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■錦秋の尾瀬に霜が降る[3] [尾瀬ケ原]

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【一面真っ白な大霜の朝。モノトーンの世界に赤い火が灯る・・・】

□10月14日(土)晴れ 23,888歩
 今朝の好天は部屋の冷え切った空気からも容易に想像できた。今朝も食事は涙をのんで朝弁当にしておいたので,心ゆくまで撮影に専念しよう・・・。小屋を出たのは5時20分を過ぎていた。まだ辺りは暗く,薄明の空にはいくつかの星が瞬いている。三脚なしで撮影できる状態ではないので先を急ぐ。湿原はもちろん拠水林の樹木の先端にまではっきりとした霜が付いている。これは紛れもない大霜だ。深く感謝・・・。シカ柵も漸く除去されたので撮影候補地は増えたが,思い悩んだ末ヨッピ橋方面に向かった。

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【太陽の光は湿原を照らし,凍り付いた世界を一瞬にして溶かし始める】

 朝靄がそれほど出ていない分,冷え込みも昨日以上だ。逆に冷え込みが厳しいから朝靄が湧かないのか,その因果関係はちょっと分からないのだが・・・。(^^ゞ 今朝の気温は昨日よりも更に冷えて-5℃。枯葉に付いた霜も冷やしすぎの冷凍庫についた霜のようにバリバリに尖っている。周りをぐるり見渡せばうっすらと雪が積もったかのように真っ白な光景が広がる。夜明け前の青い光が荘厳な雰囲気を醸し出す。

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【大霜ならでは。湿原の木々や小さな草の先端までとげとげの霜でびっしり】

 やがて,東と南の空に浮かんでいた僅かな雲が,茜色に染まる。それは,時間とともにその濃さを増し,いつしか至仏山頂を照らし始める。至仏山頂に灯った光はなだらかな斜面を駆け下りて湿原までやってくる。モルゲンロートの進捗状況を確認しながら,夏や秋の定番ポイント・イモリ池に向かう。
その光が湿原を照らし始めると湿原の水蒸気が忙しく動き回る。それにつられてあちこちにカメラを向けて忙しくシャッターを切る。まだ気温が高いのでこの光を受けて湿原の草に付いた霜はあっという間に落ちてしまうのでのんびりしていられない。

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【朝の光を浴びて,僅かな空気の流れが起きその揺らめきが霜を輝かせる】

 何処にカメラを向けても絵になるのが,この時間帯だ。いつもなら朝食の時間を気にしたり,ドローンでの撮影に追われたりして,中々撮影できなかった地上からの光景を今回は,怪我の功名でじっくりと撮影できた。久しぶりに一眼レフで撮影する醍醐味を味わった。やはり空撮できないのはどうにも心残りではあるが・・・この時期撮りたかった大霜の光景をここ数年続けて撮影できているが,いつ見ても感動的な光景である。

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【水温お高い池塘からは,もうもうと水蒸気が上がり激しく動き回る】

 大霜に覆われていた湿原や樹林帯が時間と共に元の秋の色に戻っていく。今は正に秋真っ只中なのだ。この紅葉と大霜という組み合わせはなかなか見れるものではない。長かった影も徐々に短くなると,大霜は日陰にだけ取り残される。そうした場所やまだ霜が溶けた水滴の煌めく様子を撮影しながらゆっくりと龍宮小屋に戻る。今日一日分の撮影エネルギーをすっかり使い切った感じで,小屋主さんと談笑して小屋を後にする。「また来年,良いお年を・・・」その年最後となる宿泊時の挨拶に見送られて小屋を後にした。

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【樹木を真っ白に覆っていた大霜がだんだん溶け,元の色が徐々に戻る】

凄いものを見てしまった後は,どんな秋の光景を見ても気持ちは時めかない・・・。乾いた秋風吹き抜ける尾瀬ヶ原を錦に染まる山々に見守られて山の鼻へ。すると,そこで久しぶりに満面の笑みで,いつものドリンクを美味しそうに飲み干すKさんに遭遇した。しばし談笑して山の鼻を後にする。次はいつになるのかな。出来たら来週辺りドローン撮影のリベンジが出来たら良いのだが・・・

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【間もなくピークを迎えようとしている上田代。】

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