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■初雪と晩秋の尾瀬[3] [尾瀬ケ原]

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【なかなかスッキリしない天候でしたが,徐々に陽が射す展開に・・・】

□10月23日(月)晴れのち曇り 25,232歩

 山に入り3日目にもなると,よほど体が疲れている時は別だが,目覚ましを掛けなくても起きたい時間に自然に目が覚めるようになる。5時に目が覚め,部屋から尾瀬ヶ原を望むと,分厚い雲が尾瀬ヶ原に蓋をしていた。霜も霧もなくひっそりとした朝だった。これでは,イマイチやる気が起きず,そのままもう一度,布団の中に潜り込んだ。

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【待っていた一瞬。スポットライトと背景の影の具合が思い通りになってくれました】

 布団の中で少し微睡んでから洗面所に向かおうとすると何と目の前にKさんがいた。先週,尾瀬沼でもお目にかかったばかりだが,今回は,見晴休憩所やトイレ等の施設の閉所作業で来ているということだった。夕食の時,明らかに登山者とは違う10人ぐらいの団体がおり,その中にKさんもいたようだが気付かなかった。先週の御礼と挨拶をしてから,燧小屋を後にした。

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【紅葉の森の奥に僅かに顔を見せる雪を纏った景鶴山】

 天気予報では,昼頃には晴れになるが一日曇りの予報となっていた。どん曇りならそのまま真っ直ぐ帰るつもりでいたが,湿原に出る頃には北側の山並みにスポットライトが当たるフォトジェニックな状況になっていた。何枚か写真を撮った後,予定を東電小屋経由に変え,赤田代方面に向かった。その後も,薄い雲の間から青い空が見え隠れしていたので,ひょっとすると意外に早く天候が回復するかも知れないと感じた。

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【積雪から一日経ち,一番雪を残す至仏山と拠水林】

 しかし,流石にこの時期にこのルートを歩く登山者は誰一人なく,寂しいルートをただ一人歩くのは,やはり心細い。今年は熊の被害も多いと聞くし・・・。森に入るとたくさんの枯葉が木道を覆い隠していた。落ち葉の下は濡れ,その上に雪まで積もっているので非常に滑りやすい。何とか転倒せずに東電小屋に着き,そこのベンチで朝食にした。のんびりとおにぎりを頬張っていると,やがて,スポットライトがヨシッポリ田代を照らし始めた。願ったり叶ったり・・・。

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【すっかり葉を落とした樹とまだ紅葉の気が混在する晩秋の森】

 誰一人いない寂しい東電小屋を後にする頃には,空を覆っていた雲は,掃き清められて青い空が優勢となり,絹雲が秋らしさを演出し始めていた。今回は,橋板も外され雪で滑りやすくなった下の大堀川橋を渡る自信はなかったので,龍宮十字路経由で山の鼻に向かうことにした。この日は,多分飛ばすことはないと思っていたドローンも好天につられて2回ほど尾瀬の空を飛んだ。思いの外,雪が溶けるのが早く残雪の尾瀬ヶ原を思う存分空撮することはできなかったが,紅葉のシーズンもそろそろ終わる尾瀬ヶ原の様子を撮影することができた。

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【秋らしい雲が定番ポイントの上空に現れました】

 山の鼻に向かって歩いていると,平日にも関わらず次々に人がやってくる。30人以上の人とすれ違っただろうか。中には軽装の外国人もいた。山の鼻では,唯一山の鼻小屋が小屋閉めの作業を黙々とこなしていた。だんだんと雲が優勢になる中,今年最後の尾瀬を後にした。
今回は,久しぶりに山小屋に宿泊して初雪が見れたこと,久しぶりに尾瀬仲間と歓談できたことなど充実した尾瀬締めとなった。

晩秋の尾瀬ヶ原上空から・・・ - Spherical Image - RICOH THETA


【空撮で撮った晩秋の尾瀬のぐるり360度画像です】
*空撮にあたっては,DIPS2.0での各種登録,関係機関への連絡・調整済みです。
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■初雪と晩秋の尾瀬[2] [尾瀬ケ原]

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【長沢入り口付近。降ったばかりの雪が一面に付着して神々しい感じがします】

□10月22日(日)雪のち快晴 27,536歩
 初雪なのでそれほど積雪することはないのかなと思っていたが,部屋の窓を開け確認すると予想以上の積雪だ。5cm程度はあったろう。早速,カメラを持ち出して辺りを撮影する。当初の予報では明け方までに雪は止み午前中に晴れる予報なのだが,朝になっても激しく雪が舞っていた。朝陽に輝く新雪の尾瀬を空撮したかったが今回はお預けとなった。樹木にもたくさん着雪があったが,踏み締める雪は大量に水分を含んだ湿雪で重そうな雪だった。降っている傍から,樹木に付いた雪がどんどん落ちていく。小屋の周辺を撮影してから朝食にした。

