SSブログ

■温暖化の中で迎える秋[2] [尾瀬ケ原]

1.jpg
【朝靄の中から見上げるモルゲンロートの燧ヶ岳】

□9月25日(月)晴れ 23,174歩
 早めに休んだので,目覚ましに起こされることなく早々に目が覚めたが,日の出も遅いので明るくなるのを待って小屋を後にする。昨年は何度も一面の分厚い朝靄に覆われ,ドローンを飛ばすまで周囲の状況が全く状況が分からない状態が続いたが,今回は朝靄越しに至仏や上空の様子を確認しながら撮影できるのはありがたい。
歩いていると上空にうっすらと広がっていた雲がピンク色に染まり出し,その色合いを深めていった。朝靄のベール越しに見る,モルゲンロート・・・ これもまた中々出来ない経験である。上空からも撮影したい衝動に駆られたが,ぐっと堪えて地上からの撮影に努めた。

2.jpg
【薄いベール越しに見る朝焼けの空】

 ふと気付くと,所々木道がよく滑る。濡れているからではなく,良く見るとどうも霜が降りているようだ。昨日の朝も相当冷え込んだという話だが,自分の温度計では3℃。今までの暑さが嘘のようである。今回は流石に滑り止めまでは用意していなかったので,滑らないように慎重にあちこち移動する。

3.jpg
【朝陽を浴び,朝靄に包まれた尾瀬ヶ原】

 満を持してドローンを使って上空からの撮影を開始する。それほど濃くはないが,朝靄は比較的広い範囲を覆い幻想的な光景を作り出している。その動きも激しく,朝靄の動きを追いかけるように撮影を続ける。パノラマ撮影の空いた時間を使い,カメラを変え,レンズを変えて地上からも撮影を重ねる。あっという間にドローンのバッテリー1本を使い切り,戻って来た瞬間を待って,地上の様子も撮影する。この時ばかりはつくづく体がいくつもあったらと思う。

4.jpg
【朝陽に輝くヤマドリゼンマイ黄葉】

 朝陽が湿原を照らすようになるとその忙しさはMAXだ。静かに湿原を覆っていた朝靄があちこちを彷徨い,上空に立ちのぼる。その条件によっては白い虹を描く。拠水林から溢れる木漏れ日は光芒となって湿原に多数の光の矢を放つ。湿原に目を遣ると,昨夜のうちに降りた朝露や霜が朝日に照らされて溶け,僅かな空気の動きに反応してキラキラと輝いている。山小屋に泊まる醍醐味は,正にこのドラマを見ることにあるといっても過言ではない。

5.jpg
【森の中から現れる朝の光。光芒が美しい】

 上空からと地上から慌ただしく撮影しているとあっという間に時間がたってしまう。夏至以降は日の出がどんどん遅くなるのと同時に,撮影のピークとなる時間帯が山小屋の朝食時間ともろに被ってしまうようになる。そんな時に撮影もしないでのんびりと朝食をとっている訳にもいかないので,いつもながら朝食そっちのけで山小屋のスタッフに大いに迷惑をかけているのがなんとも心苦しい。

6.jpg
【モルゲンロートに染まる朝靄】

 朝靄がほとんど消える頃,急いで小屋に戻って朝食を掻き込む。パッキングしやすいようにとまとめておいたものをバタバタとザックに詰め込み,荷物を下ろせば,出発準備完了。後はいつでもチェックアウト可能だ。ここでいつものコーヒーをいただきながら,たもあみさんや宿泊客の方とのおしゃべりをしながら時間を過ごし,最後の最後に小屋を後にする。

7.jpg
【朝の息吹きに包まれる尾瀬ヶ原】

このまま真っ直ぐ鳩待峠に向かうというたもあみさん達と別れ,あちこちで目に付いたものをだらだらと撮影しながら同じルートを戻ると,目の前に大きな一団が・・・。その円の中心にはたもあみさん夫妻がいた。どうももっていたあの長い撮影機材が気になったNHKの取材を受けていたようだ。
最後のひと踏ん張りをする前に至仏山荘で腹ごしらえを済ませてから,鳩待峠への道をゆっくりと戻った。

8.jpg
【色付き始めた池塘に泳ぐカモを見るとシーズンの終わりを実感します】

後でニュースで確認したが,この日は関東北部はかなり冷え込み,日光や尾瀬では初霜が観測されたとニュースでも伝えていた。いよいよ本格的な秋が訪れる・・・。さて,次はいつ行こうか?
*空撮にあたり,DIPS2.0での機体登録・飛行計画登録,関係機関への連絡・調整済み。

9.jpg
【不思議な花の付き方をするアザミ】
nice!(9)  コメント(2) 

nice! 9

コメント 2

てばまる

良い情景の朝は上からも下からも撮りたくなるので悩みますよね。 上からの朝焼けは意外と難しいです。マニュアルでしっかりやれば朝焼けと霧の色合いも上手く出せるのでしょうけど。。。

謎ノアザミはその後、葉が広がったのでオクヤマアザミでないかと思いますが未だによくわかりません。昨年も咲いてたはずですがまったく気が付きませんでしたし・・・(^_^;)
by てばまる (2023-10-06 11:19) 

Aqua

朝焼けや夕焼けって綺麗なのは空であって,地上の風景は潰れてしまうことが多いので,上にカメラを向けにくいドローンは地上の風景とコラボさせるのはなかなか難しいですよね。
あのアザミの同定については,澄夫さんもてばまるさんに相談にのってもらったと話していました。(^o^)
by Aqua (2023-10-07 19:35) 

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:[必須]
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。