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光と水が作る風景【2】 [尾瀬ケ原]

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【 ↑↑↑↑↑ 上空を覆っていた低い雲が朝陽に染められ真っ赤に燃え上がった ↑↑↑↑↑ 】

昨夜は,月が沈む頃に外の様子を確認すると,草むらからはあちこちで虫の声が響き,空には大きな月暈がかかっていた。
気温もかなり下がっており,昨日,8月としての最低気温を記録したのも頷ける。
星の撮影は諦めざるを得なかったが朝靄が出ていたので,明日の朝に期待して早めに寝ることにした。

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【 ↑↑↑↑↑ 雲の隙間から朝陽が漏れ出す。太陽が昇る位置も随分南に移動した。 ↑↑↑↑↑ 】

4時に起床して,下の大堀付近に向かう。上空は多くの雲に覆われ,朝靄も少なめだ。
東の空には黒い雲が居座り続けており,期待していた白虹は今回は無理だろうなと思っていたが,日の出の時刻になるまでは雲もだんだん薄くなり,隙間が広がった。

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【 ↑↑↑↑↑ 地上3mから見る白虹 ↑↑↑↑↑ 】

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【 ↑↑↑↑↑ さらに上空から見ると白虹は円形に・・・ ↑↑↑↑↑ 】

その隙間から漏れた光が上空を覆っていた雲を茜色に染め上げていく。このところ朝焼けや夕焼けを見るチャンスに恵まれているが,その中でも上位に位置する見事さだ。さらに,日の出の時刻になると,東の空から湿原に光があふれ出した。
ひょっとするとと思い,白虹のを確認するとやはり出ていました・・・お目当ての白虹が。

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【 ↑↑↑↑↑ 龍宮小屋付近の湿原に広がる指紋状地形 ↑↑↑↑↑ 】

ドローンによる空撮をしようと急いで準備をして飛行開始。
今回の朝靄は下の大堀・イモリ池上空に偏っているのでそこを中心に撮影した。
朝靄はやや薄いが,朝靄を通して至仏山や湿原が見えるので寧ろ好都合だ。
それほど長い時間ではなかったが,撮りたかった白虹を撮影してゆっくり朝食を味わう。

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【 ↑↑↑↑↑ ヤマドリゼンマイも少しずつ色づいてきました ↑↑↑↑↑ 】

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【 ↑↑↑↑↑ 秋風に揺れるダケカンバ ↑↑↑↑↑ 】

その後,龍宮小屋でのんびりしてヨッピ経由で帰宅した。
午後は近づいている台風の影響か,風も強まってきたのでドローンでの撮影はできなかった。
途中,Facebookの友達繋がりで新しい出会いもあった。尾瀬の秋の始まりと尾瀬人との繋がりを実感した今回の尾瀬だった。

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【 ↑↑↑↑↑ ちょうど見頃だったアケボノソウ ↑↑↑↑↑ 】

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【 ↑↑↑↑↑ ツルニンジンは愛嬌のある面白い形をしています ↑↑↑↑↑ 】

【ドローンでの空撮に当たっては,各種法蓮を遵守し,関係各所に許認可を頂いています。】
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光と水が作る風景【1】 [尾瀬ケ原]

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【 ↑↑↑↑↑ 月暈のかかった月がゆっくりと至仏山に沈んでいきます ↑↑↑↑↑ 】

一時の灼熱地獄のような天気が嘘のように朝夕は涼しさを感じる毎日が続いている。
そろそろ尾瀬も秋の装いを始める頃だ。その変化を見極めたくて,2週間ぶりの尾瀬に向かう。

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【 ↑↑↑↑↑ 今回たくさん見られたイワショウブ ↑↑↑↑↑ 】

この日を選んだのは,少しでも人混みを避け静かな尾瀬を歩きたいとの思いからだ。
お盆過ぎのこの時期は,尾瀬も一段落して閑散としていることが多いが駐車場には車が溢れていた。
青い空が覗く鳩待峠。車の割には人も少なく閑散としている。
アヤメ平に向かう選択肢もあったが,天候も予報ほどよくないので山の鼻に向かった。

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【 ↑↑↑↑↑ ウドの実。森の中の線香花火のようです。 ↑↑↑↑↑ 】

