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■初雪と晩秋の尾瀬[1] [尾瀬ケ原]

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【雨の中を在るよく覚悟できたのですが,晴れてくれたので助かりました】

□10月21日(土)[午前]曇り時々晴れ,[午後]雨のち雪 17,670歩
 先週末,好天の下,黄葉と紅葉に包まれた綺麗な尾瀬を堪能したものの,本格的な紅葉には早かったしドローンによる空撮も出来なかったことから,紅葉が綺麗なうちにもう一度,尾瀬を訪れたいと思っていた。そこに,週末には寒波が訪れて北関東北部の山岳地では降雪があるとの天気予報がもたらされた。しかも翌日の予報も悪くない。山小屋が営業している期間中に尾瀬に雪が降ったのは10年以上経験がない。週末で混雑するかも知れないが,千載一遇のチャンスとばかりに山小屋に予約を入れた。

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【今週末ぐらいまで持つと思ったのですが・・・ 見頃は数日前のようです】

 降雪直後となる日曜日に入山し,翌日に残雪の尾瀬を撮影するつもりでいたが,土曜日の雪の降り方次第では,津奈木~鳩待峠間の車道が通行止めにならないとは限らない。尾瀬仲間も久しぶりに入山するということだったので,一日早く入山して待機することにした。しかし,太平洋側の気候の日光は好天で,朝早くから紅葉見物の観光客で渋滞するのは確実。渋滞前に日光を通過したいと考えて,いつもと変わらない時間に家を出た。予想通り日光は混雑していたが,何とか渋滞からは逃れることが出来た。あとは今日中に山小屋に着けばいい。

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【テンマ沢付近の紅葉。この辺りはちょうど良い感じでした】

 第一駐車場でタクシーを待っていると何と尾瀬友のTさんと,Hさんが突然目の前に現れた。正に乗合タクシーに荷物を積んで鳩待峠に向かうところだったので,挨拶もそこそこに鳩待峠に向かい,二人が到着するのを待った。それにしても待ち合わせをしたわけではないのに,これほど絶妙のタイミングで会うことが出来てただただビックリした。それほど待たずに二人が到着した。また,ここで久しぶりに鳩待峠で寛ぐ尾瀬仲間のRさんとも出会った。
 昼前後から天候は崩れる予報なので,三人で山の鼻に急ぐ。しかし,天候は崩れるばかりか,寧ろ時折日が射して,一層円熟味を増した紅葉が太陽の光に照らされ森の中を明るく彩っている。ただ予想外だったのは,先週は紅葉には早かったので,今週末ならまだ何とか見れると思っていた紅葉は赤みを増し,ほぼ終わりかけの様相だった。落ちた葉っぱもたくさん木道に散り敷いていた。

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【先週末に比べると,すっかり色は濃くなり,葉を落としてしまった樹も目立ちます】

 山の鼻地区の山小屋はもうすっかり冬支度を終え,雪囲いに囲まれて閑散としていた。一週間前はあんなに華やかな賑わいを見せていたのに信じられない思いだ。唯一営業していた山の鼻小屋で昼食をとることにした。片付けの関係からか簡単なメニューしかなく,この日は三者三様,皆カレーで済ます。いつまでたっても天気の崩れる気配は無かったが,上田代を歩いている頃にぽつりぽつりと降り出した雨が,急に激しくなったので雨具に着替える。
 このところ暫く雨の中を歩く経験をしていないので,雨に濡れた木道は滑りそうで怖い。腰が引けそうになりながらも雨に耐え,ひたすら龍宮小屋に急ぐ。手袋もしていない両手が冷たい。相当冷え込んできているのだろう。このまま雪になってくれるといいのだが・・・,そんな思いで見ていると時折雨の中に白いものが見えたが,霙になったりすることはあっても直ぐ止んでしまい,なかなか本格的な雪に変わることはなかった。

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【上田代を過ぎる辺りから小雨が強く降り出しました・・・ それがやがて霙に】

