SSブログ
前の10件 | -

春の息吹きの中で【3】 [尾瀬沼]

21.jpg
【尾瀬沼に浮かぶ夏の星座】

■6月11日(晴れ)
今夜は新月。天候さえ許せば絶好の星景写真撮影日和だ。尾瀬沼は尾瀬ヶ原に比べて夜霧や朝靄も出にくいので星の撮影には都合がいい。深夜にふと目が覚めて窓の外を確認すると,雲一つない満天の星空が広がっていた。

31.jpg
【明ける大江湿原。尾瀬沼の朝靄が立ちこめている時間はそれほど長くありません】

昨夜は星の撮影を諦めていたので,条件の揃ったこの日は寝るわけにいかない。小屋の周りをカメラを担いで歩き回り,所々で撮影を繰り返す。尾瀬沼の南側には,なだらかな皿伏山しかないため,低い位置にある蠍座もしっかり撮影できた。短い時間で引き上げるつもりでいたが,熊よけにつけたラジオを聞きながら1時間ほど撮影を続けて部屋に戻った。

41.jpg
【朝陽に染まる尾瀬沼】

日中の気温は高いとはいえ,やはり夜は相当冷え込んで体も冷えたせいか,布団に入って温まると直ぐに眠ってしまった。
寝過ごさなければいいけどと思いながらも目覚ましを設定する前に眠りについてしまったようで,気付いた時には既にライトがいらないくらいに明るくなっていた。「やばい・・」

51.jpg
【朝日を浴びる三本カラマツ】

必要な機材だけを詰め込んだリュックを担いで小屋を出る頃は,燧ヶ岳の山頂は朝陽を浴びて赤く染まっていた。大江湿原には僅かだが朝靄が漂い,初夏の朝らしい爽やかな光景を見せていた。まず,小屋の周りを簡単に撮影してから,ドローンで撮影を始めた。

61.jpg
【陽が当たると僅かについていたしもが溶け出し,輝く】

朝靄もまだ消えずに残ってはいるものの,尾瀬沼周辺の朝靄は薄く控えめで,上空からではそれほどの存在感はない。上空からは,遠く至仏山や景鶴山も見ることが出来る。季節や時間が変わると見えてくるものや撮りたいものが毎回変わってくる。今まで気付かなかったものを見つけては驚き,心躍らせながらも撮影を進める。手を変え品を変え,同じような場所をあてもなく何度も飛び回る。だから,できあがった写真や動画はいつも行き当たりばったりになってしまうのだが・・・。

71.jpg
【僅かに霜が付いたコバイケイソウの葉】

そして,朝陽が大江湿原にもやっと届くと,その光は真っ先に三本カラマツを照らし出す。スポットライトを浴びた舞台女優のように,凜と立つ大江湿原のシンボルを浮かび上がらせる。朝靄でしっとりと濡れたカラマツの葉がきらきらと煌めき,そして輝く。その儚くも美しい瞬間を夢中で記録した。

81.jpg
【ヤマドリゼンマイも朝露に濡れ,生き生きとしていた】

気付くと大江湿原を包んでいた朝靄はいつの間にか消え去り,眩しい光が辺りを照らしていた。ドローンでの撮影を一旦休止して,眩く輝く湿原の表情を切り取る。ドローンを飛ばすことに夢中で見逃していたが,木道や湿原には僅かに霜が降り,小さな花やコバイケイソウは白く縁取られていた。しかし,それも束の間,朝陽を浴びた場所から,その僅かな霜が溶けて朝露をとなって輝く。一本一本の草までもが美しく,そして儚い。一期一会の貴重なこの瞬間が消えてしまう前に記録しなくては・・・ 

101.jpg
【この時期としては大変珍しく,3日間晴れてくれました】

時間も忘れて夢中で撮影していると,いつの間にか朝食の時間になってしまったので急いで小屋に戻る。食事を済ませ,朝のコーヒーで一服。朝の撮影をすませた後の至福の時。このまったりとした時間がたまらなく好きだ。
荷物を纏めて小屋を出発する頃には,太陽は高く,空はからっと晴れ渡っていた。今日も天気は良さそうだ。梅雨入り前のこの3日間,奇跡的に晴れてくれたことに感謝したい。思うような撮影もできたし,久しぶりに山小屋でゆっくりすることもできた。三平峠を越え,賑やかなハルゼミの声を聞きながら,のんびりと大清水に戻った。

*空撮にあたっては,DIPS・FISS登録,関係機関への連絡・調整済みです

111.jpg
【不明です。どなたかご存知でしたら宜しくお願いします・・・】
nice!(10)  コメント(0) 

春の息吹きの中で【2】 [尾瀬ケ原]

05.jpg
【上空から見る白虹。ドローンの影を中心にそれを取り囲む大きな白い虹ができる】

6月10日(晴れ)
明日は新月なので月に邪魔されることもなく星の撮影ができるかなと期待していたが,夜半には,いつものように夜霧が発生して龍宮小屋周辺は,ほとんど真っ白になった。星の撮影は明日の楽しみにとっておくことにして,朝靄の尾瀬ヶ原の撮影に備えてその夜は寝ることにした。

11.jpg
【雲海に浮かぶ燧ヶ岳】

目が覚める頃になっても,まだ小屋の周囲は真っ白な霧に覆われていた。必要な荷物だけを持って小屋から出るには出たが,霧に覆われ周りの様子は全く分からない。そろそろ至仏山頂が朝陽に染まる頃である。空撮後の撮影も考慮して撮影場所を移動する。

