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■グリーンシャワー[2] [尾瀬沼]

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[芽吹きの始まった沼尻湿原と忙しく行き交う雲]

□6月5日(月)晴れのち曇り 29,354歩
 前回に続き今回も朝食を朝弁当にして,周囲をゆっくりと撮影するつもりだったが,ヤマドリゼンマイ等の芽吹きにはまだ早いし,朝靄なども出ていないため撮影するものがあまりない状態だった。取りあえず必要な物だけをもって大江湿原に出てみるが,休み明けの朝とあって湿原を散歩している宿泊客もほとんどいない。

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[尾瀬沼の静かな朝]

 既に燧ヶ岳中腹まで射し込んでいた朝の光が,大江湿原を照らす頃を待って空撮を始める。上空に上がったドローンから届けられるのは,朝陽を浴びて眩しく輝く至仏山,燧ヶ岳,そして尾瀬沼を取り囲む山々の映像だ。朝の穏やかで暖かい色の光が山上の楽園を包む。どこを見渡しても朝靄や朝霧はなく,いかにも尾瀬というような幻想的なイメージはないが,この穏やかな朝の時間は外せない。

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[早春の大江湿原。日一日と緑が濃くなっていく。]

 のんびりと撮影して小屋に戻ると,朝食の時間が始まっていたため食堂は混雑していたものの,2階に上ると辺りは静まりかえっていた。ここでいいかと昨日用意してもらった朝弁当を部屋で食べてから,出発準備を整えていると同室の方が戻って来たので少し雑談した。韓国からのツアー客を案内してきたのだという。そのグループの集合時刻が近づき小屋の前が賑やかになってきたので,その人と別れ,談話室でゆっくりとドリップコーヒーを飲み一服してから小屋を後にした。

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[長蔵小屋裏のシラネアオイ。霜害から逃れられたものは僅か。]

 荷物を預けて小屋の外に出る。この日も天気は良いし,時間もたっぷりあるので尾瀬沼を一周することにした。尾瀬で最も遅く開花するチシマザクラを何とかギリギリ見る事ができたので,次は,いつもこの時期にたくさん見かけていたサンカヨウを撮影したいと思っていたが,なかなか見つからないので,ビジターセンターの方に確認すると,シカに食べられてしまって数が激減したのだという。

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[沼尻湿原を上空から見ると意外に池塘が多いことが判明]

 そのサンカヨウを探しながら,沼の周りを散策する。時期的には見頃を過ぎたミズバショウも,森によって霜害から守られたため,真っ白なものが多かったのは,嬉しい誤算だった。まだまだ森の中に咲く花は少ないが,カッコウやウグイスの声を聞きながら歩く時間は最高の癒やしの時間となった。

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[未踏の地。治右衛門池とタソガレ田代]

 沼尻では,多くのツアー客が次々にやって来ては,休憩所のテラスで休んでいた。風はあるものの,夏至も近いこの時期は日差しも強く,やはり日陰が恋しくなる。沼尻周辺から,まだ訪れた事のない池や湿原を空撮して,早々に樹林帯に逃げ込んだ。

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[南岸道にたくさん咲いていたムラサキヤシオツツジ]

 来た道を戻ろうかとも思ったが,やはり暫く訪れていない南岸道を通って,予定通り尾瀬沼一周をすることにした。以前は,相当荒れていた木道や登山道もかなり整備され,安心して歩けるようになっていた。一カ所だけは,雪があったらかなり危険だろうなと思う場所はあったが・・・。

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[数が激減したサンカヨウ]

 やはり,見られる植物が北岸道とは違っていた。南岸道で印象的だったのはムラサキヤシオツツジ。時期的にもちょうど見頃を迎えており,それ以外にも多くの花に出会えたのは,こちらを回って良かった事の一つだ。

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[南岸道から見る燧ヶ岳とミズバショウ]

 三平下に着くと,ここでも多くの人がベンチで休んでいたので,自分もここで小休止してから長蔵小屋に向かった。
その後,長蔵小屋に預けていた荷物を受け取り沼山峠に向かったが,バスの接続が悪く,もう一つお目当ての檜枝岐での裁ちそばやハットウが時間切れで食べられなかったのは心残りである。
*空撮にあたり,DIPS2.0での機体登録・飛行計画登録,関係機関への連絡・調整済み。

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[新緑に包まれて,5月の風に吹かれているのは至福の時です]
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■グリーンシャワー[1] [尾瀬沼]

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[真っ青な空を背景に,新緑が眩しく輝いていた]

