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謹賀新年 [御挨拶]

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新年明けましておめでとうございます。
昨年はいろいろとお引き立てをいただきありがとうございました。
本年度も引き続き宜しくお願いいたします。

また,1月27日より2月2日まで「富士フイルムフォトサロン 東京」にて有馬雅美写真展を開催予定です。
お忙しいことと存じますが,是非御高覧いただけますよう謹んでお願い申し上げます。
https://fujifilmsquare.jp/exhibition/230127_02.html
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有馬雅美写真展の御案内 [御案内]

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有馬雅美写真展「尾瀬夢幻 ~水が織りなす美しき世界~」を以下の日程で開催いたします。
お忙しいことと存じますが,是非とも御高覧を賜りますよう,謹んでお願い申し上げます。
皆様のお越しを心よりお待ちしております。
(申し合わせにより,祝花は堅くご遠慮申し上げます。)

【日時】2023年1月27日(金)~2月2日(木) 10:00~19:00
    ( 最終日は16:00まで,入館は終了10分前まで)
【場所】富士フイルム フォトサロン 東京 スペース2
    ([六本木]東京ミッドタウン フジフイルム スクエア内)
【作品】B0/全倍/全紙,カラー,51点(予定)
    今年の新作を追加した他,写真集の写真を10点以上差し替えました。 
  
                      
■フジフイルムスクエア 公式サイト
https://fujifilmsquare.jp/exhibition/230127_02.html

■写真集「尾瀬夢幻 ~水が織りなす美しき世界~」(日本写真企画) 先行販売中
http://www.arima.jp/syashinsyu.htm
【ISBN】978-4-86562-141-9
A4ヨコ/100ページ/オールカラー/上製本/定価3300円(税込)
全国有名書店・ネット書店にて取扱中

#尾瀬夢幻 #有馬雅美
#富士フイルム フォトサロン 東京 #写真展 #個展
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■いきなり晩秋,そして初冬へ[3] [尾瀬ケ原]

□10月22日(土)くもり
天気予報では午前中から徐々に天気が悪くなる予報だったが,それが前倒しになったようで,日の出の時刻になっても朝靄に覆われることも空が焼けることもなく,穏やかな朝が訪れた。静かな尾瀬沼の畔でたくさんの水鳥がせわしく餌を啄んでいた。長蔵小屋の周辺や大江湿原をゆるゆると散歩して,小屋に戻って朝弁当を食べる。

このところ朝弁当にすると決まって天候が崩れる。寧ろ,普通に朝食を頼んでおいた方が,撮影の好条件に恵まれるという皮肉な結果になっている。もっとも,スマホが使えない状況で好条件に巡り会ったとしても,肝心の空撮ができずにがっかりするのは目に見えていたのだが・・・。

太郎さんや小林さんに今シーズンの御礼を言って,小屋を後にする。今日は尾瀬を堪能できる最後の週末とあって,沼山峠からはたくさんの人が次々に押し寄せる。その中にKさんもいて,久しぶりに談笑することが出来た。沼山峠に着く頃には,少し日差しも出てきたが,低い雲が優勢で条件的には余り良くない。

しかし,当初の予定であった尾瀬の滝巡り4つめの滝「抱返の滝」を見るために,沼山峠休憩所脇の道を下る。実はこの滝を見ることも,このルートを歩くことも初めてである。地図では沼山峠休憩所から僅か25分程度と書いてあったが,高低差は200m以上はあった。

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【初めて見る抱返の滝】


道標が出てきたのでその方向に進むと直ぐ目の前に大きな岩盤を這うように流れる抱返の滝があった。水量は思ったよりも少なめだが,間近に見る滝は紅葉の森に見守られて静かに流れ落ちていた。もっと水量の多い時期にも見てみたいものだ。

見たかった滝を見ることができたので,七入には向かわず踵を返す。人通りのほとんどない寂しい道だが,古い木道や階段などが所々にあり,歴史とどこか懐かしさを感じさせる登山道は,帰りには登りがきついと感じる場所も一部あったが,沼山峠のこんな近くにこのような場所があるならもっとアピールしてもいいのでは・・・と思った。

シャトルバスに乗り込み御池に戻り,車で5つめの滝「モーカケの滝」に向かい,車に置き忘れた予備のiPhone7を使って空撮をすると,展望台からは見れないモーカケの滝の全容をはっきりと捉えることが出来た。周囲の紅葉と相まってこの滝の美しさを再認識した。6つめの滝として「竜ノ門の滝」の撮影も考えたが,現在は展望台への道が通行止めとなっているので断念せざるを得なかった。
*空撮にあたって,DIPS・FISS・機体登録,関係機関への連絡・調整済みです。