30.jpg
【朝の湿り気を帯びた空気をすり抜けて朝の光が湿原に届く】

長時間,霧に覆われていたせいか,木道がしっとりと湿り,場所によっては霜が降りているところもある。暫く歩いても朝靄の状態は変わらないが,目的のベンチにザックを置いてライブカメラを確認すると,予想通り,至仏山は朝陽を浴びて赤く染まっていた。急いでドローンを離陸させた。あっという間に朝靄の上空に出ると彼方には,モルゲンロートに染まる至仏山の姿があった。

50.jpg
【沼尻の池塘群と尾瀬沼。上空の雲がすっかり夏のよう・・・】

湿原は真っ白な朝靄に覆われ眠りのさなかだが,上空では既に朝の劇的なドラマが繰り広げられていた。朝の光を受けて朝靄は慌ただしく動き,大きくうねり尾瀬ヶ原を行き来する。そのうねりが大きなスクリーンとなって太陽の光を映す時,地上では白い虹となって目の前に姿を現す。地上では視点となる者の影を中心に上半分の半円を描くが,上空ではその朝靄の分布や高度によって下半分の半円や,ドローンの影を中心とする大きな円となる。

60.jpg
【初夏の光溢れる沼尻平】

そんな幻想的な朝靄の尾瀬ヶ原の上空を飛ぶドローンから送られてくる映像を見,僅かな時間をとらえては,時々カメラを構えて目の前の光景を記録する。
しかし,どうしても気になる・・・。下の大堀や龍宮付近にも昨年から本格的なシカの防護ネットが張られたが,これが,写真を撮る者にとって非常に目障りな場所に所構わず張られている。シカの食害から花を守れるのは良いことだが,花をひっくるめた風景の撮影を楽しみにしている者にとっては堪らない。花あっての尾瀬,尾瀬あっての花である。ここまで風景に入り込んでしまっては,景観破壊行為の何物でもない。もっと邪魔にならない樹林帯寄りに張ることは出来るはずである。

70.jpg
【展望デッキからみるミネザクラと燧ヶ岳】

尾瀬ヶ原での撮影を終え,朝露に濡れ逆光に輝く湿原を眺めながら小屋に戻り,朝食をとる。2年ぶりの龍宮小屋のモーニングコーヒーをのんびりといただいてから尾瀬沼を目指す。当初はトガクシショウマや三条の滝を見て,尾瀬沼に向かうつもりでいたが,体調や時間を考慮して,通常のルートで尾瀬沼に向かった。

80.jpg
【まだ見頃のミネザクラもたくさん残っていた】

すっかり日差しが強く,森の中を歩くルートは本当に心地良い。時々現れる渓流で火照った体を冷やしたりしながら白砂峠を越えると,林内に新鮮なムラサキヤシオツツジが多く見られるようになる。所々に残雪も見られるようになり,周囲には小ぶりなミズバショウが咲いていた。少し標高が高い分,花の見頃も,全体的に尾瀬ケ原より遅れている感じだ。

90.jpg
【尾瀬沼の夕暮れ】

沼尻の休憩所で昼食後に空撮し,長蔵小屋に向かう。尾瀬沼周辺の山小屋は今年はコロナ等の影響で,どこも営業を再開してから10日ほどしかたっていないせいか,人影もまばらで静かな昔ながらの尾瀬を満喫した。宿泊先である長蔵小屋のこの日の宿泊者は3名しかなく,個室でゆっくり骨休めすることができた。食事を済ませた後,のんびりと散策の時間がとれるのは,日の長いこの時期ならでは。徐々に傾く夕陽に照らされるミズバショウを撮影して,静かな山小屋に戻り,早めに休んだ。

*空撮にあたっては,DIPS・FISS登録,関係機関への連絡・調整済みです

98.jpg
【夕陽を浴びて輝くカマッポリ湿原のミズバショウ】
nice!(16)  コメント(0) 

春の息吹きの中で【1】 [尾瀬ケ原]

10.jpg
【紫外線も強くなり,新緑で覆われた森の木陰が恋しくなります】

6月9日(晴れ)
この時期の変化は急速で,1週間も違うと風景も咲いている花も大きく変わってしまう。特に,今年は例年以上に季節の到来が早いため,残雪の時期も花が見頃を迎えている期間も明らかに短いように感じる。

20.jpg
【徐々に湿原にも緑に染まっていきます。空を写す池塘が涼しそうです】

コロナ禍で昨シーズンがスタートしたのは実質7月末だったから,ミズバショウもニッコウキスゲのシーズンも見逃し,今年こそ何とかその名残りや片鱗だけでも見ておきたいと思いがあった。コロコロ変わる天気予報に翻弄されながらも梅雨入り前の貴重な晴れの日を選んで急遽出かけた。

30.jpg
【新緑も樹木や芽吹いた時期によって微妙に色が異なり,多彩なグラデーションが楽しめます】

今回は昨年営業を休止していた龍宮小屋と水道がやっと復旧し営業を再開したばかりの長蔵小屋に泊まることにした。体力が落ちている上,前回の尾瀬歩きで膝を痛めてしまって無理も出来ないのでそこを結ぶオーソドックスなルートをゆったりと歩こうと思う。

40.jpg
【ダケカンバの新緑は特に目を引きます】

第一駐車場で待機していたバスに乗り込むがほぼ満員の状況だ。皆,好天につられて出てきたのだろうか? 平日だというのに,こんなに混雑しているとは予想外だったが,鳩待峠に着くとほとんど人もなく閑散としていた。

50.jpg
【さてこれは何だと思いますか? こんな形をしているとは知りませんでした】

堆く積もっていた残雪もいつの間にかすっかり消え,爽やかな青空を背景に眩しく輝く鮮やかな新緑が印象的な鳩待峠でゆっくり準備を整えてから歩き始めた。
森に入ると前回はほとんど聞かれなかった多くの鳥の囀りがあちこちで聞こえ出した。渓流沿いではハルゼミ,湿原や池塘周りではカエルの声が森の中に響く。森がそしてそこに住む生き物たちが短い春をめいっぱい謳歌している様子を目で耳で,そして肌で感じることが出来た。春を待ちかねた尾瀬の命が激しく躍動していた。

