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梅雨明けの尾瀬を歩く【3】 [尾瀬沼]

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【尾瀬沼を見守るように広がる銀河と夏の大三角】

7月20(火)(晴れ時々曇り)
上弦の月が沈む頃,上空を確認すると気持ちよいくらいに空一面に夏の星空が広がる。準備しておいた三脚を持って小屋の外に出ると,目の前をライトに照らされたたくさんの霧が行き交う。明朝は朝靄が期待できるかも知れない・・・。沼畔に三脚を立ててじっくりと星を撮影する。登山者も皆,寝静まり,物音一つ聞こえない静かな尾瀬沼を見下ろす天の川が尾瀬沼上空に大きく横たわり,夏の大三角が明るく輝く。

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【水分が多いせいかいつもより長い時間,朝靄が大江湿原を覆った】

他にも小屋の周辺で何枚か撮影したが,撮影開始が遅かったせいか,それほどしないうちに空が明るくなり始めたので,一旦小屋に引き上げた。1時間にも満たなかったが,尾瀬の夏の夜の満天の星空を貸しきりで堪能させてもらった。
宿泊者が寝静まり,静かな小屋の中を静かに部屋に戻り,一旦休憩。

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【定番ポイントから見る朝靄の大江湿原】

冷えた体が温まり,気持ちよくなったせいで、少し寝過ごした感じだが,再度必要な機材だけを持って小屋の外に。やはり,期待通り大江湿原にはいつも以上の朝靄が立ち込めていた。元長蔵小屋横のテラスでは,数名のカメラマンが三脚を立ててスタンバっていた。朝靄越しにうっすらと山頂が赤く色づいた燧ヶ岳が見える。既に上空では,モルゲンロート劇場が始まっているに違いない。

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【少し上空から。朝靄に包まれる大江湿原の朝】

そこで数枚撮影して,大江湿原に移動する。やはりキスゲは少ないな・・・。かつても裏年にはこのようなこともあったが,最盛期のニッコウキスゲの群落を知る者としては,今の尾瀬の状況はやはり寂しさを感じてしまう。しかし,数も分布している場所も限られるが,ちょうど見頃を迎えたニッコウキスゲが朝露に濡れ,小さなしずくの球をたくさん蓄えて朝陽が射すのを健気に待っていた。

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【今年のニッコウキスゲは時期的には見頃でしたが,完全な裏年でした】

ここで空撮開始。既に燧ヶ岳山頂を照らしていた朝陽は,尾瀬沼西岸を照らし始めていた。朝靄も大江湿原付近に澱んだままだ。試行錯誤しながら空撮に没頭していると,いつの間にか大江湿原にも光が差し込む。うまくすればここで白い虹が見れるかも知れない・・・。よく目を凝らすと朧気ながら三本カラマツを取り囲むように半円のアーチが見えた。

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【動き始めた朝靄に朝日が差し込み幻想的な光芒があちこちで見られた】

初めて尾瀬沼で見る白虹。大江湿原は地形の関係もあって,湿原に日が射す遅い時間まで朝靄が留まることが少ないため白い虹を見る機会がほとんどない。自分自身,今まで写真で見ただけで実物を見たのは初めてである。上空でドローンを飛ばしていたので,上空から見た大江湿原の白虹の撮影が一段落してから地上からも撮影した。しかし,この頃にはちょっと薄い白虹となってしまったのはちょっと心残りではある。

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【尾瀬沼で初めて見た白虹を少し上空から】

それにしても,予想以上に条件に恵まれた朝だった。大江湿原を少しだけ散策して,小屋に戻り朝食をとった。
久しぶりに太郎さんと談笑して,荷物を纏めて小屋を出る頃にはすっかり夏空が広がる真夏の尾瀬が目の前に広がっていた。

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【大江湿原で見る白虹。上空からパノラマ撮影】

夏の草が青々と茂る早稲の砂風のベンチに荷物を下ろし,最後の空撮を行い,尾瀬を後にした。梅雨明け10日。比較的天候は安定していたものの雷雨あり,夕焼けあり,白虹ありで充実した3日間を過ごすことが出来た。

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【朝靄立ちこめる尾瀬沼の朝】

*空撮にあたっては,DIPS・FISS登録,関係機関への連絡・調整済みです。
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梅雨明けの尾瀬を歩く【2】 [尾瀬ケ原]