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【上空から見るモーカケの滝】

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■いきなり晩秋,そして初冬へ[2] [尾瀬ケ原]

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【真っ白な霜が降りた湿原に朝の光が舞い降りる】

□10月21日(金)快晴
雲も夕焼けも一切なく満天の星空が輝く尾瀬ヶ原。寝る前にちょっと湿原に様子を見に行くと,かなり冷え込み,湿原には既に少し霜が降りていた。明日は期待できそうだ。この時期になると撮影で忙しくなる日の出の時間帯は午前6時前後。その1時間ぐらい前からガサゴソと動き回る人の物音で目が覚め,ぼんやりした頭で少しずつ撮影の準備を進める。今回に関しては晴れを疑う余地は全くなく,期待していた霜がどれくらい降りているかが気になる・・・。

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【大霜の朝は空気が冷えすぎるため朝靄は出ないことが多いがこの日は違った】

恐る恐る確認すると,湿原は期待以上に真っ白だ。近くのダケカンバやカラマツの先端まで真っ白だ。大霜であることは間違いなかった・・・。心躍らせながら,滑り止めを装着して薄暗い湿原に。頭上にあった満天の星は数を減らし,下弦の三日月が輝く。行き先をシカ柵を撤去した下の大堀にするか,ヨッピ橋方面にするか決めていなかったが,湿原を見るとヨッピ橋の方に朝靄が漂っていたので,それに吸い寄せられるように足が自然とそちらに向かう。

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【枯れて寂しげだった湿原が一気に華やぐ瞬間】

時間とともに今回の大霜の全容がはっきりしてきた。ここ数年見ていないくらいのレベルの大霜である。何処にカメラを向けても絵にはなるが,どんなふうに切り取ったら良いものやら・・・。大霜の日は相当冷えるので朝靄はそれほど出ないのだが,今回は例外的に朝靄も出ている。

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【湿原だけでなく,周囲の木々もj霧氷が付いて真っ白になっていた】

まずは,その朝靄が消えてしまわないうちに何とかしようとドローンを離陸させる。湿原,拠水林など辺り一面真っ白だ。しかも,朝靄がより一層幻想的な雰囲気を醸し出している。一通り写真撮影,ビデオ撮影を済ませていったん着陸させ,スマホ,デジカメ,デジイチで忙しく周囲の様子を撮影する。

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【朝陽を浴びて,大霜が一斉に煌めき出します】

気温-6℃。漸く朝日が湿原を照らす時間帯になる。朝陽を浴びて輝く大霜は最強だ。空撮を始めると地上の撮影が出来ないので,この時とばかりに夢中でカメラであちこちを撮影しまくる。その時間が長すぎたのかいざ空撮を再開しようとした時,事件は起こった。空撮になくてはならないスマホが真っ暗な画面のまま全く反応しなくなったのだ。以前尾瀬仲間からも聞いていたので,冷えすぎてバッテリー保護機能が働いたのだと直ぐにピンときた。暖めれば元に戻るだろうとたかをくくりポケットにスマホを入れ回復するのを待ったが結局,家に戻るまでスマホが復活することはなかった。(>_<)

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【紅葉と大霜が同居する晩秋の龍宮小屋】

空撮は諦めざるを得ず,仕方なくデジカメやデジイチでの撮影を続ける。しかし,今日一番の撮影チャンス時に空撮できないとは何とも無念だった。悔やんでも悔やみきれない。いつもなら予備に持っていたスマホを忘れたのも気の緩み・・・。大いに反省させられた。

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【湿原に鏤められた宝石の数々】

まだ大霜の光景は広がっていたが,気落ちしていつもよりも早めに小屋に戻り朝食をとる。ロビーで出発前に小屋主さんと話していたら,あちこちに撮影に出かけていた知り合いが次々と戻って来た。大霜を撮影できて満足そうな顔が並ぶ・・・。空撮は出来なかったが,大霜の撮影は出来たのだから,次にかけようと気を取り直して小屋を出た。