□6月4日(日)晴れ 19,621歩
 気温は少し高めに推移し,ほぼ例年通り,九州・四国地方は梅雨入りをした。関東地方の梅雨入りも時間の問題かというような状況だったが,この時期としては珍しい台風が日本列島付近を通過し,台風一過の晴天がもたらされた。この日を逃したら暫くは尾瀬には行けないかもと思い,尾瀬に向かった。
 前回,尾瀬ヶ原から尾瀬沼へ縦断する事が出来なかったので,今回も無理はせず,尾瀬沼だけをのんびりと歩くだけの計画にした。ついでに,久しく食べていなかった檜枝岐の裁ちそばやハットウも味わいたいとの思いもあった。

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[途中で寄り道をして撮影した「モーカケの滝」]

 日曜日なので,尾瀬の宿泊客は減る事が予想されたが,交通渋滞も考えられるので早めに家を出発した。高速道路は,貨物輸送のトラックが多数行き来していたが,それほどの混雑もなく御池に到着した。爽やかな風に吹かれて新緑が眩しく揺れ,ハルゼミの声がこだましていた。
 もちろん,途中でモーカケの滝や御池周辺の空撮も試みた。ただ,やはり台風の影響が若干残っていたのか,強風に煽られて何度か警告が出た。自動帰還もできない状況のため地図を見ながら手動で戻せと表示された時には,少し緊張したが,新緑に包まれたブナ林や残雪残る燧ヶ岳の様子を撮影した。やはり,こちらから空撮する機会は少ないので,見える景色は新鮮だ。

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[御池側から見る燧ヶ岳]

 がらんとした駐車場でゆっくり身支度を調えて,シャトルバスに乗り込む。すっかり新緑に包まれた沼山峠への道をバスに揺られながら進む。沼山峠休憩所に着くと,数名の登山者がテラスで寛いでいた。少しすると,団体客を乗せた大型バスが到着して,一気に辺りが賑やかになってしまったので,この団体が動き始める前に出発することにした。

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[チシマザクラが何とか咲いていてくれました]

 沼山峠展望台で荷物を下ろして,ここからほとんど見えなくなってしまった大江湿原や燧ヶ岳の空撮を始めた。幸い,大江湿原は山に囲まれているので強風の影響もほとんどなく撮影することができた。やがて,ツアー客の一行が尾瀬沼に向かい,元の静寂が戻った頃,また歩き始めた。

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[風が強く,大きな雲が激しく入れ替わります]

 大江湿原の入り口付近に到着すると,いつもなら出迎えてくれるはずのミネザクラは,すっかり葉桜となっていた。やはり,尾瀬沼もいつもよりも花暦は前倒しになっているようだ。また,尾瀬ヶ原同様,GW後の遅霜,降雪,低温の影響は顕著で途中にあったイワナシやミズバショウ等の葉や苞は茶色に変色し,見るも無惨な姿に変わり果てていた。ただ,一歩森に入るとその影響から免れた花たちが生き生きとした姿を見せてくれていた。

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[森の中のあちこちで見られたコミヤマカタバミ]

 風に吹かれながら,のんびりと大江湿原を散策した。湿原内では,ミズバショウの他,イワカガミ,タテヤマリンドウ,キジムシロ,リュウキンカ,チシマザクラ,ミネザクラ,ワタスゲの果穂等が数は少なめだったが出迎えてくれた。また,あちこちでコバイケイソウがたくさん芽吹き,今年は当たり年になりそうな予感を漂わせていた。

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[尾瀬沼の畔のテラスからの今年最後の花見]

 元長蔵小屋横の尾瀬沼の畔のベンチ荷物を下ろし,見慣れたこの光景に包まれながら,ウグイスの声に耳を傾け,食事をするのは至福の時間だ。その後,受付を済ませ,荷物を置き周辺をサンカヨウの花を探してウロウロする。以前はたくさん見かけたこの花も,ビジターセンターの話では,シカの食害にあって近年はめっきり数が減ったという。

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[大江湿原の中でも,大江川の周囲だけが緑色に]

 いったん小屋に戻り,風呂と食事を済ませてから,再度カメラを持って周囲を歩く。カマッポリ湿原では森林側の川沿いに僅かにミズバショウが咲いていたが,完全に見頃は過ぎていた。ただ,沈みかけた夕陽の照らされたコバイケイソウの葉やミズバショウの苞が綺麗だった。上空を盛んに雲が行き来していたので,久しぶりに夕焼けが見れそうだと心躍らせる。

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[沈み駆けた夕陽に照らされるコバイケイソウの葉とミズバショウの苞]

 やはり,思った通り,期待以上の夕焼けに包まれ,30分後には尾瀬沼は穏やかに眠りについた。ストーブの付いた談話室に戻り,今年初めてという夕焼けを見れた余韻に浸った後は,宿泊客2名の相部屋に戻って休んだ。
*空撮にあたり,DIPS2.0での機体登録・飛行計画登録,関係機関への連絡・調整済み。

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[今年初となる尾瀬沼での夕焼け]
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