白虹空撮 [尾瀬ケ原]
【白虹を上空から見ると中央部分はブロッケン現象,周囲は大きな逆半円の白虹になるようだ】
この夜は月白虹も出たようだが,月夜だからと早々に星の撮影を諦め,4時頃までぐっすり寝てしまった。昨日,雲の多かった空もスッキリ晴れ,朝靄もしっかり出ている。これなら待望の白虹に会えるかも知れない・・・。
【白虹を少しだけ上空から・・・】
朝食はとらずに上田代に向かうと,逆さ燧の池が近くなるにつれ,朝靄に浮かぶ人の影が多くなる。しかし,上田代付近は朝靄がそれほど濃くない。
【ドローンの35ミリメートル換算24mmレンズ(35mm換算)では全景は収まらない】
ここでは白虹との対面は叶わないだろうと判断して中田代に向かう。朝靄の動きを統計的に見てみると,中田代付近は朝靄の量が多い上,遅くまで残っている。龍宮付近で白虹の目撃情報が多いのは,その朝靄の動きと湿原に朝日が差す時間が,絶妙なタイミングでシンクロしているからだろう。できることなら条件のいいところで・・・と歩いて行くと,どんどんと朝靄は濃くなるが周囲が明るくなってくる。
【激しく動く朝靄に浮かぶ燧ヶ岳】
ベンチに荷物を下ろし,その時を待っていると,光は差さないものの,至仏山側に薄く白いアーチらしきものがぼんやりと見え始めた。間もなくはっきりした白虹が出る・・・。そう確信して,ドローンの出発準備をしていると,待望のくっきりとした大きな白虹が目前に現れた。この時を待っていた・・・。願ってもないこの時間を無駄にしないように,急いでドローンを上げる。
【朝靄の隙間から緑の湿原が見える】
朝靄の上空に出ると,モニターには雲海に浮かぶ燧ヶ岳や朝靄に覆われた尾瀬ヶ原が見える。周囲の様子を撮影したり,スチルを撮影したりしていると,突然「モーター異常」の警告が出る。暫く朝靄の中を飛び,モーターが濡れてしまったのが原因かも知れない。確かにモーター音も普段聞き慣れない音を発していたので,心配になって一旦着陸させて機体をチェックした。
【トキソウ】
【ホソバノキソチドリ】
その間も,白い虹はずっと出続けている。イチデジで写真を撮る余裕は全くなく,再びドローンを上げる。先ほどの教訓から,今度はできるだけ早く機体を朝靄の上空に上げてみる。パノラマ撮影の間,地上でも静止画の撮影をするなど慌ただしく動き回る。
【ヤマドリゼンマイの道】
そのパノラマ撮影が何故かうまく機能しない。地上が朝靄でぼんやりしているため,ソフト的に写真の接続がうまくできないようだ。朝靄が薄くなった時に何回かチャレンジしてやっと成功・・・。上空での試行錯誤が長時間続いたが,その間20分以上,ずっと白虹は出続けた。
【ヤマドリゼンマイ群落】
今回の尾瀬の最優先事項だった白虹の撮影を終え,ホッと一息。朝靄の消えた散歩道をゆっくり歩いて,龍宮小屋に。小屋主さんからコーヒーを頂き,朝食を終えて次々に小屋を後にする人を見送る。その中に1年ぶりに会う巻島さんの顔もあった。
【今年はヒオウギアヤメ,カキツバタが超当たり年。あちこちに群落ができていた。】
小屋主さんに話を聞くと,今日の白虹は龍宮十字路付近よりも,僕がいた場所の方が条件的に良かったようだ。荷物を預かってもらい,身軽になって尾瀬ヶ原の散策に出た。ヤマスタのスタンプラリーに参加するため,見晴,元湯山荘,東電小屋,ヨッピ橋でチェックインし,のんびりと花を愛でながら龍宮小屋に戻る。
【午後になると夏特有の入道雲がたくさん現れた】
その後も,空撮を楽しみながら鳩待峠に戻った。今回天候や条件に恵まれ,目論見通り,至仏山・白虹の空撮が実現でき,心に残る尾瀬歩きだった。
【ドローンでの空撮に当たり,関係各所に許認可を頂いて撮影しています。】