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【カラマツもそろそろ見頃となった長蔵小屋付近】

この後は,時間とともに増す膝と足首の痛みが心配だが,段小屋坂を経由して尾瀬沼に向かう。見晴の山小屋も開いているのは少数派になり,晩秋の段小屋坂を行き来する登山者もほんの僅か。より一層寂しさが漂う晩秋の雰囲気いっぱいの道を足を庇いながら時間をかけて尾瀬沼に到着。早々に長蔵小屋にチェックインして寛ぐ。いつもなら空撮に時間を取られるが,それがないとなると手持ち無沙汰だ。少し休んだら膝の痛みも和らいだので,デジカメだけ抱えて大江湿原や小屋の周囲でスナップ撮影。夕食の時間を待って今年最後の尾瀬の山小屋での夕食を味わって,この日も早々に休んだ。
*空撮にあたって,DIPS・FISS・機体登録,関係機関への連絡・調整済み。

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■いきなり晩秋,そして初冬へ[1] [裏燧・澁沢]

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【辛うじて間に合ったが,御池田代の紅葉も終盤】

□10月20日(木)快晴
間もなく開催される写真展に向け,10月だけで3度目となる予約を入れたが,10日前にも出かけていたので今回は天候が悪ければ無理に行かなくても良いかなと思っていた。しかし,完璧な晴れの予想に行かないわけにはいかない。

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【登山道に散り敷いた落ち葉もまた綺麗でした】

コロナの影響なのか,どの山小屋も小屋締めの日が例年よりも早い。先週末,尾瀬は紅葉シーズン真っ只中で多くの登山者で賑わっていたのに,もう今週末には尾瀬の山小屋のほとんどが,全ての営業を終える。せめてその前に,最後に山小屋を宿泊してゆっくり尾瀬を撮影しようと考えた。紅葉の名残や,初霜・初氷・初雪など初冬の贈り物を期待して入山するコアな尾瀬マニアも多く,知り合いに出会うチャンスも多いのでそれも楽しみだ。

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【燧ヶ岳・至仏山と燧裏林道の傾斜湿原 上田代,横田代(空撮)】

今年は紅葉の見頃が遅れ,先週末が尾瀬ヶ原周辺の紅葉のピークだったと聞く。それから,僅か4日ほどしか経っていないから,場所によっては紅葉が綺麗なところもあるに違いない。できたら,その紅葉を絡めて尾瀬の滝を撮影しようとの思いを強くした。

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【渋沢の大滝(空撮)】

ブナ林の紅葉が美しいルートを快適にドライブしながら御池から入山した。駐車場が平日ということもあり,それほど混雑していない。御池田代や姫田代の紅葉はすっかり赤茶色に変色していて,時期的には見頃は完全に過ぎていたが,赤茶系の色とりどりの山々もまた味わい深いものがある。ひとたび森に入ると,遅れて黄色く染まったブナやミズナラがあちこちで出迎えてくれた。しかし,ほとんどの紅葉は落葉し,登山道を埋め尽くしていた。この落ち葉をガサゴソとかき分け,踏みしめながら歩くのはいかにも晩秋の山歩きといった感じである。反面,岩や登山道が見えにくく転んだり,滑ったりする危険性もあり,いつもよりも時間がかかる。また,この朝は相当霜が降りたらしく,午前10時頃になっても日陰の木道には霜が溶けずに残っていて,極めて危険な状態だった。

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【紅葉のトンネルの中を歩いていると,身も心も清められていくような爽快感を覚える】

高い頻度で入山しているので,山歩きの持久力は復活したが,逆に下山時に痛めた膝や足首が回復する暇もなく,それを庇ってゆるゆると歩いて渋沢の大橋へ。そこから渋沢の大滝の空撮を試みる。滝は山間の電波の届きにくい場所にあるため思うように撮影できないが,何とか撮影し三条の滝へ。

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【錦秋の三条の滝(空撮)】

燧裏林道の醍醐味は,途中のブナ林の紅葉である。今年は時期的に遅すぎたが,この赤茶けたブナの紅葉のドームの中を歩く気分は何物にも代えがたい。所々に見られる透過光越しの鮮やかな紅葉もまた美しい。兎田代過ぎ,急峻な道を下り,三条の滝展望台に着くが既に閉鎖中だった。仕方なく,ドローンを飛ばして滝の様子を撮影する。モニタ越しに見る三条の滝は,一時よりもその水量は減ったものの爆音とともに激しく水飛沫をあげていた。