 龍宮小屋に着くと小屋閉めの手伝いで来ているNさんや例年この時期に宿泊しているTさんらが通りかかり,声をかけてくれた。今日の宿泊客は20名ほど。悪天だからと取りやめるどころか,むしろ雪を期待してそれを楽しみに来たという人ばかりである。ただ,その中に,例年この時期に来て長逗留していた兵庫のTさんやHさんの姿が見えないのは寂しさを感じる。
 部屋にいても寒いしつまらないので,ストーブを取り囲んで集まった人たちと暫く雑談していたが,体も冷えてきたので早々に入浴。予報よりも遅れ気味の雪に,本当に降るのだろうかと不安になりながらも,夕食後もストーブの周りには人だかりができて,外の様子を気にしていた。やがて少し遅れて降り出した雪は,だんだんその勢いを増し,みるみる数センチの積雪となった。これで一安心。明日の早朝は,念願の雪景色と対面できそうである。寝起きに目の前に広がる真っ白な雪景色を夢見て床についた。

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【ついにやって来ました。お待ちかねのものが・・・】
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■錦秋の尾瀬に霜が降る[3] [尾瀬ケ原]

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【一面真っ白な大霜の朝。モノトーンの世界に赤い火が灯る・・・】

□10月14日(土)晴れ 23,888歩
 今朝の好天は部屋の冷え切った空気からも容易に想像できた。今朝も食事は涙をのんで朝弁当にしておいたので,心ゆくまで撮影に専念しよう・・・。小屋を出たのは5時20分を過ぎていた。まだ辺りは暗く,薄明の空にはいくつかの星が瞬いている。三脚なしで撮影できる状態ではないので先を急ぐ。湿原はもちろん拠水林の樹木の先端にまではっきりとした霜が付いている。これは紛れもない大霜だ。深く感謝・・・。シカ柵も漸く除去されたので撮影候補地は増えたが,思い悩んだ末ヨッピ橋方面に向かった。

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【太陽の光は湿原を照らし,凍り付いた世界を一瞬にして溶かし始める】

 朝靄がそれほど出ていない分,冷え込みも昨日以上だ。逆に冷え込みが厳しいから朝靄が湧かないのか,その因果関係はちょっと分からないのだが・・・。(^^ゞ 今朝の気温は昨日よりも更に冷えて-5℃。枯葉に付いた霜も冷やしすぎの冷凍庫についた霜のようにバリバリに尖っている。周りをぐるり見渡せばうっすらと雪が積もったかのように真っ白な光景が広がる。夜明け前の青い光が荘厳な雰囲気を醸し出す。

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【大霜ならでは。湿原の木々や小さな草の先端までとげとげの霜でびっしり】

 やがて,東と南の空に浮かんでいた僅かな雲が,茜色に染まる。それは,時間とともにその濃さを増し,いつしか至仏山頂を照らし始める。至仏山頂に灯った光はなだらかな斜面を駆け下りて湿原までやってくる。モルゲンロートの進捗状況を確認しながら,夏や秋の定番ポイント・イモリ池に向かう。
その光が湿原を照らし始めると湿原の水蒸気が忙しく動き回る。それにつられてあちこちにカメラを向けて忙しくシャッターを切る。まだ気温が高いのでこの光を受けて湿原の草に付いた霜はあっという間に落ちてしまうのでのんびりしていられない。

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【朝の光を浴びて,僅かな空気の流れが起きその揺らめきが霜を輝かせる】

 何処にカメラを向けても絵になるのが,この時間帯だ。いつもなら朝食の時間を気にしたり,ドローンでの撮影に追われたりして,中々撮影できなかった地上からの光景を今回は,怪我の功名でじっくりと撮影できた。久しぶりに一眼レフで撮影する醍醐味を味わった。やはり空撮できないのはどうにも心残りではあるが・・・この時期撮りたかった大霜の光景をここ数年続けて撮影できているが,いつ見ても感動的な光景である。