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【尾瀬沼で見る夏の夕暮れ】

7月19日(月)(晴れ時々曇り)
昨夜は条件が整えば星景写真の撮影をしようと考えたが,目が覚めた時には,龍宮小屋周辺は濃い霧に覆われていてとても無理そうだったので,この日の星の撮影はは諦めて寝不足を解消すべく早々と休んだ。

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【朝靄に包まれた森に朝日が差し込む。光芒が美しい。】

目が覚めた時には,既に日の出時刻を回っていた。必要な荷物だけを持ち,この日はヨッピ橋方面に向かう。気付くと,木道を覆うように伸びた草に付いた朝露が靴やズボンの裾をいつの間にかビショビショに濡らす。ネットで確認すると至仏山頂は既にモルゲンロートに染まっているようだが,尾瀬ヶ原は相変わらず深い朝靄に覆われ,目の前の景色は一向に変わらない。そろそろいいかなと思い,途中からドローンを飛ばす。100mも上げると尾瀬ヶ原に澱んだ朝靄を突き破り,朝陽に染まる燧ヶ岳と至仏山が顔を見せる。モルゲンロートに染まる至仏山に燧ヶ岳の影が重なる。

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【はっきりくっきり完璧な白虹が見れました】

尾瀬ヶ原に朝の光が届くまでにはもう少し時間がかかるので,変化の乏しい上空で暫く撮影を続ける。この時期は,山の鼻やヨシッポリ田代付近が真っ先に,朝陽に照らされるようだ。湿原の様子が変化するまで空撮を一旦休止して,地上の撮影を始める。朝露に濡れるヤマドリゼンマイ。朝靄が激しく蠢く湿原。しっとりとした夏の朝を満喫していると,やがて周囲が明るくなる。そろそろ湿原の朝日が射し込む頃だ。目を凝らすと目の前には大きなアーチが現れ,時間とともによりくっきりとした白虹になっていく。すかさずドローンを上空へ。地上から見た白虹が,上空から見るとドローンの影を中心にした大きな円に変わる。

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【上空から見る白虹の一部】

朝日が当たると朝靄が激しく動き,その分布の濃いところと薄いところが出来る。その朝靄の薄いところを通して朝陽を反射して眩しく輝く池塘が見える。この時間帯しか見れない光景を心ゆくまで撮影してドローンを戻す。所々朝靄が残る朝の湿原を横目で見ながら急いで小屋に戻る。
朝食や出発準備を済ませてゆったりと朝のコーヒーを頂く。深い朝靄や完璧な白虹を撮影できて,今日やるべきことはほとんど済ませた気分である。あとは気儘に尾瀬沼に向かうのみ。

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【朝のドラマの終焉。これからが暑さの本番です】

弥四郎清水で冷たい水を補給して見晴で情報収集。尾瀬ヶ原を後にして段小屋坂を登る。まだ10時だというのに既に蒸し暑い。イヨドマリ沢や谷筋を歩く時には,冷気が澱んでいるためホッとする。重い荷物と腰の痛みを堪えながら白砂峠を越え,尾瀬沼へ。

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【白砂湿原・盛夏】

沼尻の休憩所もトイレも今シーズンは開いていないが,休憩所周辺ではたくさんの人が休んでいた。ここで昼食休憩と空撮をするために大休止していたが,この日も遠くで雷の音が聞こえ出し,急速に雲が広がる展開に。

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【沼尻付近には藻がびっしり覆い尽くし,不思議な色彩を放っている】

急いで昼食を済ませた後は,空撮を取りやめて長蔵小屋に向かう。
昔から「コバイケイソウの当たり年はキスゲ等の花が不作」と言われていたし,SNSの情報でも今年のキスゲはそれほど良くはなさそうだったが,それは間違いではなかった。時期的にはちょうど見頃なんだけどなぁ・・・

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【空高く伸びていた入道雲も夕陽に染まる】

受付を済ませ,部屋で寛いでいると予想通り雨が降り出した。入浴後食事を済ませて尾瀬沼の畔でのんびりする。燧ヶ岳上空に現れた入道雲が夕陽に染まり美味しそうな綿菓子のようだ。昨日のような派手な夕焼けにはならなかったが,徐々に暮れていく尾瀬沼の夕暮れを暗くなるまで楽しんだ。