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【激しく流れ落ちる三条の滝(空撮)】

さらに,平滑の滝を空撮する時間帯には,滝を取り囲む両岸の崖の影が滝や只見川に影を落としていた。もう少し早い時間に撮影しなくてはいけないようだ。平滑の滝の撮影を済ませ,赤田代に到着すると,かなり日も傾き,誰もいなくなり物寂しげな元湯山荘や温泉小屋の傍で,夕陽を浴びたススキが風に揺れて綺麗だった。

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【静かに岩肌を流れ落ちる平滑の滝(空撮)】

見晴経由で龍宮小屋に着く頃にはかなり遅くなっていた。小屋では,FBやブログで知り合いの方々や暫く会っていなかったKさんにも会うことができて,久しぶりに談笑した。その日の夜は霧も雲もない完璧な満天の星空だったが,前々回イヤと言うほど撮影したので,今回は星空の撮影は見送りしっかりと寝ることにした。(^^ゞ
*空撮にあたって,DIPS・FISS・機体登録,関係機関への連絡・調整済み。

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【夕陽に輝くススキ原】
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■華やぐ湿原[2] [尾瀬ケ原]

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【雨上がりの湿原。低く垂れ込めていた雲が徐々に上がる姿も幻想的だった】

□10月12日(水)くもり
夜中にふと枕元の音で目が覚める。もしやと思って外の様子を覗うと,やはり不安は的中。結構勢いよく雨が降っていた。重く垂れ込めた雲も夜の内に少しずつ晴れ,朝には朝靄が立ち込める光景を信じて疑わなかったが,予想がものの見事に外れた。まだ時間が早く,もう少しすれば状況は改善すると期待して少し休むが,目が覚めても状況はさほど変わらなかった。

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【天候も徐々に回復傾向。ナナカマドの赤が鮮やかです】

雨は上がったもののどんよりと低い雲が湿原全体を覆う。雨で滑りそうな木道を慎重に歩いて十字路へ。湿り気たっぷりの朝の空気の中で,今日どうするかじっくり考えて,今日は尾瀬沼に向かう予定を取りやめて帰宅することにした。

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【雨が上がり雲が徐々に消えてゆきます・・・】

小屋に戻ると朝食の時間になっていて,食事のある宿泊客が食堂に集まって静かに食事をしていた。今日は,三条の滝を経由して御池に抜け,尾瀬沼に向かうつもりでいたので,珍しく朝食を朝弁当に変えていたが,それをロビーのテーブルで食べることになってしまったのは,些か残念ではある。
朝食を食べてから,頃合いを見計らって長蔵小屋に予約キャンセルの連絡を入れる。
いつでも出発できるように出発準備を整え,小屋の周囲をカメラだけを持ってうろうろする。雨上がりの秋真っ盛りの湿原を何枚かカメラに収めてから,小屋に戻り,今年最後の挨拶をして鳩待峠に向かう。

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【秋の彩り】

低かった雲が周囲の山々に懸かり,徐々に雲が消えていく様子も,また幻想的で面白い。時間と共に空は明るくなり,時折雲の間から光が零れるようになる。明日の予定を取りやめたのは,早まったかな。と少し後悔もしたが,後の祭り・・・。すっかり乾いて,歩きやすくなった木道をのんびりと歩いていくと,時間と共に多くの登山者とすれ違うようになる。今は秋の真っ只中。多くの登山者が尾瀬の紅葉を見るために次から次へとやって来た。あと2週間ほどでこの賑わいもすっかり影を潜め,尾瀬のシーズンが終わってしまうのだな・・・ との思いに耽りながら帰宅の途についた。

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【ヤマウルシの実】

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【オオヤマノボクチの実。まっくろくろすけのようにいつか動き出しそうです】
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■華やぐ湿原[1] [尾瀬ケ原]

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【青空を映す池塘群の様子】

□10月11日(火)晴れ時々くもり
尾瀬の湿原を取り囲む山々の紅葉は例年だと10月の体育の日前後と相場が決まっていた。しかし,時期の尾瀬の週末は多くのハイカーで激混み。車で移動するにも,奥日光で大渋滞・・・。自由に動けるようになってからは,この混雑を避け,連休直後に尾瀬ヶ原から尾瀬沼に歩く計画を立てた。