森の中は,オオバタケシマランやサンカヨウの実,カニコウモリ,トリカブト等の花が目に付いたがめっきり寂しくなった。
山の鼻は下山する登山者で賑わっていた。
研究見本園で昼食をとってのんびりしていたが,天候は急激に回復しそうにもないので,龍宮小屋に向かう。

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【 ↑↑↑↑↑ ジョウシュウトリカブト。この淡いグラデーションが素敵です。 ↑↑↑↑↑ 】


上田代付近に差し掛かると湿原の中に数人の人影が見える。今年行っている湿原調査の調査班の人たちだろう・・・
人通りも少なくなったので,ベンチに荷物を置いて空撮を行う。
ちょっと前は鮮やかな緑色の絨毯を敷き詰めたような湿原も,いつの間にか赤茶けた模様が見られるようになった。
午後3時を過ぎるとすっかり人通りも少なくなり,湿原を吹き抜ける風や虫の声が大きく聞こえる。

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【 ↑↑↑↑↑ 上空から見るケルミシュレンケ複合体 ↑↑↑↑↑ 】

小屋に向かおうとすると下山する神﨑さん,湿原調査中の安類さんに次々にお会いして,いろいろと貴重なお話を聞くことができた。
この日は夕方まで薄い雲に覆われていたため写真的な成果はほとんどなかったが,最後の最後に日暈や月暈のかかった写真撮ることができた。

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【 ↑↑↑↑↑ 日没時には日暈も見ることができました。 ↑↑↑↑↑ 】
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真夏の尾瀬縦断【3】 [尾瀬沼]

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日に日に天候が安定してきている。日中もずっと晴れたままだ。
こうなると尾瀬ヶ原の白虹が気になる。無い物ねだりしても仕方がないが,尾瀬沼はほとんど白虹は期待できない。
たまに尾瀬沼の白虹写真を見かけるが,それこそ,オコジョを見るくらい貴重な体験なのだ。
この日の朝も早々に白虹を諦めた。風があって朝霧さえ漂っていない。

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【↑↑↑↑↑ 夜明け前の尾瀬沼 ↑↑↑↑↑】

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【↑↑↑↑↑ 朝陽を浴びる三本カラマツ ↑↑↑↑↑】

少し早めに起きたが,そんなこともあり月明かりの尾瀬沼周辺と星の撮影を試みた。
そして,徐々に星は消え,空の明るさが戻ってくる。
さらに,朝陽を浴びた周囲の山々を撮りたくてドローンを飛ばした。
頭の中ではこういう映像が撮りたいとは思うのだが,なかなかドローンが言うことを聞いてくれない。
悪戦苦闘するうち,朝食時間となったので小屋に戻る。相変わらず早いほうとは言えないので急いで食事を済ませる。

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【↑↑↑↑↑ 浅湖湿原の朝の様子 ↑↑↑↑↑】

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【↑↑↑↑↑ 尾瀬沼東岸の様子 ↑↑↑↑↑】

今日は下山するだけなので,久しぶりに尾瀬沼でのんびりした。
あっちこっちフラフラしながら早稲の砂布(わせのすなっぷう)付近でもじっくり腰を下ろして撮影タイム。
今日は土曜日。流石に好天の夏休みの週末とあって,行き来する人も急激に増えた。

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【↑↑↑↑↑ 尾瀬の三大役者揃い踏み ↑↑↑↑↑】

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【↑↑↑↑↑ 尾瀬沼の中心で何を叫ぶ? ↑↑↑↑↑】

森が強烈な日差しから守ってくれる。冷たそうな沢の水音や小鳥のさえずりに交じって,
時折強く吹く風に吹かれた木の葉が擦れ合い涼しげな音を奏でる。
こんな,天国のような場所から徐々に茹だるような灼熱地獄の現実に引き戻されていく。
この3日間はこんな素敵な場所で素晴らしい景色に巡り会うことができ夢のような時間を過ごすことができた。
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【↑↑↑↑↑ 早くも咲き出したヤナギラン ↑↑↑↑↑】

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【↑↑↑↑↑ ヤマトリカブト ↑↑↑↑↑】

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【↑↑↑↑↑ ジョウシュウトリカブト ↑↑↑↑↑】
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真夏の尾瀬縦断【2】 [尾瀬ケ原]