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【雪は降り続いているものの,薄い雲の切れ間から光が漏れる時も・・・】

 今回は昼弁当を頼んでおいて,それを朝食にするつもりでいたが,急遽無理を言って朝食を追加する形となったが,快く応じて頂いたので温かい朝食を三人で戴くことが出来た。外の様子が劇的に変化する様子ではなさそうなので,朝食も比較的ゆっくりととることができた。着替え等の荷物は小屋に預け,撮影機材をリュックに詰め,小屋周辺から撮影することにした。相変わらず細雪が降り続けているが,雲の薄い部分が明るく輝く。

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【湿雪なので降雪中も積雪は時間と共に徐々に溶け出していきます】

 雪が止むのを待って空撮をしたかったが,なかなか雪は止むことは無く,ジリジリと気持ちばかりが焦る中,気温も上昇。樹氷のような幻想的な光景も徐々に雪が溶け出し,着雪していた雪もみるみる落ちていった。湿原に積もっていた真っ白な雪も時間とともに水分を吸い変色し,やがてはベチャベチャの残雪に変わっていく。
このままではあっという間に溶けてしまうと感じ,取り急ぎ上田代付近を撮影することに決めてそちらに向かった。Tさんたちは,ヨッピ橋経由で尾瀬ヶ原の東側を半周したそうだ。

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【山の鼻地区の方が積雪が多かったようで,雪がかなり残っていました】

 上田代に向かって歩いている僅かな時間にも,どんどんと見える風景は変わっていく。後で分かったことだが,今回の積雪は東側よりも西側の方が積雪が多かったようだ。その分,上田代の方がまだ雪が多く残っていたので撮影には好都合だった。雪の下から僅かにその色を見せる紅葉の樹林帯,水温が高いため真っ先に溶ける池塘周辺,時間とともに劇的に変化する湿原の表情を丁寧に記録した。
 上田代に着く頃,ちょうど雪も止み,雲の隙間から時折日差しが漏れるようになったので,やっと念願の空撮を開始した。上空から見る真っ白な上田代。残雪期は湿原のほとんどが残雪に覆われているが,この時期は池塘がまだ氷結してないため黒くなっているのが特徴的である。上田代や牛首上空をぐるぐると何度も旋回したりして約30分の撮影を終えた。

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【晩秋の紅葉に降ったばかりの新雪の組み合わせが美しかったです】

 どんどんと晴れのエリアが広くなり,日差しも強くなってきて加速度的に雪が溶けていく。木道もベチャベチャになり益々歩きにくくなっていた。改めて,元来た道を戻り,変わりゆく初雪の尾瀬ヶ原の変化を追った。写真を撮りながら龍宮小屋に戻る途中,下の大堀の大きな池塘の傍のベンチに荷物を置き,空撮をしている時,Tさんたちと再会。記念撮影したり談笑していると龍宮小屋の小屋閉めの協力でやってきたJさんとも出会い,短い時間だったが話が出来た。そうしているうちに,なかなか姿を現さなかった燧ヶ岳,至仏山,景鶴山の山頂も徐々に姿を現した。

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【上田代に着く頃には青空も見え,光も射し込んできました】

 皆と別れて龍宮に向かって歩いて行くと,みるみる雲はなくなり,湿原内にあんなに豊富にあった雪もほとんど消えてしまった。僅か数時間の劇的な変化にただただ驚くばかり。今朝の光景は夢だったのだろうかと思わせるような変化である。ただ,燧ヶ岳や至仏山の山肌には,まだ真っ白な雪が輝き,あれが夢や幻では無かったことを告げていた。小屋に預けていた荷物を受け取り,ベンチで昼食をとってからゆっくりと見晴に向かい,この日,尾瀬で唯一営業している燧小屋にチェックインした。

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【雪を被った山頂付近と紅葉が残る周囲の山々との色の組み合わせが綺麗でした】

 早々に風呂に浸かって一息ついてから,カメラを持って湿原を歩く。夕陽が傾き,ただでさえ赤い紅葉の燧ヶ岳を一層赤く染め上げていた。空撮するとその夕陽に照らされた樹木の影が長く長く伸びているのが印象的だった。ピーカンの空に日も沈み,撮影するものも無くなったので小屋に戻ると,夕食の時間になっていた。
多すぎるくらいの食事を何とか食べきり,寝る前にもう一度風呂に入って冷えた体を温めて就寝。明日の予報が良い方に外れることを期待して・・・。

*空撮にあたっては,DIPS2.0での各種登録,関係機関への連絡・調整済みです。

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【赤く染まった尾瀬を夕陽が更に赤く染めてくれました】
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