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【水温お高い池塘からは,もうもうと水蒸気が上がり激しく動き回る】

 大霜に覆われていた湿原や樹林帯が時間と共に元の秋の色に戻っていく。今は正に秋真っ只中なのだ。この紅葉と大霜という組み合わせはなかなか見れるものではない。長かった影も徐々に短くなると,大霜は日陰にだけ取り残される。そうした場所やまだ霜が溶けた水滴の煌めく様子を撮影しながらゆっくりと龍宮小屋に戻る。今日一日分の撮影エネルギーをすっかり使い切った感じで,小屋主さんと談笑して小屋を後にする。「また来年,良いお年を・・・」その年最後となる宿泊時の挨拶に見送られて小屋を後にした。

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【樹木を真っ白に覆っていた大霜がだんだん溶け,元の色が徐々に戻る】

凄いものを見てしまった後は,どんな秋の光景を見ても気持ちは時めかない・・・。乾いた秋風吹き抜ける尾瀬ヶ原を錦に染まる山々に見守られて山の鼻へ。すると,そこで久しぶりに満面の笑みで,いつものドリンクを美味しそうに飲み干すKさんに遭遇した。しばし談笑して山の鼻を後にする。次はいつになるのかな。出来たら来週辺りドローン撮影のリベンジが出来たら良いのだが・・・

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【間もなくピークを迎えようとしている上田代。】

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■錦秋の尾瀬に霜が降る[2] [尾瀬ケ原]

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【まだ水温が高い尾瀬沼から立ち上がる朝靄の中を優雅に泳ぐカモ】

□10月13日(金)晴れ 27,255歩
 撮影地が目と鼻の先にある長蔵小屋は,そんなに早く起きる必要は無いのだけれど,早々に目が覚めてしまったので撮影の準備を済ませて薄暗い小屋の外に出た。空気はヒンヤリと冷え,ビーナスの帯が空と尾瀬沼の水面を華やかな色に染めていた。沼からはもうもうと朝靄が漂う中を多くの水鳥が餌を啄んでいた。元長蔵小屋のテラスで明るくなるのを待っているとカメラを持った人たちが次々とやってきた。

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【雲の切れ間から朝日が射し込んだらしく赤い光は帯状になっていた】

 朝靄に包まれた尾瀬沼の幻想的な光景も暫く見ていたかったが,湿原の様子も気になって大江湿原に移動する。高い樹木の先まで真っ白になる所謂大霜と言えるほどではないが,相当広範囲にわたって霜が降り,赤茶色の草紅葉に染まっていた大江湿原は,まるで雪が降ったかのように真っ白になっていた。木道にも霜が降り滑りやすいので注意しないと・・・。

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【朝靄のベールに包まれたダケカンバ黄葉】

 周りを小高い山に囲まれた盆地のような大江湿原は,日が射し込む時間が遅く,この時期はちょうど朝食の時刻と重なる。寒い朝の暖かい朝食は魅力的だが,泣く泣く朝弁当を頼んでおいた。朝食の時間になり湿原を行き来する人は燧ヶ岳に向かう登山者ぐらいとなり,より撮影に集中できる。

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【僅かな霜が紅葉した小灌木の葉っぱを繊細に縁取る】

 湿原全体がフリーザーの中に入ったような凍てつく朝。気温は-3℃。木道の脇に既に立ち枯れていたミヤマアキノキリンソウや小灌木の小さな葉一つ一つにまで丁寧かつ綺麗な装飾が施され,青白い凜とした湿原の中で花を咲かせたかのように一際注目を浴びている。

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【大江湿原に朝日が射し込む】

 湿原を取り囲む林の上部に日が射し始めると,ダケカンバの黄葉が,ナナカマドやヤマウルシ等の紅葉が,今自分が秋の真っ只中にいる事を実感させる。いつもだと紅葉が終わってから見られるこのような大規模な霜がこの紅葉の時期に見られるのは大変ありがたいことだ。
その光がやがて湿原のシンボルにもなっている三本のカラマツにスポットライトを当てる。そして,程なくしてその光は湿原の上へ。すると僅かな上昇気流を生み,霜を纏う一本一本の草を揺らし,七色に輝く小さな光を四方八方に飛び散らせる。宝石箱に光が当たったかのような美しさだ。
霜が溶けるまでの僅かな時間。時間を忘れて撮影に集中した。この時期の撮影の醍醐味はここにあると言っていい。

