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■錦秋の尾瀬に霜が降る[2] [尾瀬ケ原]

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【まだ水温が高い尾瀬沼から立ち上がる朝靄の中を優雅に泳ぐカモ】

□10月13日(金)晴れ 27,255歩
 撮影地が目と鼻の先にある長蔵小屋は,そんなに早く起きる必要は無いのだけれど,早々に目が覚めてしまったので撮影の準備を済ませて薄暗い小屋の外に出た。空気はヒンヤリと冷え,ビーナスの帯が空と尾瀬沼の水面を華やかな色に染めていた。沼からはもうもうと朝靄が漂う中を多くの水鳥が餌を啄んでいた。元長蔵小屋のテラスで明るくなるのを待っているとカメラを持った人たちが次々とやってきた。

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【雲の切れ間から朝日が射し込んだらしく赤い光は帯状になっていた】

 朝靄に包まれた尾瀬沼の幻想的な光景も暫く見ていたかったが,湿原の様子も気になって大江湿原に移動する。高い樹木の先まで真っ白になる所謂大霜と言えるほどではないが,相当広範囲にわたって霜が降り,赤茶色の草紅葉に染まっていた大江湿原は,まるで雪が降ったかのように真っ白になっていた。木道にも霜が降り滑りやすいので注意しないと・・・。

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【朝靄のベールに包まれたダケカンバ黄葉】

 周りを小高い山に囲まれた盆地のような大江湿原は,日が射し込む時間が遅く,この時期はちょうど朝食の時刻と重なる。寒い朝の暖かい朝食は魅力的だが,泣く泣く朝弁当を頼んでおいた。朝食の時間になり湿原を行き来する人は燧ヶ岳に向かう登山者ぐらいとなり,より撮影に集中できる。

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【僅かな霜が紅葉した小灌木の葉っぱを繊細に縁取る】

 湿原全体がフリーザーの中に入ったような凍てつく朝。気温は-3℃。木道の脇に既に立ち枯れていたミヤマアキノキリンソウや小灌木の小さな葉一つ一つにまで丁寧かつ綺麗な装飾が施され,青白い凜とした湿原の中で花を咲かせたかのように一際注目を浴びている。

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【大江湿原に朝日が射し込む】

 湿原を取り囲む林の上部に日が射し始めると,ダケカンバの黄葉が,ナナカマドやヤマウルシ等の紅葉が,今自分が秋の真っ只中にいる事を実感させる。いつもだと紅葉が終わってから見られるこのような大規模な霜がこの紅葉の時期に見られるのは大変ありがたいことだ。
その光がやがて湿原のシンボルにもなっている三本のカラマツにスポットライトを当てる。そして,程なくしてその光は湿原の上へ。すると僅かな上昇気流を生み,霜を纏う一本一本の草を揺らし,七色に輝く小さな光を四方八方に飛び散らせる。宝石箱に光が当たったかのような美しさだ。
霜が溶けるまでの僅かな時間。時間を忘れて撮影に集中した。この時期の撮影の醍醐味はここにあると言っていい。

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【黄葉した樹間越しに尾瀬沼を望む】

 時間と共にあっという間に霜は溶け,僅かに残った影の部分にその名残を留めるだけとなった。長蔵小屋に戻り,まだチェックアウトの時間前だったので,部屋に戻って朝食をとる。やはり冷たく堅くパサパサの朝弁当は出来れば避けたい・・・。

 宿泊と一年間の御礼を言って小屋を後にする。三条の滝の空撮ができないので燧裏林道を回るのは取りやめて,段小屋坂を経由して見晴に向かうことにした。秋の爽やかな乾いた空気の中,ブナなどの広葉樹の黄色いトンネルの中を時間に追われることなくのんびりと写真撮影をしながら見晴に向かう。ほとんど下りだからと油断して歩いていたら木道の段差に躓いて転倒。縛らず動けず倒れていたら登山者に見られてちょっと恥ずかしい思いをした。

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【一面のブナの万華鏡の中を進む】

 やはり空撮が出来ないのは痛い・・・。こんな日はビールでも煽って・・・と思っていたら尾瀬小屋の生ビールの看板が目に飛び込んできた。あとは,山小屋に向かうだけなのでここでお昼にすることにした。注文は生ビールとスパイシーカレー。値段は高めだが,生ビールはもちろんカレーも山小屋とは思えないクォリティの高さ。今後私の見晴での定番になりそうだ。

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【寺ヶ崎の紅葉と秋の空】

 ゆっくりとお昼を食べてから今日宿泊する龍宮小屋に荷物を預け,早々に一番風呂に入ってから長沢付近を撮影したりベンチでゆったりしていたら,夕食の時間を迎えたのでいったん小屋に戻る。今日の宿泊客は10名程度。紅葉がそろそろ見頃になってきたとは言え平日なので人出はそれほど多くない。いつもと違ってカメラマンもそう多くはなさそうだ。小屋主さんとしばらく談笑してから早々に休んだ。

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【夕陽を浴びて黄葉もより一層華やかに・・・】
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