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巡る季節の中で【2】 [尾瀬ケ原]

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【朝陽を浴びて,より一層秋色が深まる湿原】
[空撮に際しましては,関係諸機関への連絡・調整・届出等を行い,許可を得ております]

やや雲が多いものの,月が沈む夜半には回復するという予報を信じて2時頃に起きて小屋の外を眺めるのはいつものおきまりの行動パターン。しかし期待に反して雲は多いまま。星の撮影はできないと諦めてまた部屋で横になる。

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【東の空のオレンジ色に光る雲の切れ間から燧ヶ岳が顔を出す】

撮影準備の物音で自然に目が覚める。4時30分。相変わらずどんよりとした雲が空を覆い尽くし,周囲は薄暗いが,先に外で待機する尾瀬仲間を追って外に出る。

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【朝日を浴びて,眠たげな湿原もやっと目覚めたようだ。】

日の出の時間になっても雲の消える気配はない。おまけに風も強く,朝靄に包まれるような気象条件にはほど遠い。いくら待っても今日はだめかなと思い,朝食の時間までぼんやり過ごすつもりでいると,所々上空の雲が切れ,そのエリアを広げていく。

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【今年は気温が高いせいか,いつもよりも草紅葉の進行は遅れているようだ。】

東の空に広がった雲の切れ間から時折燧ヶ岳が顔を覗かせる。劇的ともいえるほど急速に雲が動き出し,時折湿原に光を落とす。その光がスポットライトとなって,ダケカンバを照らす・・・。この光景を見た時,今朝は飛ばすことはないと思っていたドローンを離陸させた。

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【青空と白い雲を写す初秋の池塘と湿原】

スポットライトはあちこちに動き回っていたが,その明るいところを目指して飛行させた。朝の斜光線に浮かび上がる初秋の湿原。拠水林もダケカンバも長い影を落としていた。短い時間だったが,朝の光が幻想的な光景を見せてくれた。ドローンが戻る頃にはまた雲が多くなったので朝食をとるために小屋に戻る。

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【地上ではあちこちに光が動き,やがて目の前のダケカンバにスポットライトが当たる】

いつもよりも早い時間,それもほとんどのメンバーが顔を揃えての朝食は珍しい・・・。(^^;
食後のコーヒーを戴きながら,ゆっくりとした時間を過ごす間も外の天気は急速に回復していった。気付くといつの間にか,風は強いものの,ほとんど雲のない晴天となっていた。

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【ヤマドリゼンマイの黄葉もまだまだ。このまま暫く霜が降りなければ良いのだが・・・】

小屋の前でいつもの記念撮影を済ませた後は,山ノ鼻小屋で一緒に昼食をとることにして,それぞれ思い思いのルートで下山となった。ボクははじめはヨッピ橋経由で帰ろうとしたが昨日通らなかった下の大堀を経由することにした。じりじりと刺すような強烈な太陽の日差しは今日もあるが,昨日以上に爽やかな乾いた風が湿原を吹き抜け,心地よい。
初秋の風景をカメラに収め,山の鼻小屋でオフ会のメンバーと昼食をとり解散となった。

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【初秋と言うには若干早い気がするほど,暑い2日間だった。】

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巡る季節の中で【1】 [尾瀬ケ原]

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【夕食後,湿原の傍らに三脚を立て夕焼けを待つ。至福の時・・・】

2005年から14年も続くオフ会。ネットで知り合った尾瀬好きの仲間が毎年一度尾瀬の山小屋で顔を合わせている。集まる時期やメンバーは変わってはいるものの毎年盛況で,この日がくるのを楽しみにしていた。

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【湿原も確実に茶色に変色し,徐々に秋への準備を進めていた。】

ちょうど台風が上陸しそうなので,天気が良いうちに撮影をしておこうと,いつもより早めに入山することにした。久しぶりに晴れたためかこの時期にしては入山者も多く,鳩待峠に向かうバスは超満員で蒸し暑かった。鳩待峠着,8時30分。バスから出ると雲一つない空から夏のような日差しが容赦なく降り注ぐが,乾いた風が吹き抜けていた。

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【池塘はヒツジグサなどの植物に覆われているものが多かった。】

森の中で盛んに聞こえていた鳥の声や花の姿はめっきり少なくなり,所々にあるツタウルシなどが一部紅葉し,本格的な秋が近いことを実感する。山ノ鼻に着くと見慣れたザックが山小屋の入り口に置かれていたので中を覗くと,何と写真家の新井幸人氏だった。ちょっとあいさつを済ませ,研究見本園に向かう。

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【池塘のヒツジグサの紅葉のグラデーションが鮮やかだ。】

明日雨が降ったり風が吹いたりしたら,飛ばせないので,真っ先にドローンを飛ばした。
ドローンから見る湿原の色はひと月前とは明らかに違っていた。そして,池塘に写る青い空と白い雲・・・ やっぱり空から見る画像は面白い。
一回フライトして一息ついたので,研究見本園のベンチで簡単に昼食をとる。尾瀬仲間の何人かは既に龍宮小屋に着いているようだ。

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【いつもより少し早く咲き出したエゾリンドウ】

まだ時間はあるので上田代周辺をフライトしたり,ヨッピ経由でヤマドリゼンマイの紅葉の進み具合を確認したりしながら龍宮小屋までゆっくり歩く。湿原の草紅葉の進み具合もヤマドリゼンマイの黄葉も,気温が高いせいなのか例年よりは遅れているようだ。ゆっくりと秋色に模様替えが進む湿原の中でひときわ目立つのがエゾリンドウ。他にウメバチソウ,ミヤマアキノキリンソウ等の湿原の花の最終ランナーが競って咲いているのを見ると今年もシーズンが終わるのだなぁと実感する。

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【ヤマドリゼンマイの黄葉はいつもよりも遅れているようだ・・・】

小屋にいつもより早めに到着して,尾瀬仲間の集まるのを待つ。皆それぞれのペースで尾瀬を楽しみ,徐々に尾瀬仲間が顔を揃える。オフ会前だが,小屋主さんを交え久しぶりの再会に話が弾んだ。

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【ナナカマドやヤマウルシの紅葉は遠くからも目立つ。】

夕食後,雲は多いが夕焼けを期待して湿原傍にカメラを設置して待つ。青い空が黄からオレンジ,そして赤に変わるのをぼんやりと眺めている時間は,何物にも代えがたい贅沢な時間である。
大勢の尾瀬仲間がカメラを構える中,少しだけ空も焼け,日が暮れていった。

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【見た目以上に秋への準備は急速に進められていた。】

暗くなってからJUNさんによる星空観望会が行われ,宿泊者が熱心に望遠鏡をのぞき込み,月のクレーターや木星,土星等の姿を確認していた。いったん部屋に戻り,小屋の食堂にいつものように尾瀬仲間が集まる。今回は都合がつかないメンバーも多く,参加者はいつもより少なめだが,たもあみさん夫妻も参加して賑やかに会は進んだ。

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【台風が接近している影響なのか,強い風が湿原を吹き抜けていた。】
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