60.jpg
【平滑の滝を上空から】

いつもなら,ミズバショウはシーズン終盤を迎える頃なのだろうけれど,今年の場合は,一番遅いと思われる研究見本園のミズバショウの群落地でさえ,ほとんど見頃を過ぎていた。しかし,それにしてもこれは酷い・・・。ミツガシワやキスゲをシカの食害から守るために設置された柵が景観を台無しにしていた。設置する場所は他にいくらでもあるというのに,よりによってミズバショウの群落地のど真ん中に,嫌がらせをするかのように設置する必要があるのだろうか? もっと周辺部に移動してほしいものだ。

70.jpg
【透過光で見る森の中の新緑。ほっとできるひとときです】

ミネザクラやミズバショウ,ショウジョウバカマ等の見頃は過ぎ,ムラサキヤシオやシラネアオイ,タテヤマリンドウがあちこちで存在感を示していた。ズミやコバイケイソウ,レンゲツツジの花,たくさんあったワタスゲの果穂も白く大きくなりつつあり,間もなく風に揺らめく姿を見せてくれるに違いない。

80.jpg
【至仏山頂付近にかかった雲が,夕陽に照らされて綺麗に染まりました】

小屋に向かう途中で,下山する龍宮小屋の小屋主さんや尾瀬仲間と偶然遭遇し,長々と歓談できたのも嬉しかった。時間的に余裕があったので東電小屋・見晴を経由してから龍宮小屋に向かった。この日の宿泊者は4人。夕食後にカメラを持ってベンチに腰を下ろし,黄昏れていく尾瀬ケ原の様子をのんびりと眺めた。贅沢な時間が流れた。

*空撮にあたっては,DIPS・FISS登録,関係機関への連絡・調整済みです。
nice!(17)  コメント(2) 

本格的な春へのプロローグ【2】 [尾瀬ケ原]

DJI_0141.jpg
【モルゲンロートの至仏山と霜の降りた尾瀬ヶ原】

5月12日(晴れのち曇り)
寝起きの時間が普段とまるっきり違っているため体が戸惑っているのか,寝すぎたせいなのか3時30分には目が覚めた。撮影にはちょうどいい時間だ。肝心の天気も悪くない。薄明かりの中,ヘッドライトをつけて出発準備を整える。寝静まった燧小屋を出ぬけ,龍宮十字路に向かう。

02.jpg
【その光は至仏山の雪を染めながらゆっくりと降りてきた】

振り返ると燧ヶ岳の背景の雲が淡いピンク色に染まっている。その光は徐々に空全体へと広がり,やがて尾瀬全体を優しく包む。東の空に大きめの雲があったので,モルゲンロートに染まる赤い至仏山は見れないかなと思いながらも少し待つと,山頂付近が赤く染まり出した。ありがたい。この雰囲気を記録に留めたくてドローンを飛ばす。朝靄はないが,今朝はよく冷えたおかげでたっぷりと霜が降り,湿原や周囲を取り囲む樹木が真っ白だ。その白いキャンバスを朝の光がうっすらと茜色に染め上げる。

04.jpg
【朝一番の光に染まる遅霜の尾瀬ヶ原】

05.jpg
【朝日を受けて輝く樹氷】

上空からではやや分かりにくかったが,遅霜で薄化粧した早春の尾瀬ヶ原をなんとか空撮することができた。地上の様子もじっくりと撮りたかったが,同時には撮影出来ないのがもどかしい・・・。ドローンを戻し,霜で滑りやすくなった木道を転倒しないよう慎重に移動する。

DSC01177.jpg
【霜で真っ白になった湿原が朝日を浴びてあちこちできらきらと輝く】

やがて湿原にも朝の光が満ち溢れ,湿原全体を覆う薄いベールのようなしっとりとした空気を朝の光が眩しく照らす。湿原に目をやると,雪が溶けやっと現れた枯れ草も灌木も真っ白な霜を身に纏い,僅かな空気の流れにキラキラと輝きながら揺れている。神秘的な光景を目の当たりにして足を止めずにはいられない。この貴重な一瞬,空気感を記録に残そうと夢中で何枚もシャッターを切る。じっくり撮影したいが,空撮もしたくて後ろ髪を引かれながら龍宮十字路へ。空撮をするにはやはり位置的にここがベストポジションだ。

08.jpg
【咲き始めたミズバショウも霜の洗礼を受けて真っ白だ】

ふと気付くと時間とともに池塘周りを白く縁取っていた朝の霜も徐々に溶け,いつもの風景に戻ってくる。遅霜がたっぷり降りた湿原,モルゲンロートの尾瀬ヶ原,雪解け水をたっぷりと湛えた池塘・・・ どれも魅力的だが,薄い雲が上空を覆い,湿原の輝きが失せる時間帯もある。その時間帯は光を待って撮影を再開するなど時間的なロスも多い。時間とともに条件は悪くなる一方なので気持ちは焦るが,撮影はなかなか思うように進まない。

10.jpg
【上空から見た上田代。湿原の雪は本当に少なくなってしまった・・・】

この時期,この時間帯は何処をどのように撮影するのが良いか,空撮に関しては特に未知数で試行錯誤の連続だ。思うような画像が1回で撮れた試しはなく,何度も同じような撮影を繰り返すばかりである。とりあえず,バッテリーを1本残して空撮を終え,カメラを抱えて湿原を歩き回る。既に霜はほとんど溶け,山かげにその名残を残すのみであるが,その霜の中にたくさんの小さなミズバショウが寒そうに健気に咲いていた。