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【黄葉した樹間越しに尾瀬沼を望む】

 時間と共にあっという間に霜は溶け,僅かに残った影の部分にその名残を留めるだけとなった。長蔵小屋に戻り,まだチェックアウトの時間前だったので,部屋に戻って朝食をとる。やはり冷たく堅くパサパサの朝弁当は出来れば避けたい・・・。

 宿泊と一年間の御礼を言って小屋を後にする。三条の滝の空撮ができないので燧裏林道を回るのは取りやめて,段小屋坂を経由して見晴に向かうことにした。秋の爽やかな乾いた空気の中,ブナなどの広葉樹の黄色いトンネルの中を時間に追われることなくのんびりと写真撮影をしながら見晴に向かう。ほとんど下りだからと油断して歩いていたら木道の段差に躓いて転倒。縛らず動けず倒れていたら登山者に見られてちょっと恥ずかしい思いをした。

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【一面のブナの万華鏡の中を進む】

 やはり空撮が出来ないのは痛い・・・。こんな日はビールでも煽って・・・と思っていたら尾瀬小屋の生ビールの看板が目に飛び込んできた。あとは,山小屋に向かうだけなのでここでお昼にすることにした。注文は生ビールとスパイシーカレー。値段は高めだが,生ビールはもちろんカレーも山小屋とは思えないクォリティの高さ。今後私の見晴での定番になりそうだ。

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【寺ヶ崎の紅葉と秋の空】

 ゆっくりとお昼を食べてから今日宿泊する龍宮小屋に荷物を預け,早々に一番風呂に入ってから長沢付近を撮影したりベンチでゆったりしていたら,夕食の時間を迎えたのでいったん小屋に戻る。今日の宿泊客は10名程度。紅葉がそろそろ見頃になってきたとは言え平日なので人出はそれほど多くない。いつもと違ってカメラマンもそう多くはなさそうだ。小屋主さんとしばらく談笑してから早々に休んだ。

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【夕陽を浴びて黄葉もより一層華やかに・・・】
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■錦秋の尾瀬に霜が降る[1] [尾瀬沼]

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【いよいよ始まりました本格的な黄葉が・・・】

□10月12日(木)晴れ 22,738歩
 例年だと日光や尾瀬の紅葉の見頃は10月の体育の日前後と相場が決まっていた。しかし,毎年気温が不安定で紅葉前線を予想するのが難しくなっている。特に今年は,かつてないほどの異常な夏だったので尚更だ。「温暖化が進むと温度変化が急激で秋や春が短くなる」とテレビ番組で聞いたことがある。今年はまさしくそれだ。あんなに暑かったのが嘘のように10月6日燧ヶ岳や至仏山などが突然初冠雪した。

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【写真に撮ると,見た目以上に黄色が強調されます】

 そうなると通常は草紅葉からじっくりと周辺の山々に紅葉の主役が移っていくのだが,一気に冷えると色付きが良くないばかりか,余り急激に冷え込むと紅葉する前に一気に枯れて落葉したり,色付きが悪くなってしまう。この雪が,そして急激な低温が今年の紅葉にどのような影響を与えるのだろう・・・。

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【透過光越しに見る紅葉も綺麗ですね】

 戸倉のバス停から大清水行きのバスに乗る。ここ数日,尾瀬は余り天候が良くなかったし,久しぶりに晴れが連続するとあって第1駐車場は既に多くの車で埋まっていた。戸倉についたバスからほとんどの乗客が降り,大清水に向かう車内に残ったのは僅か5・6名。秋の日差しが射し込む車内から外の様子をぼんやり眺めると片品川沿いの山々は,まだ紅葉には早い感じであった。大清水で一息つく暇もなく降車すると,一之瀬に向かうシャトルバスが準備を整えて待っていた。乗り継ぎもスムーズに済み,あっという間に一ノ瀬にいた。

