SSブログ

秋は夕ぐれ・・・ 【2】 [尾瀬ケ原]

10.jpg
【夕霧漂う湿原に沈む上弦の月とひときわ輝く木星】

10月15日(金)(快晴)
月没時刻が午後11時30分前後である事を確認し,アラームをセットして一眠りした。アラームに起こされて小屋から窓の外を確認すると夜霧にうっすらと浮かぶ至仏山の直ぐ上に月が輝いていた。撮影をしようとカメラを持って小屋から出る頃には,明るさが少しずつ失われ,月の赤みが増していくところだった。急いでカメラをセットして数枚撮影した。数分後には霧に霞んだ至仏山の右肩に沈んでいった。月が沈んだその後にはぼんやりとした余韻と満天の星空が残された。遠くの池塘には月の撮影をしていたと思われる明かりが点滅していた。たぶんMさんだろう・・・。この夜の主役はやはり月。星の撮影もそこそこに切り上げて部屋に戻った。

20.jpg
【朝靄に浮かぶ燧ヶ岳から登る朝日】

モルゲンロートが始まるのはこの時期になると5時30分前後と真夏の頃に比べ,1時間以上遅くなる。木道の資材の置かれていないヨッピ方面に向かうことを考えて,4時30分に起き出し,5時には小屋を出る。玄関先にはMさんのスリッパが並べて置いてあった。見習わなくては・・・。

30.jpg
【モルゲンロートの尾瀬ヶ原】

小屋を出ると周囲は朝靄に包まれているが,上空には青空が広がる。クマとの遭遇による事故防止のため木道の周りの草は刈られていて朝露に足下がビショビショにならずに済むのはありがたい。ヨッピ橋に向かうとだんだんと東の空は明るくなるが,朝靄が濃く,ビーナスの帯や朝の濃紺からオレンジ色に変わるあの独特の色合いの変化を見ることができないのは寂しい。

40.jpg
【龍宮小屋前に出現した白い虹】

朝陽が至仏山を赤く染め始める時間になっても一向に朝靄が晴れる気配はない。何とかつながる携帯でライブカメラを確認すると,至仏山の周囲には雲はなさそうだ。これなら,上空に出れば間違いなく至仏山や燧ヶ岳が見えるはずだと思い,真っ白な湿原からドローンを上空に飛ばす。あっという間に朝靄を飛び越え,上空に広がる至仏山や燧ヶ岳が織りなす光景がモニタに映し出された。時間とともに赤い光が照らす範囲は広がるが,見える景色に大きな変化はない。

50.jpg
【上空から見た白虹。靄や霧が朝靄の上空にもあれば円になるのだが・・・】

光が湿原を照らす時間になると,朝靄も急激に動き始め,樹林帯から登る太陽がだんだんはっきり見えるようになる。この光があれば・・・ と太陽の反対側に目をやると,湿原の池塘の上にうっすらと待望の白い虹が架かる。今回はこの白虹と最盛期の紅葉が見たかったので,上空で地上で夢中でこの白虹をカメラに記録する。
撮影に没頭していると時間を忘れてしまうが,朝食の時間はとっくに過ぎていた。

60.jpg
【東電尾瀬橋付近の只見川周りの紅葉】

小走りで小屋に戻り,朝食を食べていると小屋の前には小屋主さんを始め,宿泊客が何人か集まっている。見ると,この日一番はっきりした白い虹が,小屋の前に架かっている。しかもこんな時間に。急いで朝食を済ませ,カメラを持って外に出るが,その時もまだ白い虹は見えていた。この周辺はやはり条件的に白い虹が見やすい場所である事を実感した。その後は急速に朝靄が移動し,雲一つない秋空が昨日に引き続き広がった。

70.jpg
【華やかだった尾瀬の紅葉も終盤戦】

龍宮小屋での今年最後のドリップコーヒーをじっくり味わいながら小屋主さんと談笑し,今年のお礼を言って龍宮小屋を後にする。
時間もあるし,天気も良いので尾瀬ヶ原をぐるりと回ろうと思い,見晴に向かう。今週末で今年の営業を終える山小屋が多く,既にいくつかの山小屋の周囲は雪囲いで囲まれ,間もなくシーズンが終わることを嫌が上にも感じさせていた。
東電小屋のヨシッポリ田代,只見川の拠水林の紅葉はややピークを過ぎてはいたが,最後の華やかな姿で出迎えてくれた。この日も相変わらず一日中雲のない天候で撮影には困ったが,紅葉に染まる尾瀬ヶ原の様子をスナップし,ドローンで空撮しては鳩待峠に向かった。

*空撮にあたっては,DIPS・FISS登録,関係機関への連絡・調整済みです。

80.jpg
【ヨシッポリ田代付近から見た紅葉の尾瀬ヶ原と拠水林】
nice!(14)  コメント(0) 

nice! 14

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:[必須]
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。