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尾瀬でネットが繋がるのは本当にありがたい。
SNSに今日の写真をアップしたりコメントに返事を書いたりしているうちに眠くなってそのまま眠ってしまう。
ふと気付くと午前3時。部屋の窓から湿原の様子を確認すると朝靄が湿原に立ちこめていた。
白い虹が見えるまで,この状態が続くことを願ったが,押し寄せる雲に抗うことはできず,
必要な機材を持って小屋を出る頃には上空は一面灰色になった。

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【↑↑↑↑↑ 朝靄に覆われる尾瀬ヶ原 ↑↑↑↑↑】


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【↑↑↑↑↑ トンボも朝靄の水分で濡れたまま休憩中 ↑↑↑↑↑】

日の出の時間になると少しずつ雲が切れて,空の一部が茜色に染まるが,良かったのはそこまで。
急激に天候が回復することはなく,時間と共に朝靄も消えていく・・・ 今回も白虹をと期待していたが,見ることは叶わなかった。
このまま終わるのも寂しいので,せめて上空からの朝の尾瀬ヶ原を撮影しておこうと空撮を試みる。
上空から見る光景は何度見ても素晴らしいが,やはり光があるとないとでは大違い。結局,一回飛ばしただけで小屋に戻る。

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【↑↑↑↑↑ ドクゼリ。見た目は丸くてかわいいのですが・・・ ↑↑↑↑↑】

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【↑↑↑↑↑ ヤマウルシも既に紅葉。 ↑↑↑↑↑】

朝食後は,淹れ立てのコーヒーを飲みながら,出発していく人を見送ったり,小屋主さんと話したりしながら出発までの時間をまったりと過ごす。
龍宮小屋付近には特徴的な指紋状の地形があるというので上空から撮影してみることになり,向かったのは中田代のテラス。
木道工事の資材運搬用のヘリが何度も行き来する中,その間隙を縫ってドローンで撮影した。
見慣れない不思議な光景がモニターに映し出され,ちょっとビックリ。

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【↑↑↑↑↑ 不思議な指紋のような地形 ↑↑↑↑↑】

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【↑↑↑↑↑ ヒメオオクワガタのメス ↑↑↑↑↑】

今日は尾瀬沼までのメインルートを歩くだけなので,それほど急ぐ理由はないが,
朝は雲に覆われていた湿原も,今はもう雲一つない好天になった。
日差しも強く,一刻も早く森の中に隠れたい・・・ 段小屋坂入り口の見晴に着いた時にはほっとした。
このルートはほとんど森の中を歩くルートだし,沢を横切る箇所も多く,冷たい水が確保できるのがありがたい。

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【↑↑↑↑↑ 沼尻休憩所のパラソル ↑↑↑↑↑】

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【↑↑↑↑↑ 沼尻の上空から ↑↑↑↑↑】

汗ばむ体を冷やしながら,着いた沼尻。
再建された休憩所のテラスには4つの大きなパラソルが並び,その下で多くの人が休憩していた。
形は違ったが再建できたことは何よりだ。ただ,まだ工事は続いており,正式に営業を始めたと言うよりは仮オープンに近い。
一旦小沼湿原からの空撮を行い,北岸道を通り今日の宿泊先である長蔵小屋に向かう。

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【↑↑↑↑↑ 沼尻の上空から ↑↑↑↑↑】

湿原内はサワギキョウ,ウサギギク,チョウジギクが既に見頃だった。
トリカブトやヤナギランなどいつもはお盆の頃に見頃となる花も咲き出していた。
この暑さからして,秋が急速に来るとはとても思えない状況ではあるが,植物は何故かその準備を急いでいた。

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【↑↑↑↑↑ 尾瀬沼の夕暮れ ↑↑↑↑↑】

長蔵小屋でも宿泊客はそれほど多くなく30人前後。今日も個室での宿泊となった。
今日もまた早々に入浴,食事を済ませて撮影に備える。そして,この日もまた期待通りに焼けてくれた。
上空に長く延びた雲が夕方の赤い日差しに照らされて紅色に染まる。
この様子を見に来ていたのは一家族だけだったが,日が暮れるまで同じ場所に陣取りこの様子を眺めた。
そして,少しだけ空撮も試みた。今日もまた天候に恵まれた素晴らしい一日となった。