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【十二曲りの黄葉ブナやミズナラが多く黄色い色が主流です】

 一ノ瀬橋の工事があるらしく,工事用の車やプレハブがたくさんあった。雪が降っても暫く工事は続くのかな・・・。この辺は戸倉よりは標高が高いので,木々が既に黄色く色付いていた。まだ本格的な黄葉ではないが,落葉してしまった森よりも,緑・黄・赤などのいろいろな色が入り乱れ,色彩豊かで美しい。

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【やはり,モミジの赤い色があると引き立ちます】

 最近は鳩待峠から入山することが多いので,いきなりの登りでペースが上がらない。岩清水で水分補給をすると,徐々に体も慣れてきた。透過光越しに見る黄葉もステンドグラスのようで綺麗だ。その色合いも高度が上がるにつれ,心なしか濃くなっていくように感じられた。三平峠に到着。しかし,これから先の木道の荒れ方が酷い。木道はほとんど朽ちているし,古い上に苔が生えていて滑りやすい。登山者に転倒に注意をと呼びかける前に,まずこの道を整備してほしいものだ。

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【何なんだ? このキノコは?】

 三平下に無事ついてベンチでホッと一息。休憩所は片付けられ,尾瀬沼山荘のテラスで昼食を提供していた。今年最後の営業かな・・・。ゆっくりしていると何やら周囲はツアー客で一杯になり,韓国語が賑やかに飛び交い始めた。こりゃたまらんと,早稲の砂風のベンチに移動して,秋風に吹かれながらのんびりと昼食にした。

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【トチノキの黄葉は色も形も面白いのでつい撮影してしまいます】

 取り敢えず早めにチェックインしようと長蔵小屋に向かう。そもそも尾瀬沼周辺は,針葉樹林が多いため紅葉の派手さはないけれど,やはりこの辺りの黄葉が一番鮮やかに感じた。午後の日差しや尾瀬沼の照り返しを受けてナナカマドやモミジが輝いていた。チェックインを済ませ,尾瀬沼周辺をゆっくり撮影しようと必要な物を持って周囲をウロウロしていると,旧ビジターセンター前で知人を見つけてしばし談笑。

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【カマッ堀湿原付近の黄葉,カラマツも徐々に色付き始めています・・・】

その後,場所を大江湿原に移動したが,ここでドローンに思わぬトラブル発生。(T_T) 尾瀬沼だけでなく尾瀬ヶ原,アヤメ平等で空撮を計画していたが全て水泡と帰した。残念な思いを引きずりながら長蔵小屋に戻り入浴,食事を済ませた。思わぬトラブルで心此処に在らず・・・ 空撮が出来ないのなら,明日下山しようとか,天気は良さそうだし尾瀬ヶ原には行かないと・・・とか考えた挙げ句,気を取り直してドローンを使う前のように,カメラ片手に地上からじっくり撮影することにした。しかし,当初予定していた三条の滝やアヤメ平を経由するのは見送ることにした。早朝の撮影準備を整えて,いつもの部屋のいつもの場所で早々に休んだ。

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【尾瀬沼と燧ヶ岳と黄葉と】
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■温暖化の中で迎える秋[2] [尾瀬ケ原]

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【朝靄の中から見上げるモルゲンロートの燧ヶ岳】

□9月25日(月)晴れ 23,174歩
 早めに休んだので,目覚ましに起こされることなく早々に目が覚めたが,日の出も遅いので明るくなるのを待って小屋を後にする。昨年は何度も一面の分厚い朝靄に覆われ,ドローンを飛ばすまで周囲の状況が全く状況が分からない状態が続いたが,今回は朝靄越しに至仏や上空の様子を確認しながら撮影できるのはありがたい。
歩いていると上空にうっすらと広がっていた雲がピンク色に染まり出し,その色合いを深めていった。朝靄のベール越しに見る,モルゲンロート・・・ これもまた中々出来ない経験である。上空からも撮影したい衝動に駆られたが,ぐっと堪えて地上からの撮影に努めた。

