバショウが見頃となっていた。ボクを尾瀬に誘ってくれたこの憧れの光景をゆっくり眺めながら軽めの朝食をとる。清流の流れを見,遠くのカッコウの声を聞きながら贅沢な時間が流れる。のんびりしていると上空をどんどん雲が流れ,絶好の被写体となった。

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【下ノ大堀のポイントのミズバショウ群落。いい形の雲が流れてくれた。】

ちょっとベンチで休み,龍宮の出入り口,長沢のミズバショウ群落の様子を確認して龍宮小屋に向かった。
今年はこの木道周辺がかなりシカに踏み荒らされていると感じた。長沢のミズバショウの群落地も激しく掘り起こされていた。
その横には,今年もシカの食害調査ための柵が空しく立っている。
調査のための調査では何も変わらない。調査はもういいから本格的な対応を望むばかりである。何のための調査なのか甚だ疑問になる。

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【間もなく月が昇る頃。至仏山や景鶴山には既に月の光が当たって浮かび上がる。】

約一月ぶりの龍宮小屋。小屋主さんと談笑してから荷物を小屋に預けて尾瀬ヶ原を半周することにした。
あのトガクシショウマの咲き具合も確認したいし,身軽になって見晴経由で赤田代に向かう。
温泉小屋ではヘリが荷物を運んではそれを小屋に運び込むなど本格的なシーズンを前に慌ただしく準備が進められていた。
ちょっと雪の多い山道に進むが残雪の残り具合は予想以上に大きく,トガクシショウマの見頃はずっと先と行った感じがした。
東電小屋経由で龍宮小屋に戻る。

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【ミズバショウのブーケ。こうしてまとまって咲いているのを何カ所かで見かけました。】

前日の寝不足解消とこの日の夜に備えて部屋でちょっと横になる。尾瀬でこんな時間に休むなんて何と贅沢なことか・・・
おかげで頭もスッキリ! 入浴や夕食を早々に済ませ,夕刻の撮影に備えた。
夕方はピーカンで思うような夕焼けにはならなかったが,この日も満天の星が尾瀬を包んだ。

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【オチクラミズバショウ。今年はなぜか多く見かけました。】

この日も雪溶け水溜まる龍宮付近の池塘に行き,カメラを持ち出して星の撮影を行った。
至仏山の中腹辺りを赤い光が左右に移動する・・・ 何だろうと思い確認するとシカの調査のためにドローンを飛ばしているという。
そう言えば昨夜も夜中にドローンらしきものが飛んでいた。
月が昇る時間帯になると,至仏山や景鶴山に月光が当たり明るく浮かび上がる。何とも幻想的な光景を目にすることができ満足の2日目だった。

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【リュウキンカも大きな株は木道と木道の間で見かけるくらいになってしまいました。】
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よしころん

素晴らしくてため息がでます♪
by よしころん (2019-05-31 17:31) 

Aqua

>よしころんさん
コメントありがとうございます。朝靄や朝霧はちょっと上に上がると幻想的な光景を目の当たりにする事ができます。NHKの取材班がドローンを使って取材していたのが一昨年。それ以来病みつきになってます。
by Aqua (2019-05-31 23:25) 

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