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黄金色の湿原【2】 [尾瀬ケ原]

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天気予報では雨は降らないが朝から曇りの予報が出ていた。いつもなら撮影を済ませてからゆっくり朝食をとるパターンなのだが,今回は見晴に宿泊している関係上,しっかり昨夜の内に朝弁当を受け取り,早朝の出発に備えた。

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【霜が降りてもおかしくない気温だが,湿原内の草や木はしっとりと朝露に濡れていた】

しかし,天候は急速に下り坂になってしまい,出発を予定していた5時頃,窓から見る尾瀬ヶ原は,朝靄が出ているもののどんよりとした雲が低く垂れ込めていた。部屋でのんびりしていても仕方がないので,予定通り早々に小屋を後にする。天気は良くなかったが,せっかく来たのだからとドローンを飛ばしたり,接写をしたりしながらゆっくりと山の鼻に向かう。

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【しっとりとした空気に包まれた朝を迎えた尾瀬ヶ原(空撮)】

ところが,歩いている内に徐々に雲が薄くなり,時折,日が射し始めた。ヨシッポリ田代につく頃,突然朝の光が湿原を照らした。朝露にびっしょりと濡れた樹木や高山植物に付いた小さなしずくが光の球となってこぼれ落ちる・・・。諦めていた気持ちがここに来て一気に切り替わり,何度も何度もシャッターを切る。

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【一瞬の光が朝露で濡れた湿原を照らすと,空気感が一変する】

のんびりと朝食を食べていたら間違いなく見逃したであろう短い時間だったが,とても充実した瞬間だった。その後も,乾き切った風が吹き抜ける湿原に,時折日が射す天候に変わったが,朝の瑞々しい空気とは明らかに違っていた。

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【爽やかな朝の息吹に包まれて,清々しい一日のスタートが切れた】

東電小屋のベンチでゆっくりと朝食をとる。ふと辺りを見回すと,尾瀬を取り囲む山々は,間違いなく昨日よりも秋の色に変わっているように感じた。十日もすれば,全山燃えるような鮮やかな色に包まれるに違いない・・・。その時もう一度訪れられたらいいなと思った。

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【日に日にその色を濃くするトチノキ】

今日は土曜日。「Go To Travel」のキャンペーン等の影響か山の端からは次から次へと多くの登山者とすれ違った。未知のコロナに対する試行錯誤の対応は山小屋にも求められ,尾瀬の日常は今までの尾瀬とは少し異なってはいるが,あたり前に繰り返されていた尾瀬の日常が戻る日もそう遠い日ではないかも知れない。
【空撮に当たっては,国交省DIPS・FISS登録,関係機関への連絡調整済みです。】

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てばまる

空っと秋晴れの尾瀬ヶ原としっとりした尾瀬ヶ原両方楽しめたのは良かったですね。ほんとにあっというまに季節が過ぎてしまって気が付けば秋本番ですから、何とか今年も新雪を踏んで終わりたいですが・・
by てばまる (2020-10-12 09:21) 

Aqua

コロナ騒ぎでドタバタしているうちに尾瀬のシーズンは終わろうとしていて,本当に悔いが残ると言うか,残念すぎる年になってしまいました。それなりに意味のある年ではありましたが,正直もう少し尾瀬に行きたかったというのが正直なところです。
最後は白い尾瀬を見て締めたいですね・・・
by Aqua (2020-10-18 16:10) 

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