16.jpg
【下の大堀の定番ポイントのミズバショウもかなり咲き出した】

霜もほとんど消えてしまったので,のんびりと朝食をとってから,長沢周辺だけではなく,下の大堀,ヨシッポリ田代などミズバショウが早くから群落を作る場所にも足を伸ばした。どこも既にミズバショウが小さいけれどたくさんの花を咲かせ,見頃を迎えようとしていた。雪解けだけでなく,花の開花も例年よりも確実に早まっている。
その後は,行き交う人も少ない尾瀬ヶ原を温かい日差しに照らされ,梅雨入り前の貴重な晴天の一日尾瀬ヶ原の散策を楽しみながら,ゆっくりと山の鼻経由で鳩待峠に向かった。

18.jpg
【ヨシッポリ田代にたくさん咲いたミズバショウが迎えてくれた】

20.jpg
【帰り道ではイワナシも咲いていました。こんな時期に咲くなんて・・・】

*空撮にあたっては,DIPS・FISS登録,関係機関への連絡・調整済みです

nice!(29)  コメント(4) 

本格的な春へのプロローグ【1】 [尾瀬ケ原]

00.jpg
【下の大堀,定番ポイントでのミズバショウと”燧ヶ岳”】

5月11日(曇り時々晴れ)
山小屋でも様々な対応を強いられながらも営業を始めた。尾瀬の山小屋から感染者を出すわけにはいかないが,自粛ばかりでは山小屋の存在自体が危ぶまれる事態になりかねない。栃木県は緊急事態宣言もまん延防止等重点措置の対象からも外れているので,自分でもコロナ対策には十分留意して出かけることにした。

02.jpg
【終わりかけていた上田代の尾瀬ヶ原湖,それでも池塘の水量は豊富】

前回の尾瀬から2週間。既に尾瀬ヶ原の雪は消え,木道はほとんど出ているという。尾瀬ヶ原・上田代周辺の雪解けが進むと気になるのが短い期間現れる「尾瀬ヶ原湖」であるが,それさえも既に見頃は過ぎたようだ。前回の残雪の状態から,見頃は一週間~10日後位かと思っていたが,天候を見極めているうちに見頃を逃してしまったようだ。それでも,雪解け水溢れる尾瀬ヶ原をのんびりと歩きたい・・・。

03.jpg
【残雪がほとんど消えた尾瀬ヶ原】

天気の回復が遅れ,朝のうちは天気も良くないようなので,ゆっくり休んでから出発。日光を越え,片品村に着いてもどんよりとした雲が上空を支配したままだ。
天気が良くなる気配もなかったので帰ろうかとも思ったが,せっかく来たのだからと気を取り直して鳩待峠へ。

04.jpg
【緑の湿原へと生まれ変わるにはそんなに時間はかからない・・・】

至仏山が登山禁止期間に入る前では考えられないことだが,9時を過ぎているというのに鳩待峠駐車場は満車にならないばかりか,10台程度の車が止まっているだけだった。人の往来もほとんどなく,スキー・スノボの登山者で賑わっていた前回からは想像できない静けさだ。

05.jpg
【林内の根明けも徐々に大きくなり,残雪もかなり減少した】

山の鼻に向かう道の雪も鳩待峠から下るに従って徐々に少なくなり,山の鼻に着く頃にはネットの情報通り,木道の雪はほとんど消えていた。山小屋周辺に残った雪を除雪するスタッフの声が辺りに響く。閑散とした山の鼻は静かに時が流れていた。ミズバショウシーズン前のエアポケットのような時期ではあるが,やはりコロナの影響は大きいと言わざるを得ない。

06.jpg
【水バショウ。雪解け水に浸かって気持ちよさそうです・・・】

流れゆく雲の隙間から時折陽は射すが,長時間分厚い雲が上空を覆う。さらに,至仏山や燧ヶ岳の山頂が雲に隠れて見えないことも今ひとつ気持ちが盛り上がらない理由だ。こんな時は空撮しても面白くないので,上田代の逆さ燧のベンチに重い荷物を下ろし,昼食をとることにした。温かなしっとりとした空気に包まれ,遠くで響く鳥の声に耳を傾け,風に乗って運ばれてくる雪解け後の湿原の空気を吸いながらのんびりと昼食をとっていると徐々に気持ちも安らぐ。やはり,来て良かった。

07.jpg
【ワタスゲの花もあちこちで見かけました】

そんな気持ちを映し出すかのように,空も急速に明るくなってくる。やっとドローンが飛ばせるな・・・念願の空撮を済ませた後は中田代に向かう。下の大堀の撮影ポイントは,小さめのミズバショウがたくさん咲いていた。少雪だった上に気温が高く,雪解けが早かった分,今年も季節の移ろいは前倒しだ。いい具合に雲も減ってきたので,ここで本日2回目の空撮。絵に描いたような雲を背景に,定番写真の反対側にある「燧とミズバショウの群落」の写真を撮影。ドローンならではの1枚である。

08.jpg
【木道の間に守られるように咲くリュウキンカ】

一時は回復傾向であった天候も,また雲が優勢となったため早めに今日の宿「燧小屋」にチェックインし,バッテリーの充電等をしているとポツポツと雨が落ちてきた。早めに小屋に入って正解だった。本日の宿泊者は自分を含め5名。午後5時30分に早々と夕食を済ませ,入浴して部屋で寛いでいると空が急速に色づいてきた。久しぶりに尾瀬で見る夕焼けである。

