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■草紅葉の季節[2] [尾瀬ケ原]

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【広がる雲海に満ちあふれる朝の光】

 10名ほどの宿泊者が寝静まる龍宮小屋の周囲を真っ白な霧が覆う。小屋周辺が朝靄に覆われるのはいつものこと。必要な荷物だけを持って,小屋のWi-Fiに繋いで状況を確認すると,晴れの予報のままだがライブカメラは暗くて様子が分からない。仕方なく情報収集は諦めて,小屋を後にする。

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【180度向きを変えると,雲海上には白い虹が広がる】

 真っ白な朝霧に覆われ鳥や虫の声も全くない静かな木道を辿ってヨッピ橋方面に向かう。木道周辺はすっかり仮払いされているため,靴やズボンが朝露でビショビショになってしまうことがないのはありがたい。いつもなら霧が晴れる時間帯になっても周囲の様子は一向に変わらない。今日は,霧が濃いのかも知れないと思い,状況が改善するのを待ちきれず,ドローンを上空に飛ばす。

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【ヤマドリゼンマイ黄葉と白い虹】

 朝靄が立ちこめていても,いつもならほんの数秒で,朝靄の上にから真下に広がる朝靄の彼方に燧ヶ岳や至仏山を見ることが出来るのだが,今回はそうはいかない。いつもよりもはるかに長い時間をかけてやっと雲海の上に出ることができた。

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【朝霧が晴れて,やっと初秋の朝が訪れた・・・】

上空は願い通りの青い空が広がり,雲海の彼方には尾瀬を取り囲む山々が聳えていた。雲海の上に日が射し込むと漂う雲が朝の光を受けて赤く染まる。荘厳な朝のドラマの始まりである。上空に行けば早い日の出となり,低空になるほど雲や周囲の山の遮られて日の出は遅くなるが,その分赤さは失われてしまうので,ちょうどいいタイミングだった。

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【ヤマドリゼンマイの黄葉が進む尾瀬ヶ原】

 しかし,この時間帯は,雲海を撮影してしまうとそれほど変化がないので,30分ほど飛ばしてから撤収した。この日は,靄と言うよりは霧で,空気中を漂う水滴の粒も大きく,比べものにならないくらい濃かったので,暫く待ってもこの霧が晴れることはなさそうだったので,一旦小屋に戻って朝食を食べてから出直すことにした。こんなことなら,朝弁にしておくべきだったな・・・・。

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【漸くヤマドリゼンマイも黄色く色付き始めました】

 急いで小屋に戻り,朝食を済ませて部屋を片付けて小屋を出るまで,この霧は晴れることはなかった。食事中に霧が晴れ,この日のクライマックスを見損なったら,絶対に悔いを残す結果となったと思うが,朝食が終わるまで何とか霧が晴れるのを待っていてくれたようで嬉しかった。あわてて食べたので消化不良気味だが,また同じ道を通ってヤマドリゼンマイのポイントに着く頃,上空を覆っていた霧が少しずつ晴れ,青い空が見え隠れする。そして,隙間から漏れた光が湿原を覆う朝霧に射し込み・・・ 白い虹が現れた。

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【進む尾瀬ヶ原の草紅葉】

 黄色に染まったヤマドリゼンマイの群落の上に低い白い虹がアーチを架ける。時刻は7時30分を回り,太陽も高くなっていたため,その分,虹は低くなる。慌ただしく地上の様子を撮影してからドローンを上空に向かわせると,あっという間に霧が消えてしまった。雲も霧もないピーカンの空の下の湿原では少し物足りない。贅沢は言うまい・・・。このような完璧な条件で撮影できるのも中々ないことなので,じっくり空撮して再度,龍宮小屋に戻った。

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【初秋の空を映すイモリ池】

 小屋では,朝の清掃が始まっていたが,この後は鳩待峠経由で帰るだけと決めていたので,小屋の常連のHさんと談笑したりてまったりと過ごす。10時ごろまでだらだらして帰路につく。まだまだ強い秋の日差しを受けて黄金色に輝く湿原を撮影をしながら,鳩待峠に着いたのは16時頃だった。

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【ダケカンバも少しずつ色付き始めました】
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