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【この橋を渡ると尾瀬に来たことを実感します】

奥日光の様子から,尾瀬の紅葉も時期的にまだ早いということは容易に推測できた。これもまた温暖化の影響なのだろうか。金精道路を走っていると,反対側の車線をわき目も振らずにひた走るキツネが一匹。いつもなら直ぐに脇道に入って身を隠してしまうのだが,この日は違った。車を駐めて様子を確認すると,その先に車に轢かれた子鹿が一頭横たわっていた。その子鹿を狙ってやって来たのだ・・・ 生きるためとはいえ,余りにもショッキングな現場を目の当たりにして,心はザワついた。車を走らせ,乗合タクシーに乗り換え,鳩待峠に着いてもその気持ちを引きずったままだ・・・。

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【本格的な紅葉にはまだ少し早いようです】

気持ちが動揺した状態のまま,山の鼻に向かって歩き出す。連休直後と言うこともあって,久しぶりの晴れ間にも拘わらず人の行き来は非常に少ない。
昨日の雨のため森の中の木道はしっとりと濡れ,ボ~っとしているといっぺんで足を持って行かれ,即退場せざるを得なくなるだろう・・・。気を引き締めて華やぐ森を進む。

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【色とりどりな牛首を背景にダケカンバの黄葉が綺麗です】

全体的には徐々に色付いてきてはいるものの,近くで見ると全体的に色がくすんでいたり,一部が茶色に変色したりしていて綺麗とは言えない状態だ。ナナカマドもヤマウルシもあの鮮やかな色合いにはほど遠い。夏の異常な暑さが原因なのか,激しい温度変化が原因なのか,今年の紅葉はここ数年では一番悪いと言える状況だ。

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【色とりどりな紅葉がが楽しめる華やかな寺ヶ崎付近】

青空の割合が高いとは言え,水蒸気が多く,空気の透明度も高くない上,激しく雲が行き交い燧ヶ岳や至仏山の山頂は見えないままだ。しかし,時間とともに状況は良い方に変わってきているので,あまり先を急がず,のんびりと天候の回復を待ちながら上田代のベンチで昼食をとる。

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【ベンチでのんびりしていると午後のまったりとした時間が流れます】

秋の柔らかい光が湿原を包み込む時間が長くなってきたので,ここで待望の空撮を行う。秋の澄んだ空を映した池塘と紅葉した周囲の山々がいかにも秋といった感じだ。また,大空を忙しそうに流れていく雲の影が尾瀬ヶ原の上を忙しく行き来する様子も面白い。その後も他の場所に移動して撮影してみたものの,この日の空撮は2度に留めた。

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【ダケカンバの紅葉もそろそろ終わりのようです】

激しく雲が行き交い,それを見ているだけでも飽きない。その風に煽られ,午後の日差しに眩しく照らされて,チラチラと光り輝くダケカンバの黄葉。燃え尽きる前のろうそくの輝きのような,最後の煌めきを見せてくれているのだろうか・・・。湿原では,一ケ月前,まだ緑色だったヤマドリゼンマイも今はすっかり枯れてチリチリになってしまった。時の移ろいは早いものである。あと一ケ月もすれば湿原は,真っ白な雪に覆われ,長い眠りについているのかも知れない。

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【尾瀬ヶ原のモザイク模様はこの時期ならではです】

時間と共に,すっかり雲が優勢となり,時折,雲の間から漏れる光がスポットライトとなって紅葉した木々や湿原を照らしている。こんな様子を夢中で撮影していると,行き交う人も疎らになってくる。気温も一気に冷えてきたのでこの日の宿,龍宮小屋にチェックインした。天気はその後,悪くなる一方だったので,夜の撮影は諦めた。前日に宿泊した「ちーむ尾瀬」の仲間が小屋主さんに託した心温まるサプライズが用意されていた。いつものメンバーの楽しそうな顔が浮かんだ。ただただひたすらうれしかった・・・。これだけでも尾瀬に来て良かった。そして,やはり前日に直接会っておくべきだったと思った。

*空撮にあたっては,DIPS・FISS・機体登録,関係機関への連絡・調整済みです。

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■紅に染まる燧ヶ岳[3] [燧ヶ岳]

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【尾瀬沼の上空を染め上げる朝焼け雲を映して尾瀬沼も赤く輝きます】

「紅に染まる燧ヶ岳」の最終回になります。
□10月2日(土)快晴
今週いっぱいは温かい日が続くというが,日が落ちると一気に冷え込んでくる。始めからビバークするつもりでいたから,ウェア類は初冬に着用するものをしっかり用意した。汗で濡れたものを着替えて,しっかり着込んだ。これで万全。徐々に暮れていく尾瀬ヶ原を眺めながら時間を過ごす。