09.jpg
【六兵衛掘のザゼンソウも顔を出していました】

カメラを抱えて弥四郎小屋の先まで急ぐ。夕焼けだけでは絵にならないし,池塘とかもないしなぁと四苦八苦しながら撮影を済ませる。すると,傍らでドローンを飛ばす2人が。聞くと「シカの食害調査」だという。この時間帯に? FISSに登録してあったかなぁ・・・
いつしか至仏山や燧ヶ岳の上空にあった雲はほとんどとれ,澄み渡った空が一面に広がっていた。明日の朝は冷えそうだ・・・。小屋に戻って早々に休むことにした。

10.jpg
【小屋で寛いでいたら空が急に色づいてきました】

*空撮にあたってはDIPS・FISS登録,関係機関への連絡・調整済です。
nice!(26)  コメント(0) 

雪解け進む尾瀬ヶ原【2】 [尾瀬ケ原]

25.jpg
【朝陽に染まる残雪の上田代】

 自分以外に宿泊者もなく,見晴地区でもう一つ開いている檜枝岐小屋にも数名の宿泊客しかいないため,静寂そのものだった尾瀬。春スキー客で賑わう山の鼻地区とは違い,尾瀬を満喫するには十分すぎるくらいだった。下田代の雪解けは尾瀬ケ原の中では比較的遅いほうであるため,この周辺では被写体探しに苦労するので朝弁当を頼んでおいて早めに小屋を後にした。雲一つない青紫の空に浮かぶ大きな月を見ながら中田代に向かう。

10.jpg
【モルゲンロートに輝く至仏山】

 ライトこそいらない明るさだが,誰一人歩いていないし,鳥のさえずりが聞こえるようになるまでにはまだ少し早い季節である。聞こえるのは,堅い残雪を踏みしめる自分の足音だけだ。放射冷却で冷え切った湿原の雪は良く締まり,アイゼンがよく効く。

15.jpg
【朝の光がやっと自分のいるところまで届きました】

 真ん丸の月が低くなるにつれ,ビーナスの帯がゆっくりと降りてきて,至仏山頂に赤い火が灯る。山頂に点火された火はみるみると山裾に向かってその範囲を広げる。気持ちも焦り,急ぎ足になるがなかなか良さそうな場所が見つからない。そうこうしているうちに朝の光が周囲を包み込む。ほどよい場所を見つけて,慌ただしく荷物を下ろして撮影準備に取りかかり,待ちかねたドローンを離陸させた。

20.jpg
【上田代上空から見る日の出】

60.jpg
【拠水林の中にも朝の光が届きます】

 上空から見る朝陽に染まる残雪の尾瀬ヶ原。今年は明らかに例年よりも雪解けは早く,池塘や雪原も多彩な表情を見せている。特に池塘はその水温の違いが影響しているのか溶け方も様々だ。単に真っ白な雪原だとやや面白みに欠けるが,これくらい変化があると楽しい。ついつい興味が先走り,動画を撮影していることを忘れて操作してしまうことも。

70.jpg
【残雪が溶け芽吹きが始まったばかりですが遅霜で真っ白に】

80.jpg
【やはりまだ早春。冬がちょっぴり同居しているんですね】

90.jpg
【早めに顔を出したミズバショウの苞も茶色に変わってしまいそうです】

 陽が昇ると,地上でもあちこちでドラマが繰り広げられている。放射冷却で相当冷え込み気温は-5℃。春を待ちかねて早々に地上に現したミズバショウの花や灌木を縁取る霜が朝陽を受けてきらきらと輝き出す。ドローンでの撮影をしながらもこうした宝石のように煌めく一瞬も記録しておきたくて,コンデジでの撮影も並行して行う。慌ただしく時が過ぎ,日差しに暖かさが戻り,何事もなかったかのようにいつもの光景に戻っていく。

110.jpg
【日が高くなると急激に温度が上がり,雪解けも進みます】

 撮影も一段落してから,昨日は人影もなかった龍宮小屋に立ち寄る。入り口の戸を開けると中から懐かしい顔が出迎えてくれた。小屋主さんは所用で今日上山してくるそうだ。帰る途中,何処かで会えるかも・・・

130.jpg
【上田代の雪解けも急ピッチで進んでいます】

龍宮小屋を後にして山の鼻に向かうが誰一人とも会うこともなかった。本当に人がいないのか,広い尾瀬ヶ原のあちこちに分散しているのか,時間が早いからなのか? とにかくこの時期の入山者の目当ては春スキーと百名山の景鶴山登山の人が大多数なのかも知れない。

135.jpg
【下の池塘は,微生物のミドリムシのようにも見えます】

 ゆっくり残雪の反射する光溢れる,雲一つない尾瀬ヶ原を散策したり,ドローンでの撮影をしながら山の鼻に向かっていたら声をかける人がいた。誰だろうと思っていたら龍宮小屋の小屋主さんだった。1年ぶりの再会だったので,その場で暫く談笑して別れた。今年は限定的ながらも営業してくれるのはありがたい。
最後はバテバテになりながら鳩待峠に着く。西日に銀色に輝く至仏山の雪面には,スキーヤーのシュプールが多数刻まれていた。

*空撮にあたっては,DIPS・FISS登録,関係機関への連絡・調整済みです。

140.jpg
【至仏山に刻まれたシュプール。これも春の風物詩だろう】
nice!(17)  コメント(2) 

雪解け進む尾瀬ヶ原【1】 [尾瀬ケ原]

00.jpg
【上空を激しく雲が行き交い,面白い風景を見せてくれた】

 観測史上最も早いサクラの開花宣言が全国各地で続出した今年は,尾瀬でも温暖化と少雪の影響で雪解けもかなり進んでいるようだが,出かける前日に低気圧が通過し,僅かだが尾瀬は積雪したようだ。冬用タイヤも外してしまい,不安もあったので明るくなってから出かけた。

