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■変わりゆく刻の中で[1] [尾瀬ケ原]

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[朝靄漂う尾瀬ヶ原。もうすぐ日の出の時間を迎えますが・・・]

□7月6日(木)晴れ 24,341歩
 梅雨の重苦しい空気の中,2日間だけ与えられた晴れ間。ここ1か月近く尾瀬に出かけていなかったので,やはり出かけておきたい。咲いている花も相当様変わりしていることだろう。ただ,気になるニュースもあった。なんとこの2日間,例年冬から春にかけて季節風に乗り中国からやってくる黄砂が日本に来るらしい。

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[ハクサンシャクナゲ]

 どんより曇っていた空も,戸倉に着く頃にはすっかり晴れ上がり,新緑が眩しく輝いていた。久しぶりの好天と言うこともあってか,平日にも関わらず乗合タクシーは直ぐにいっぱいになるためザックを車に積むと,全く待つことなくタクシーは鳩待峠に向かった。そして,いよいよ鳩待峠に着くと,様子がかなり変わっていた。と言うのも鳩待山荘と休憩所の改築工事が本格的に始まっていたからだ。工事が終わるのは2年後になるようである。

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[オニシモツケ]

 ここで,荷物を預けてオヤマ沢田代付近まで往復するつもりでいたが,荷物の預かりサービスはないし,時間も10時を回っていたので今回は諦めることにした。最近はいろいろ計画をしてもほとんど安易な方に流れるなぁ。(^^ゞ荷物を背負い,疲れが残る体を引きずりながら,道端に咲く花を見つけては,じっくりとカメラで撮影をしていくため,なかなか山の鼻に着かない。でも春先と違って,すっかり葉で覆われた森は,梅雨の晴れ間から降り注ぐ日差しを遮ってくれるので非常にありがたい。

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[梅雨とは想えない夏らしい青い空が広がりました。そこから降り注ぐ光は強烈でした]

 山の鼻では,あちこちで小学生がグループで昼食を食べていた。天気も良く気持ちも高まっているのだろう。子どもたちの生き生きした声がキャンプ場内に響いていた。自分ではまだ昼食には早かったので先を急いだ。しかし,時間と共にはっきり見えていたはずの燧ヶ岳や距離的に目に前にある至仏山でさえ,白い霞に覆われたような状態になっていった。これがニュースで伝えていた黄砂である事は直ぐに理解できた。後で調べると,7月のこの時期に黄砂が日本で観測されるのは,気象観測を始めてから初めてなのだという。

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[池塘によってヒツジグサのある池とそうでない池が・・・]

 その黄砂も,真夏の強烈な日差しを遮ることは出来ずに,ジリジリと熱い日差しが降り注ぐ。森や日陰がほとんどない尾瀬ヶ原は正に地獄のような暑さだ。熱中症には気をつけなくては・・・。

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[オゼタイゲキ]

 もう一つ気になっていたのが,6/20の遅霜の影響である。ヤマドリゼンマイやカキツバタ・ヒオウギアヤメ,レンゲツツジ等が壊滅的な被害を受けているというので気になっていたが,その情報に嘘偽りは無かった。一番酷かったのがヤマドリゼンマイである。正に9月の草紅葉頃に霜に当たって茶色に変色し,チリチリに縮んだ状態と変わらない様子だった。その頃と違い,まだ大きくなりきれていない若葉が茶色に変色しているのを見るのは何とも痛々しい。また,レンゲツツジはもう時期を過ぎていたが,アヤメやカキツバタは蕾の状態で枯れているものが多く見られた。

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[ハッチョウトンボ]

 ただ,その茶色に変色したヤマドリゼンマイの真ん中辺りから新しい葉が伸びたり,その根元から新たな芽吹きが見られたりしたこと,アヤメやカキツバタは新しい蕾から真新しい花をたくさん咲かせていた。環境がどんなに過酷でも必死で生きようとするその健気な姿に,ただただ感動するばかりだった。

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[黄砂に霞む至仏山と遅霜の影響を受けるヤマドリゼンマイ]

 時間と共に至仏山の影は薄くなるばかり。そして,気のせいか眼が痛み出してきたので,ピーカンだし早々に小屋にチェックインすることにした。
小屋で受付を済ませると今日の宿泊客は全部で6名ほど。一番風呂にも浸かることが出来て最高の気分。食事までの時間部屋でまったりとした・・・。

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[夕暮れ空を映す,波静かな池塘が綺麗でした]

 夕食を早めに済ませて,機材を持って龍宮十字路のベンチで夕暮れの一時を過ごす。日中はピーカンだった空に時折雲が行き来していたので,少しは焼けるかなと淡い期待をしながらその時を待ったが,燧ヶ岳の山頂が少し赤く色付いた程度だった。
その後,部屋に戻り早々に休むことにした。
*空撮にあたり,DIPS2.0での機体登録・飛行計画登録,関係機関への連絡・調整済み。

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[夏至は過ぎましたが,太陽は景鶴山のこんな近くに沈んでいきます]
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コメント 2

てばまる

薄っすらというよりかなりのガッツリな黄砂ですね。こんなに霞むなんて・・・。
ヤマドリゼンマイは花を付けないので葉っぱだけに集中して再生出来ますが花たちはそうはいかないのでとにかく花をあきらめて葉っぱだけって感じになりますから今年は春に花芽が成長する植物は全体的に花付きが悪いということなんでしょうね。
by てばまる (2023-07-13 16:16) 

Aqua

特にこの8枚目の写真は,光の加減か強烈に影響を受けているように映っていますが,ここまでは酷くはなかったかも知れません。ただ,気のせいかも知れませんが,ずっと外を歩いていたので眼がショボショボしたり,痛んだりしました。
ニッコウキスゲも期待できないとあっては,今年はいろいろな植物が影響を受けた受難の年ですね。
by Aqua (2023-07-13 17:01) 

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