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大霜降る晩秋の湿原 【2】 [尾瀬ケ原]

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【ドローンでの空撮に当たっては,各種法令を遵守し,関係各所に許認可を頂いています。】
シーズン終盤になると,日の出が6時頃となり,ゆっくり休んでいても撮影に遅れることはない。
それでも冷えた体が温まるとつい寝過ごしてしまう。危ない,危ない・・・
必要な物だけをもって山小屋を出る。木道にはびっしりと霜が降り,滑り止めなしでは歩けない。周囲の木々にも真っ白に霜が降りている。文句の付けようのない完璧な「大霜」だ。
願ってもない光景を目の前にして心が踊る。

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【細い枝までびっしり付いた大霜】

ナナカマドの実や枯れてしまった小さな枝も真っ白な霜の飾りを纏って一気に華やいでいる。
前日ただの枯野原だった湿原が,神秘的かつ幻想的な光景に包まれる。「心洗われる光景」という言葉はこういう光景を言うのだろう。

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雲一つない空が徐々に明るくなる頃,湿原に淀んでいた朝靄が流れ,周囲をゆっくり漂う。
そして,赤い光が至仏山や景鶴山の山頂から湿原へと時間をかけて降りてくる様子が,朝靄のベールを通して確認できる。

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取り敢えずこの光景を何枚か写真に収めたら,直ぐにドローンで空撮だ。
ザックに付いた簡易気温計を見ると-6℃。この温度でドローンの電池は大丈夫なのか?ドローンのレンズは霜で曇ることはないのか?一抹の不安を抱えながらドローンは離陸した。上空から見るとかなり広い範囲が大霜に覆われている。

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大きなカラマツもその先端まで真っ白だ。
そして,朝靄の漂うエリアにドローンを向かわせると,期待通り下半分半円の白い虹が現れた。
白い虹は朝靄と日光さえあればいつでも撮影できるのだろう。

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しかし,大霜がやはり一番綺麗なのは地上の近くである。地表近くが水分が多く霜が付きやすいしはっきり見えるが,上空からだと,全体的に白っぽくなった草紅葉の湿原という感じでやや神秘性が薄れる感じがする。
空撮では,長時間撮影しても電池を暖めたのが良かったのか電池に関するエラーも霜による曇りもなく一通り撮影できた。

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しかし,この間地上では,朝の光に照らされた湿原ではたくさんの木々や草に付いた大量の霜が時間と共にどんどん落ちていく・・・。空撮もしたいし,地上でもじっくり撮りたい。どちらを優先すべきか悩みながら,慌ただしく撮影を行う。

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魔法が解けたかのように,神秘的な光景から徐々に晩秋の見慣れた光景に変わっていく・・・
そんな季節と時間の移ろいを感じながら小屋に戻って遅い朝食となる・・・ m(_ _)m

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前回置いてきたザックに全ての物を詰め込むと結構重い。果たして背負うことは可能かちょっと心配だったが,何とか持つことができた。これなら持って帰れそうだ・・・ 場合によっては寄っていこうと思っていった尾瀬沼は当然ながら諦め,まっすぐに帰ることにした。
しかし,歩いていると荷物の重さで肩が圧迫されるせいか,右手が痺れる。

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そのたび毎にゆっくりゆっくりあちこちのベンチで休んでは,秋の日差しを浴び,乾いた秋の風を体で感じながら間もなくシーズンを終える尾瀬歩きを楽しんだ。

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大霜降る晩秋の湿原 【1】 [尾瀬ケ原]

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【しんしんと冷える夜,ゆっくりと霜が降りていく・・・】

前回の尾瀬で肩を脱臼し,荷物を山小屋に預けて帰宅した。尾瀬ではあちこちの山小屋も今年の営業を終え,シーズンもいよいよ終わろうとしている。小屋の営業が終わる前に預けて置いた荷物を取りに行かなくては・・・

ケガの具合は順調に回復し,痛みも治まってきたが,ここでまた転んでは元も子もない。できることならなるべく天気の良い日に行こうと思い,天気予報を確認してベストと思える日に出かけた。
雲一つない完璧な青空が広がる鳩待峠。カメラや三脚のないザックの何と軽いことか・・・。 毎回これなら尾瀬歩きも相当楽しめるのだが・・・。

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昼に近いため,濡れていた木道も乾き,歩きやすかったが,やはり,森の中や階段は慎重にならずにはいられない。前回ケガをしてから僅か2週間。そう簡単にあの時の痛みは頭から消えない。
紅葉していた葉もほとんど落ち,明るくなった森を一歩一歩ゆっくりと下る。

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通常よりも時間をかけて山の鼻に到着。荷物も軽いし,天気もいいのでもっと早く着きそうなものだが・・・ 
前回は見渡す木々が真っ赤に染まり,正に紅葉の最盛期といった感じだったが,周囲の山々の紅葉ほとんど終わり,尾瀬の秋の最後を飾るカラマツの黄葉がちょうど見頃を迎えようとしていた。
さらに,遠くに響く鹿のラッティングコール,湿原を吹き抜ける乾いた風・・・ 湿原は一気に晩秋の装いに変わっていた。

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龍宮小屋に着き,預けた荷物の整理も一段落。この日の宿泊者の中にFacebookで知り合ったYさんやこの時期いつも長期滞在するTさんと談笑して楽しい時間を過ごす。
夕焼けも期待したが,完璧すぎる空には最後の最後までほとんど雲が現れることはなく,夕焼けは望むべくもなかった。

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これなら・・・と月白虹や星景写真撮影の期待も高まる。
そして,消灯前に月夜の撮影を試みたが,その時は月も高い上,夜霧もそれほど出ていなかったのでちょっと物足りなかった。

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午前3時前に起き出し,外の様子を眺めるとちょうど月が低い位置にあって間もなく沈もうとしていた。さっきよりも条件が良さそうなので,カメラを持ち出して1時間程度撮影をする。
ちょっと体も冷えたし,疲れたので中休みに,一旦小屋に戻る。この時,既にかなり霜が降りていて,木道はツルツルとよく滑る。サンダル履きで出てきたことが悔やまれた。

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【月が沈んだ後の空にはオリオン座が・・・ この日はオリオン座流星群が少しだけ見れました。】
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錦秋の尾瀬を歩く [尾瀬ケ原]

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紅葉のピークを迎える尾瀬を訪れようと,台風一過の10月の3連休,1泊で尾瀬を歩いてきました。
台風の影響も残り,初日は昼頃まで小雨が降ったり,強風が吹いたりとちょっと荒れ気味の天候。
それでも少しずつ天気は良い方に向かい,夕方には星が見えるまでに回復しました。

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しかし,2日目は朝から曇り空・・・
天気もなかなか思うようにはいかないけれど,兼ねてから撮りたかった紅葉の三条ノ滝の撮影に向かいました。
途中,濡れた木道に足を取られ前のめりに転倒。手の付き方が悪く,右肩を脱臼・・・
何とか荷物を小屋まで運び,荷物を預け,その後の撮影は諦めて(痛いのを我慢してスナップ程度には撮影しました),そのまま病院に直行しました。現在は徐々に回復に向かっています。

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初日の夕刻と次の日の朝,少しだけ空撮も行いました。
光溢れる錦秋の尾瀬の空撮ができなかったのがどうにも心残りです。
【ドローンでの空撮に当たっては,各種法令を遵守し,関係各所に許認可を頂いています。】

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