10.jpg
【除雪した雪が積み上げられた鳩待峠。シラカバと樹間越しに見える至仏山の残雪が眩しい】

 鳩待峠の駐車場には午前8時頃に着いたが,ほぼ満車状態。平日にも関わらずかなりの賑わいだ。登山者の多くは至仏山で春スキーを楽しむためにやって来たスキーヤーやスノーボーダーである。雲一つない晴天だが,前日の低気圧の影響か猛烈な風が吹いていた。ドローンでの撮影を考えていたので,至仏山に向かう選択肢は消えた。たくさんの人が至仏山を目指す中,山の鼻に向かう。

20.jpg
【熊棚。木の葉が落ちてしまったためその所在が明らかに。】

 雪が少なめとは言っても山の鼻への木道はほとんど雪の下。完全な雪道の方が踏み外す心配もないし,木道よりも寧ろ歩きやすいくらいだが急峻な場所もあるのでアイゼンを着ける。慣れないせいかアイゼンの爪を引っかけて転びそうになることも何度か・・・。静かな山の鼻に着いた。

30.jpg
【ほんの一瞬だけ姿を見せてくれた燧ヶ岳山頂】

 相変わらず風は強く,冷たい。その風に乗って風花が飛んできたかと思うと時間とともにその量が増え,遠くに見えるはずの燧ヶ岳も霞んでしまうほどだ。強い風に運ばれた雲が日差しを遮ると一気に寒くなる。家で緩い生活に慣れてしまった体にはかなり堪えた。この強風では楽しみにしていたドローンでの空撮もままならない。

50.jpg
【フォトジェニックな雲が行き交います】

 今日は,見晴まで歩くだけなので,ロケハンをかねてあちこちふらふらと雪原を歩き回る。雪の中から顔を覗かせたベンチに腰を下ろして,のんびりと昼食をとる頃には,風も一時よりも収まっていた。しかし,燧ヶ岳の山頂はいつになっても雲に隠れたままだ。上空ではいろいろな形の雲が次々と現れては移動していくが,雪原に落ちたその影が忙しそうに移動するのを見ているだけでも退屈しない。

60.jpg
【上空からの残雪の尾瀬ヶ原。今年は雪解けが早そう・・・】

 上田代周辺の池塘も既に姿を現しているところもあるなど,今年の残雪は情報通りかなり少なめだ。尾瀬ヶ原を西から東に移動するにつれ,その雪の量はさらに少なくなっていき,下の大堀橋から龍宮小屋間は,ほぼ完全に木道が出ていた。風も収まってきたので,空撮も何度か楽しみながら今日の宿「燧小屋」に向かう。

70.jpg
【拠水林の葉が落ちてヨッピ川の流れがよく見えます】

小屋で受付を済ませたあとは,必要な物だけを持って,夕食まで小屋周辺を歩く。既に風はおさまり雲もかなり少なくなった。天気予報も明日の晴天と冷え込みを伝えていた。今日の宿泊客はただ一人。何度も尾瀬に通ったが初めての経験だ。(゜Д゜)
やることもないし,長時間の慣れない雪歩きと眠さで早々に就寝。明日に備える。

80.jpg
【景鶴山とヨッピ川】

90.jpg
【水量豊富な平滑の滝】

*空撮にあたっては,DIPS・FISS登録,関係機関への連絡・調整済みです。
nice!(12)  コメント(0) 

氷の殿堂「雲龍渓谷」を歩く [雲龍渓谷]

0.jpg
【「氷の神殿」内部よりブルーアイスの氷柱越しの雲龍瀑を望む】

2月6日(土) 快晴
コロナ禍で家に籠もってばかりで体力も相当落ちてきているので,雲龍渓谷を歩いてきました。今までに7回ぐらい出かけていますが,今回は3年ぶりになります。
昨年は温暖化の影響で悲惨だという噂を聞いていたので見送っていたのですが,今年は雪は少なめですが,冷え込みが厳しかったので昨年よりは良さそうだという。
見頃は1月下旬~2月上旬の短い期間とあって,週末は相当混み合います。山と渓谷の表紙に取り上げられてからは,一気に人気スポットになってしまいました。

天候の関係もあり,できれば避けたかった週末に出かけました。午前6時30分には,登山道の入り口付近のから2~300m離れた場所まで路駐の車で一杯でしたが,少し離れた場所に車を駐めて歩き出しました。
「日向砂防ダム分岐」辺りまでは車道を歩きました。積雪はほとんどないのですが。日陰は溶けた雪が氷のようになっていてよく滑りました。「洞門岩」からは川沿いのルートをとりましたがいつもよりも雪も少なくかえって歩きにくかったです。雲竜瀑に向かうルートの雪もほとんど消えていてたり,場所によってはドロドロになった土が凍っていたりと非常に歩きにくかったです。

雲竜渓谷入り口の階段からアイゼンを着用して歩きますが,雪解けが進んでいて川の水も多めで徒渉する箇所もたくさんありました。温暖化で年々その規模も縮小していると言われているし,時期的にもそろそろ終わりを迎えそうなのですが,今年の「友知らず」や「燕岩の氷の神殿」の氷柱は久しぶりにかなり見応えがありました。