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【一番大きな入道雲が燧ヶ岳山頂にかかり夕陽に染まっていた】

*空撮にあたっては,DIPS・FISS登録,関係機関への連絡・調整済みです。
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梅雨明けの尾瀬を歩く【1】 [アヤメ平]

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【久しぶりに尾瀬ヶ原で見るスケールの大きい夕焼け】

7月18日(日)(晴れのち曇り,雨のち晴れ)
コロナ禍による規制や自粛要請,オリンピックの無観客での開催など暗いニュースばかりが続く毎日。閉塞感で息も詰まりそうになり,暫くぶりに尾瀬の空気を吸いたくなった。新種のウィルスへの対応に右往左往する人間を尻目に,季節は確実に移ろい,鬱陶しい梅雨も明けた。ネットに溢れる情報では,今年のニッコウキスゲはあまり期待できないようではあるが,気分転換には行くしかない・・・

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【横田代全景】

睡眠時間もほとんど取れないまま早朝に出発。鳩待峠に着いたのは9時頃となった。梅雨明け後の好天とキスゲのシーズンとあって最近の尾瀬に比べて入山者は明らかに増えている。相変わらずコロナ罹患者は多いのだが,ワクチン接種も進み,人の移動も活発になっていると感じた。

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【夏雲を映すアヤメ平の池塘と燧ヶ岳】

好天で風も少ないのでドローンを飛ばしていると,突然,安類さんが目の前に。お約束の飛行許可を得ているかどうかの確認だという。
至仏山は入山規制解除後,間もないとあってかなり混雑しているようである。キスゲはそれほど期待できないので,今回はまず,アヤメ平に向かう。

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【アヤメ平の池塘群と至仏山】

ここ数日,それほど雨が降っていないせいか登山道がぬかるんでいたり,木道が滑りやすくなっていたりすることもないのは嬉しい。強烈な日差しを遮ることの出来る樹林帯歩きは心地良い。ただこの日は,湿度は極めて高く,風もないためサウナにでも入っているように汗が滴り落ちる。しかも替えたザックのバランスが悪く,少し歩くとかなり腰にくる。1時間も歩くと,青空と真っ白な入道雲を映す池塘の傍で,ワタスゲが揺れる横田代の一角に飛び出す。いかにも夏の尾瀬といった感じだ。
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【涼風吹きぬける夏のアヤメ平】

ベンチに荷物を下ろし,横田代やアヤメ平の空撮を開始。吹き抜ける風は爽やかだが,日差しはジリジリと突き刺すように熱い。行き会う人もそれほどなく,ほぼ貸切状態で撮影を終えたが,アヤメ平に着く頃から急速に雲が多くなり,遠くで雷鳴も聞こえるようになった。

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【夏雲湧くアヤメ平】

崩れるとしても暫く先かなと高を括り,のんびりと昼食をとっていたが,思いの外,急激な天候の変化に慌てて長沢道に逃げ込む。暫くすると大きな雨粒が激しく降り出した。ザックカバーをつけ,滑りやすくなった木道を気をつけながら龍宮十字路へ。個人的に長沢道で一番歩きにくいと思うのは,土場~長沢頭までの雨に濡れた木道だったが,ここに新しいゴムの滑り止めが全面に張られたのは非常にありがたいと感じた。

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【一部にはワタスゲが咲き残っていました】

小降りになる頃,龍宮十字路へ。雨が激しかったためか湿原を歩く登山者は少ない。午後の柔らかな日差しに照らされて,雨上がりの湿原はきらきらと輝いていた。虹も出るかなと期待したが,見ることは出来なかった。そのまま,予約してあった龍宮小屋に向かう。コロナ対策で受け入れ制限をしているが,この日は20名程度の宿泊者があって賑わっていた。

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【早くもたくさんのアキアカネが飛び交っていました】

夕食後,携帯だけを持って辺りをうろうろしていたら,空の雲が焼けそうな気配になってきたため,急いでカメラを取りに小屋に戻る。それでも,西の空は低い雲に覆われていたので,それほど焼けることはないかなと思っていたが,みるみると広い範囲が赤く染まり,ここ数年で一番の夕焼けとなった。

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【池塘に映る夕焼け雲が妙に綺麗でした】

*空撮にあたっては,DIPS・FISS登録,関係機関への連絡・調整済みです。
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