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【薄いベール越しに見る朝焼けの空】

 ふと気付くと,所々木道がよく滑る。濡れているからではなく,良く見るとどうも霜が降りているようだ。昨日の朝も相当冷え込んだという話だが,自分の温度計では3℃。今までの暑さが嘘のようである。今回は流石に滑り止めまでは用意していなかったので,滑らないように慎重にあちこち移動する。

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【朝陽を浴び,朝靄に包まれた尾瀬ヶ原】

 満を持してドローンを使って上空からの撮影を開始する。それほど濃くはないが,朝靄は比較的広い範囲を覆い幻想的な光景を作り出している。その動きも激しく,朝靄の動きを追いかけるように撮影を続ける。パノラマ撮影の空いた時間を使い,カメラを変え,レンズを変えて地上からも撮影を重ねる。あっという間にドローンのバッテリー1本を使い切り,戻って来た瞬間を待って,地上の様子も撮影する。この時ばかりはつくづく体がいくつもあったらと思う。

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【朝陽に輝くヤマドリゼンマイ黄葉】

 朝陽が湿原を照らすようになるとその忙しさはMAXだ。静かに湿原を覆っていた朝靄があちこちを彷徨い,上空に立ちのぼる。その条件によっては白い虹を描く。拠水林から溢れる木漏れ日は光芒となって湿原に多数の光の矢を放つ。湿原に目を遣ると,昨夜のうちに降りた朝露や霜が朝日に照らされて溶け,僅かな空気の動きに反応してキラキラと輝いている。山小屋に泊まる醍醐味は,正にこのドラマを見ることにあるといっても過言ではない。

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【森の中から現れる朝の光。光芒が美しい】

 上空からと地上から慌ただしく撮影しているとあっという間に時間がたってしまう。夏至以降は日の出がどんどん遅くなるのと同時に,撮影のピークとなる時間帯が山小屋の朝食時間ともろに被ってしまうようになる。そんな時に撮影もしないでのんびりと朝食をとっている訳にもいかないので,いつもながら朝食そっちのけで山小屋のスタッフに大いに迷惑をかけているのがなんとも心苦しい。

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【モルゲンロートに染まる朝靄】

 朝靄がほとんど消える頃,急いで小屋に戻って朝食を掻き込む。パッキングしやすいようにとまとめておいたものをバタバタとザックに詰め込み,荷物を下ろせば,出発準備完了。後はいつでもチェックアウト可能だ。ここでいつものコーヒーをいただきながら,たもあみさんや宿泊客の方とのおしゃべりをしながら時間を過ごし,最後の最後に小屋を後にする。

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【朝の息吹きに包まれる尾瀬ヶ原】

このまま真っ直ぐ鳩待峠に向かうというたもあみさん達と別れ,あちこちで目に付いたものをだらだらと撮影しながら同じルートを戻ると,目の前に大きな一団が・・・。その円の中心にはたもあみさん夫妻がいた。どうももっていたあの長い撮影機材が気になったNHKの取材を受けていたようだ。
最後のひと踏ん張りをする前に至仏山荘で腹ごしらえを済ませてから,鳩待峠への道をゆっくりと戻った。

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【色付き始めた池塘に泳ぐカモを見るとシーズンの終わりを実感します】

後でニュースで確認したが,この日は関東北部はかなり冷え込み,日光や尾瀬では初霜が観測されたとニュースでも伝えていた。いよいよ本格的な秋が訪れる・・・。さて,次はいつ行こうか?
*空撮にあたり,DIPS2.0での機体登録・飛行計画登録,関係機関への連絡・調整済み。

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【不思議な花の付き方をするアザミ】
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