10.jpg
【「友知らず」と雲龍渓谷。次々と人がやって来ます。今日の来訪者は200人程度でした。】

20.jpg
【いわゆる「氷の神殿」に立つ2本の氷柱。今年は立派に育っていました。】

30.jpg
【「燕岩」の氷柱群。暖かさでいくつもの塊が大きな音を立てて落下していました。】

40.jpg
【雲龍瀑の滝壺を目指すにはちょっと危ないルートを越えていく必要があります。】

45.jpg
【ここまで来れば雲龍瀑は目の前です。】

47.jpg
【完全に氷結した「雲龍瀑」の滝壺から真上を見上げてみました。】

50.jpg
【「氷の神殿」の氷柱を上空から。】

70.jpg
【雲龍瀑を上空から】

80.jpg
【「氷の神殿」内部の様子です。】

90.jpg
【「氷の神殿」の氷柱。このアイスブルーが神秘的です。】

100.jpg
【雲龍渓谷の川の中にも水しぶきが作った芸術品がたくさん並んでいました。】
※DIPS(国交省ドローン情報基盤システム)登録済み
nice!(17)  コメント(2) 

新雪眩しきアヤメ平 [アヤメ平]

800.jpg
【モルゲンロートに染まるアヤメ平の崖】

先週,新雪のアヤメ平を歩いてきた時の様子を簡単にまとめましたのでご覧ください。

11月12日(木) 快晴
11月も半ばを過ぎ,尾瀬では雪の降る日もその量も日増しに増え,文字通り「遙かな尾瀬」になろうとしている。降雪と雪解けを何度かくり返し,やがて真冬の眠りにつく・・・。しかし,尾瀬が雪に閉ざされ眠りにつく僅かな間隙を縫って尾瀬に会いに行ける年もある。純白の雪に覆われたその姿は凜として気高く神々しい。訪れるどの季節よりも間違いなく美しい。そんな神秘的な初冬の尾瀬を垣間見る事ができるのが,アヤメ平である。

810.jpg
【上空から眺めたモルゲンロートに染まる初冬のアヤメ平】

前日に車を走らせ道の駅で仮眠後,車で富士見下へ。ここの積雪はわずかだが,富士見峠は30cmぐらいはあるだろうか。物音一つしない真っ暗な道をいつ現れるか分からない熊の幻影に怯えながら,ただひたすら距離を稼ぐ。轍もすぐになくなり,目の前に延びる道の先にあるのは,降り積もったフワフワの新雪とそこに付けられた小動物の足跡だけだ。高度が上がるとだんだん雪が深くなるが,流石にここまでくれば熊が来ることはないだろう・・・。

820.jpg
【一部見える尾瀬ヶ原も結構積雪しているようです】

アヤメ平の直下に着く頃にはヘッドライトは必要なくなっていた。気温は-5℃。新雪は20~30cm。時間的にそろそろ陽が昇る頃だ。そこで寒さに耐え,暫く待った。やがて,アヤメ平の崖が淡いピンク色に染まり始める。その頃合いを見計らって空撮開始。

830.jpg
【降雪直後なので樹木にたくさん雪がついていて初冬の雰囲気たっぷりでした】

今までも朝陽に染まるアヤメ平を見たくて歩いたものの,雪に阻まれ悔しい思いをしたことが何度もあるが,今は代わりにドローンが飛び回り,茜色に染まるアヤメ平や至仏山,尾瀬の彼方の会津や越後の山々を上空から見せてくれた。気温が低いせいかバッテリーの減りが速い。登山道からだと電波が遮られるため飛行できるところには制約が多いが,なんとか素晴らしい光景を見ることができた。

900.jpg
【クリスマスツリーのように綿帽子をかぶったオオシラビソ】

昨年は天候の悪化で撤退したが,今年は天気も安定しているし,時間もたっぷりあるので予定通りアヤメ平に向かう。新雪は見た目には繊細で儚げだが,歩くことを考えると非常に厄介である。時にはスノーシューを装着し,呼吸を整え,一歩一歩意識して歩を進めなければならない。踏み込んだスノーシューに崩れ落ち覆い被さった雪を乗せたまま歩き続けることもあり,目的地に着くまでに通常の何倍もの時間がかかる。幸い,富士見下から富士見峠までの道は林道なので比較的歩きやすいが,問題はそこから先である。降ったばかりのサラサラの雪が木道や湿原に降り積もり,強風がそれを均してしまうためルートが分からない。残雪期と違って雪が締まっていないため,不用意に歩くと木道の隙間にも池塘にも落ちてしまう危険性があるのだ。

910.jpg
【アヤメ平は風が強いため降った雪も飛ばされ,積雪自体はそれほど多くありません】

歩くたびにフワフワの雪に体力を吸い取られる感じである。時々木道を踏み外し,その間に嵌まりながらも時間をかけて富士見田代に到着した。純白の雪に覆われた無垢の情景を期待していたが,池の周囲や池の上は既に小動物の遊び場になっていたようだ。さらに,たっぷり時間をかけてアヤメ平に到着した。雪は先週よりも若干増えているようだが,池塘は一部がまだ氷結していない。雪原からも一部草が見えている。遠くには会津・越後の真っ白な雪を被った山々が聳えていた。

920.jpg
【閉ざされゆくアヤメ平の池塘。まだ完全に凍ってはいません】

木道やベンチの雪は強風に飛ばされてほとんどない。朝強かった風もやっと収まり,ベンチも太陽の光で温められてぽかぽかのハイキング日和。ベンチで昼食後アヤメ平を後にした。帰り道,この日会った唯一の登山者からラッセルのお礼まで言われてしまった。さらに,帰り道を急いでいると大きなシカが3頭,ほんの数メートル先を横切った。思いもよらぬハプニングに最後はどきどきだったが,コロナに振り回された2020年の尾瀬のシーズンを無事に終えることができたことに感謝したい。

950.jpg
【アヤメ平の風紋。風が作り出す不思議な模様がたくさんありました】

※国交省ドローン情報基盤システム(DIPS)登録,関係諸機関への連絡・調整済みです。
nice!(17)  コメント(4) 