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【モルゲンロートの燧ヶ岳柴安嵓と至仏山。上空からなので影燧も見えます】

残雪期や夏にビバークしたことはあるが,この時期は初めてだ。暗い道をひたすら登る場合は,体が温まっているからほとんど寒さを辛いと感じることはないけれど,何もせず,寒さに耐えながら待つ夜は長かった。夏に比べると秋は,日暮れが早い上,夜明けが遅いため夜の時間がずっと長いことを改めて実感した。

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【朝日を浴びる柴安嵓と爼嵓】

この寒さの中,ふとウトウトすることはあるが,眠ることなど不可能。星景写真を撮影する時だけ,動き回ったり撮影に集中したりしているから寒さを意識することはないが,撮影が終わると耐えがたい寒さの中にいることに気付く。徐々に風も強まってきた。長時間露光に震動は禁物。風の影響の少ない場所に移動して,カメラを設置。自分も岩陰で待機する。もうこの時期のビバークはこりごりだ・・・

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【朝の眩しい光に包まれる燧ヶ岳山頂】

長い夜が終わりに近づき,時間が早めに進むようになる。頭上に横たわっていた天の川や多くの星が薄明の空に溶けてゆき,東の空に温かい色彩が戻って来た。その色はだんだんと濃くなり,尾瀬沼上空にあった絹雲を茜色に染め上げる。その雲は御池岳を越え至仏山の方まで伸びていたから,空一面が薄紫のベールで覆われた。
さらに,ビーナスの帯が至仏山の上空を彩ると,ほどなくあちこちの山頂に真っ赤な明かりが灯る。そして,時間と共にその光は麓へと降りてゆき,その色を失う。

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【朝陽を浴びて徐々に目覚める尾瀬沼。朝靄もゆっくり消えてゆきます】

山頂付近は,夜半から風が強かったが,日の出前後はそれがピークとなった。立てておく三脚がカメラごと吹き飛ばされそうな勢いである。何より楽しみにしていた朝の燧ヶ岳空撮への影響が懸念されたが,案の定,離陸はしたものの次から次へと強風警告メッセージが表示される始末。最後は「自動帰還できないから手動で戻せ」の表示。そんな中では,柴安嵓まで飛ばして山頂付近を旋回するのが精一杯。モニタで確認しながら手動で回収して,空撮は終わりにせざるを得なかった。バッテリーを温存したのがこんな形で裏目に出るとは。

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【紅葉も最盛期だが朝陽を浴びて,より一層赤さを増す山頂付近の紅葉】

太陽の力は偉大だ。眩しい朝の光を全身に浴びていると,寒さに凍えていたことなどすっかり忘れてしまう。久しぶりに見る,そして暫く見ることがない光景をカメラに収め,御池から登ってきた登山者に絶景の一等地を譲り,山頂を後にした。

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【朝靄も徐々に消えてゆき,いつもの光景に戻っていきます】

今日は日曜日。御池からはひっきりなしに登山者が登ってきた。すれ違いなど出来ぬ狭さなので,カメラの三脚をぶつけないように気を配り道を譲るが,ほぼ10メートル間隔で次から次へと人が来る。合計150名はいただろう。こんな多くの人とすれ違うのは初めての経験だ。
しかも足場が悪い。上部はゴロゴロした丸い大きめの岩や浮き石が多く滑りやすい。熊沢田代より下は更に大きな岩を避け,乗り越えながらの下山でほとほと疲れた。昨夜ほとんど眠れなかったことや水不足で脱水症状気味になりながらの下山だった。
*空撮にあたっては,DIPS・FISS・機体登録,関係機関への連絡・調整済みです。

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【燧ヶ岳の5つのピーク。爼嵓,柴安嵓,御池岳,赤ナグレ岳,ミノブチ岳】
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■紅に染まる燧ヶ岳[2] [燧ヶ岳]

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【日没間際の真っ赤な光に山頂付近も染められます】

□10月1日(土)快晴
この時期になると,湿原に朝陽が射し始め,いよいよこれから撮影しようかという時間帯がちょうど山小屋の朝食の時間帯と重なる。久しぶりの山小屋で一番最後に一人で朝食をとるのはいやだったので,今回は朝弁当にしてもらった。これで朝食の時間を気にせず撮影に専念できる・・・。