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【↑↑↑↑↑ 月明かりに照らされる三本カラマツと火星 ↑↑↑↑↑】

【 追 加 】
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【↑↑↑↑↑ 治右衛門池とタソガレ田代 ↑↑↑↑↑】
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真夏の尾瀬縦断【1】 [アヤメ平]

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前回の尾瀬を歩いて既に1か月が経ち,尾瀬はワタスゲやニッコウキスゲの季節を飛び越え,既に晩夏の様相さえ見せている。
連日続く観測史上の最高の暑さからの避暑を兼ね尾瀬に向かった。
鳩待峠から,まず向かったのはアヤメ平。いつもならキンコウカが見頃となる時期だ。
しかし,異例ずくめの今年は既にピークは過ぎていると思われたが,できたらその名残だけでも見たいと思った。

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【↑↑↑↑↑ 崖の側からみたアヤメ平 ↑↑↑↑↑】

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【↑↑↑↑↑ 池塘の周りはキンコウカの咲き終わりがたくさん ↑↑↑↑↑】

好天の予報を信じて疑わなかったが,期待も空しく空は一面の雲に覆われている。
そんな天候もあって森の中は幾分気温が低いが,湿度は高く,少し歩くだけでも汗が滴り落ちる。
所々にアリドオシランやツルリンドウ等の花もあり,撮影に時間をかけては,ちょっと一息つく。
やっと着いた横田代やアヤメ平は,黄色いキンコウカに覆われていたが,花の見頃は完全に過ぎていた。残念・・・。
天気は相変わらずで空撮する気分ではなかったが,暫く飛ばしていなかったので練習を兼ねて飛ばしてみる。
晴れていたら最高なんだけどなぁ・・・

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【↑↑↑↑↑ アリドオシラン ↑↑↑↑↑】

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【↑↑↑↑↑ ツルリンドウ ↑↑↑↑↑】

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【↑↑↑↑↑ トモエソウ ↑↑↑↑↑】

ここまで登ってくると暑さは気にならない。吹き抜ける風も爽やかだ。
花の写真やドローンでの撮影にじっくりと時間をかけていたため予定よりも遅くなってしまった。
先を急がなくては・・・。人通りの少ない長沢は,平日と言うこともあり,行き交う人はほとんどいない。
静かな尾瀬を満喫できたが,人通りのない薄暗い道を一人で歩いているとやはり心細い。
いつもの龍宮十字路が見えてきた時にはホッとした。

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【↑↑↑↑↑ 夕暮れの龍宮十字路。低い雲が西の空の半分を覆い隠していました。 ↑↑↑↑↑】

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【↑↑↑↑↑ 空の色を映して池塘も綺麗に染まります ↑↑↑↑↑】

ちょっと一休みして,龍宮小屋の受付を済ませる。今日の宿泊者は9名。平日ということもあり,小屋の中はひっそりとしている。活気のある小屋もいいけれど,こういうのもありだなと思う。早めに風呂や夕食を済ませ撮影に備える。
小屋主さんの話ではここ連日のように夕焼け空が見れているという。確かに空もだんだん明るくなり,焼けそうな気配だ。
カメラを抱えて池塘の傍で待っているとだんだん東の空が赤く染まってきた。池塘も空の色を映してオレンジ色に染まっている。東の空だけでなく西の空も真っ赤だが,下にある低い雲に阻まれて一部見えないのは非常に残念だ。ここまでそれほど写真が撮れなかったのでほっと一息。
薄暗くなるまで撮影していたが,一旦部屋に引き上げる。

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【↑↑↑↑↑ 龍宮小屋の上に広がる天の川 ↑↑↑↑↑】

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【↑↑↑↑↑ 大接近を終えたばかりの火星と天の川。戸倉の光害が気になります。 ↑↑↑↑↑】

天気は確実に回復している・・・ これなら星景写真撮影も可能か。
月が昇る前に撮影しなくてはと思い,消灯時刻を待って龍宮十字路へ。願い通りの満天の星空だ。
南天には大接近を済ませた火星が赤く大きく輝いていた。天の川もはっきりと見えていた。
心置きなく星の撮影をして,満足の一日となった。終わりよければ全て良し・・・だ。
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