眠りにつく尾瀬 [尾瀬ケ原]

210.jpg
【すっかり雪に覆われた尾瀬ヶ原。この雪が根雪になることはないのだろう・・・】

11月5日【曇りのち晴れ】 
尾瀬の入山口,鳩待峠,大清水,沼山峠に通じる道もいよいよ閉鎖となる前日,尾瀬に久しぶりに大量の雪が降った。ここ数年,温暖化の影響からか新雪に覆われた尾瀬ヶ原の様子を見る機会は極めて少ない。せっかくの機会なので行ける時に行っておこうと急遽,鳩待峠に向かった。

220.jpg
【雪晴れの登山道。すっかり葉が落ち明るくなった林内を歩く】

紅葉も終盤を迎えた奥日光も混雑からは解放され,気持ちよく車を走らせていると車道に大きな鹿が現れた。それも大きく立派な角を携えた雄鹿だ。こんな角で突かれたら車に大穴を開けられかねない。機嫌を損ねないようにスピードを落として慎重に車を走らせる・・・。しかし,暫く走っていると,次から次へと同じような雄鹿が現れる。全部で10匹近くはいただろう。さらにはカモシカまで現れた。鹿のサファリパークにでも迷い込んだか・・・

230.jpg
【山の鼻ももうすぐ。見慣れた風景も雪に覆われて一変・・・】

最後に真打ち「熊」との遭遇もあり得るな・・・。今までにないくらいの数の野生動物の出迎えを受け,鳩待峠に着く頃には,気持ちもやや後ろ向きになっていた。
駐車場には以前から駐めてあったと思われる分厚い雪に覆われた車が数台,今日到着したと思われる車が2台寂しげに駐まっていた。

240.jpg
【ふわふわの雪が湿原を覆う。池塘も場所によって表情が異なる】

準備だけは整え,鳩待峠休憩所に向かう。至仏山頂は雲に覆われ,晴れる気配はない。GPVでは昼頃から完全に晴れる予報にはなっているが,のんびりとそれを待つ余裕はない。今日は,午後2時までに戸倉に戻らなければ,道路が冬季閉鎖されてしまうのだ。

250.jpg
【雪晴れの湿原。燧ヶ岳がなかなか山頂を見せてくれません】

鳩待峠からの様子を撮影していると,突然,峠まで数台の車が上ってきて,中から多くの人が降り立った。ビジターセンターの閉所作業をするのだという。その一団は,慌ただしく山の鼻に向かっていった。その人たちの後を追うように登山道に積もった雪を踏みしめながら歩き始める。前回とは明らかにその量が違う。優に15~20cmは積もっていただろうか。一人でラッセルするとなると厄介だが,先行者があったのでその苦労は軽減された。

260.jpg
【氷で閉ざされた池塘のヒツジグサの上に雪が降り積もる】

すっかり葉を落とし,光溢れる林内には,昨日降った純白の雪が降り積もり,木漏れ日を眩しく反射させている。雪晴れの気持ちの良い林内をゆっくりと進む。前回たくさん見かけた熊の足跡もほとんどないが,油断は禁物。イヨドマリ沢周辺には,あちこちに熊の足跡があった。まだ冬眠はしていないようだ。

265.jpg
【葉が落ち,林内が見渡せるようになった拠水林。川の流れも見えます】

先ほどの人たちが山の鼻で慌ただしく閉所作業をするのを横目に上田代に向かう。その先は,2~3名の踏み跡だけとなり,ふわふわで歩きにくい雪を踏み外さないように慎重に歩く。人のほとんどいない最終日に,高架になった木道から落ちて怪我する事態だけは避けたい・・・。激しく雲が行き交い,時々青空が空を横切ると,真っ白な雪原に落ちたスポットライトが雪原を行き来する。尾瀬のシーズン中に真新しい霜や雪と遭遇することが少なくなり,こんな雪の日ならではの光景を実際に尾瀬ヶ原で目にしたのは本当に久しぶりである。この雪は果たして根雪となって来シーズンまで残るのだろうか・・・上田代の逆さ燧のベンチ付近まで行き,折り返す。


270.jpg
【湿原の白と池塘の黒。色の対比が面白い】

だんだん,天候は回復していたが,最後まで燧ヶ岳や至仏山の山頂は見ることができなかった。しかし,最後の最後に振り返ると,その時だけ燧ヶ岳の山頂が姿を現してくれた。燧ヶ岳に今年最後の挨拶をして帰路につく。

280.jpg
【豪華絢爛,錦秋の尾瀬から僅か半月でモノクロの尾瀬へ。その変化は劇的です】

やはり,尾瀬最終日。しかも,平日でもあり一般の登山者と会ったのは10名程度だ。あとは尾瀬関係者ばかりである。帰り道,木道工事をしていた人に話を聞くと,木道工事は道路が冬季閉鎖になっても終わるまで続けるらしい。ビジターセンターの片付けも終わったようで山の鼻は物音一つしない静かな初冬の尾瀬に戻っていた・・・。尾瀬には半年ぶりの静寂が訪れ,長い眠りにつくのだろう・・・。

290.jpg
【ドローンで間近から見た小至仏山】

すっかり天候も回復し,新雪を纏った至仏山がどっしりと見守る鳩待峠に着いたのは午後1時。冬季閉鎖には何とか間に合うだろう。最後に空撮をして尾瀬の地を後にした。

300.jpg
【新雪に覆われた尾瀬を望む。燧ヶ岳はまた雲に隠れてしまった・・・】
※空撮に当たっては,国交省DIPS・FISS登録,関係機関への連絡調整済みです。
nice!(12)  コメント(2) 
前の10件 | -