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【朝靄に覆われた尾瀬沼畔の朝。時折,水面を静かに漂う水鳥の声が響く・・・】

チェックアウト時間前にもう一度小屋に戻るつもりで,必要なものを持って尾瀬沼の畔へ。この日の朝もたっぷりの朝靄が大江湿原や尾瀬沼を覆っていた。しかも,足下にはうっすらと霜が降りていた。明るくなると急速に薄くなっていってしまう朝靄が,この日は長い時間周囲を漂っていたので,大江湿原もじっくり撮影できた。

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【朝靄が急速に流れる浅湖(あざみ)湿原】

しかし,なんといっても燧ヶ岳で空撮をするのが今回の一番の目的だったので,バッテリーを温存するためにも空撮はなるべく控えた。その分このところ空撮ばかりに時間を取られ,じっくり撮影できなかった地上をじっくり撮影した。朝靄が薄くなり,大江湿原に光が射し込み始める頃を見計らってドローンを飛ばす。尾瀬沼の朝靄は岸辺に偏っていたが,朝陽を浴び,普段見慣れた景色をより一層幻想的な光景に変えていた。うっすらと降りた霜が溶けて雫となり,朝日に輝く頃,小屋に戻り出発準備を整えた。

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【青空が映えるダケカンバの黄葉】

すっかり朝靄も晴れた初秋の大江湿原を横切り,燧ヶ岳の懐に。長英新道は下山には何度か使ったが,登るのはたぶん2度目。前回は,11月に腰まで埋まる雪の中をラッセルしながら登り,途中で撤退したとき以来だから,多分何十年も前のことである。ここまで前となると登山道の様子等の記憶は全くない。

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【燧ヶ岳の山肌の様々な色合いの紅葉も今が見頃です】

尾瀬沼の周囲を歩き回るような,ゆるゆるとした登りが延々と続く。展望も全くない。午後の遅い時間にこの暗い森を歩くのは,ちょっと不安だろうなとは思うが,暑い時期の登山には高低差も少なめだし,日差しを遮ってくれるのはありがたいだろうと思う。距離的にほぼ半分進むと3合目。4・6合目あたりは一部展望がきく。ギラギラする太陽の光を反射して煌めく尾瀬沼。抜けるような青い空を背景にそびえ立つダケカンバも高度を増すと徐々に増えていく。

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【ミノブチ岳とその周辺はすっかり秋色に染まっています】

登山道は雨水の通り道になっているが,いくつも階段が設置されていて登りやすい。最後の階段を上りきるとミノブチ岳に到着。ここまで来れば頂上は直ぐそこだ。荷物を下ろし周囲の様子をじっくり撮影する。全く風はなく,絶好の登山日和とあって直ぐそこにある山頂は多くの登山者で賑わっていた。

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【御池岳付近の紅葉です】

軽く昼食を済ませて,山頂に向かう。風もなく穏やかな午後の日差しの中,久しぶりの山頂に立ち,ぼんやりと遠くを眺めてると,日光連山やさらに遠方の山々の上空には雲が懸かり,時折その雲がこちらにゆっくりと流れてくる・・・ 状況がどうなるか分からないのでまずは空撮と軽くドローンを飛ばす。

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【燧ヶ岳の爆裂火口越しに見る尾瀬沼】

しかし,回収する際,不安定な足場の上でふらつき,機体をつかみ損ない指を3・4本切ってしまった。ドローン本体や周囲に血液が飛び散り悲惨な状況に。取り敢えず止血しようとテーピングして様子を見ることにした。これは帰れと言うことかな・・・と,直ぐに下山も考えたが,徐々に痛みも和らぎ血も止まったので,当初の予定通り山頂でのビバークを決めた。

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【紅葉が夕日に染められてより一層鮮やかに輝きます】

やがて,柴安嵓の山頂付近を目がけて,一直線に日が傾いて行くと,太陽の日差しが徐々に温かい色に変わる。相変わらず風もない。この条件で空撮しないわけにはいかない。ただ,朝の撮影をメインに考えていたので正直ここでバッテリーを浪費するのは避けたくて,短い時間だけ空撮を行う。オレンジ色に染まる夕暮れの空に浮かぶ爼嵓と柴安嵓。午後の光を跳ね返して光る池塘の先にはオレンジ色の至仏山が鎮座していた。

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【遙か日本海の彼方へと夕陽は沈んでゆきます・・・】

先ほどの衝撃でドローンがどうなったかちょっと心配であったが,問題なく使えたので胸をなで下ろす。ダメなら下山の一択だった。短い時間の撮影だったが念願の燧ヶ岳での空撮ができて大満足。やはり,今までと違うアングルの尾瀬が見られるのは新鮮な感動を呼び起こしてくれる・・・。

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【月齢5の月が沈み,天の川がよりはっきりと見えてきました】

*空撮にあたっては,DIPS・FISS・機体登録,関係機関への連絡・調整済みです。
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■紅に染まる燧ヶ岳[1] [尾瀬沼]

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【夕陽も皿伏山の肩に沈んでいくような季節になりました】

9/30(金)~10/2(日)に,御池~尾瀬沼~燧ヶ岳~御池のコースで尾瀬を歩いてきました。その様子を一日ごとにまとめようと思いますので,ご覧ください。

□9月30日(金)快晴  13,947歩
檜枝岐や尾瀬の山小屋に写真集を届ける時に尾瀬を歩いてこよう,可能ならば燧ヶ岳に登りたいと思った。
秋雨前線や台風の影響で続いた不安定な天候も一段落して,秋らしい天候が戻って来そうなので山小屋に電話をするが,長蔵小屋は既に満館,尾瀬沼ヒュッテのカプセル部屋に空きがあった。山小屋でカプセル部屋?との戸惑いもあったが,どんなものか見ておきたいという気持ちもあり,直ぐに予約を入れた。

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【沼山峠付近から見た大江湿原と尾瀬沼】

御池から9時30分発のEVバスに乗り込む。御池周辺のブナ林はまだ紅葉には早い感じだが,尾瀬が燃えるような紅葉に包まれる季節はもうすぐそこまで来ている。

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【草紅葉が見頃となった大江湿原】

沼山峠休憩所の中は売店部分が取り払われ,広い空間にテーブルと長椅子が数組,寂しそうに置かれていた。尾瀬の山小屋や休憩所が,災害・後継者不足・採算の悪化の関係で,次々に閉鎖や縮小されていくのを見るのは,かつての賑わいを知る者としては寂しい限りだ。

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【初秋の午後の光を受けて輝く尾瀬沼】

久しぶりの沼山峠の道を秋の乾いた空気を体いっぱい吸い込んで,一歩一歩辿っていくと,あっという間に沼山峠展望台に到着。以前は大江湿原や尾瀬沼がよく見えたが,今では周囲の樹木が生長して尾瀬沼が少し見える程度だ。しかし,ドローンから送られてくる映像には,尾瀬に通い始めた頃に見た懐かしい光景が,映し出されていた。その後,草紅葉のピークを迎えた大江湿原に移動して,午後のまったりした尾瀬沼を空撮した。

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【午後のまったりとした時間が緩やかに流れる尾瀬沼】

長蔵小屋に写真集を納品して,尾瀬沼ヒュッテに向かう。長蔵小屋でも個人で宿泊する時は2段ベッドの部屋になることが多いので,カプセル部屋についてはそれほど心配はなかったが,使い心地はどんなものだろう・・・。

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【夕陽を浴びて輝く三本カラマツ】

尾瀬沼ヒュッテにカプセル部屋が設置されたのは2020年で,全部で4室。1つの部屋には6つのカプセル式個室があるが,現在はコロナの影響で3つしか使えない。カプセル部屋には,調光式ライト,アロマ付換気扇,アラーム,コンセントなどがあるほか,高反発マットやクリーニングされたシーツや枕カバーも用意され,思っていたよりも機能的かつ清潔で使いやすかった。しかも,1泊2食付きでは尾瀬で一番安く泊まれる。

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【ナナカマドも輝く尾瀬沼の水面の光を受けて輝きます】

夕食まで時間もあったので,撮影機材を持って尾瀬沼周辺や大江湿原をうろうろする。日没が近くなると雲が上空を行き来し,傾きかけた夕陽の赤い光が,尾瀬沼の澄んだ空を,ゆったりと波打つ水面を,秋色に染まり始めたナナカマドを,より色鮮やかに染め上げた。撮影を終え小屋に戻る。
夕食後,アロマの香り漂う部屋で早めに横になって明日に備える。外はかなり冷えていたが,明日は大丈夫だろうか・・・
*空撮にあたっては,DIPS・FISS・機体登録,関係機関への連絡・調整済みです。

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【元長蔵小屋の夕暮れ】
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