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■真夏の光溢れる尾瀬へ[2] [尾瀬ケ原]

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【尾瀬ヶ原は真っ白な朝靄に覆われていても上空では朝のドラマが繰り広げられていました】

□7月1日(金)晴れ 34,224歩
目覚ましに起こされることもなく4時20分に目が覚めた。既にヘッドライトがいらない明るさになっていたので,昨夜のうちに準備したものを背負って小屋を出る。
小屋の周りはすっかり朝靄に覆われ,真っ白だ。朝靄に佇むワタスゲやレンゲツツジの湿原も幻想的である。遠くで小さくカッコウの声が響き高原の夏を演出していた。朝靄が薄くなった所から時折,青い空が覗く。今日も好天に違いない・・・

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【朝靄に包まれた朝の湿原】

ベンチに荷物を下ろし,ドローンを離陸させる。あっという間に朝靄の上に飛び出ると,真っ白な朝靄の絨毯を眼下にして,山頂付近が赤く染まった至仏山や大きく伸びた燧ヶ岳の影,燧ヶ岳の裾野から顔を覗かせる太陽がモニターに飛び込んでくる。太陽の光が射すとそれまで澱んでいた重苦しい空気が一気に動き出すから不思議である。モルゲンロートに染まる朝靄を高度を変え,場所を変え撮影してみる。地上はまだ朝靄の中だ。

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【朝靄が激しく蠢く早朝の尾瀬ヶ原】

湿原を覆い尽くしていた朝靄が少しずつ明るくなり,時折,朝靄越しに太陽の丸い形が眩しくなったり,見えなくなったりを繰り返す。そして,ふと朝靄が途切れそこから溢れた光が朝露を纏ったワタスゲやヤマドリゼンマイを照らすと,朝露の一粒一粒がきらきらと輝き,風に揺れる様は時間を忘れてしまう。さらに,薄い霧の彼方には薄い白虹も現れた。このところデジカメの撮影が疎かだったこともあり,今回は時間をかけて朝の光景も撮影した。

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【スポットライトが当たりヤマドリゼンマイの若葉が眩しく輝きます。】

朝靄が消えてしまわないうちに,ドローンでの撮影を再び開始。幻想的な光景を狙ってあちこち移動させる。はやり何もない日中とは違って朝靄のある光景は幻想的で魅力的である。朝食の時間なので撮影を切り上げて小屋に戻る頃には,ズボンの裾は朝露に濡れびっしょりになっていた。

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【夏空を写す尾瀬沼と沼尻の池塘】

今回は,ヤマスタのチェックインのこともあるので,迷わず東電小屋経由で見晴に向かう。途中,昨日はまだ蕾だったニッコウキスゲが二輪,山吹色の花を咲かせていた。ヨッピ橋を渡るとヨシッポリ田代のワタスゲが出迎えてくれた。尾瀬ヶ原全体で見ると例年並みと言える状態だが,東電小屋の周辺はいつもの年よりも確実に見応えがあった。こちらを回って正解だった。爽やかな風が吹き抜ける中を湿原内に咲き始めた花を撮影しながら見晴へ。

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【林内で見かけたゴゼンタチバナ】

熱くなった体をしっかりクールダウンしてから,段小屋坂へ。尾瀬ヶ原と違って所々に木漏れ日があるだけでほとんど木陰なのがありがたい。さらに,イヨドマリ沢の水は暫く手を入れていると痛くなるほど冷たく,そこを吹き抜ける風は涼しすぎて寒いくらいだった。そんな樹林帯の道を渓流の音を聞きながら,暑さを忘れて歩けるのはありがたいものである。

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【ウワズミザクラもそろそろ終盤】

白砂湿原の木陰で昼食後,沼尻休憩所に到着。今年は営業をしていないがテラスの陰に荷物を置いてゆっくりする。尾瀬沼に映る真っ白な入道雲,そして湖面を吹き抜ける夏の風・・・。夏真っ只中の光景の中にぼんやりと佇む。ふと,湿原の池塘も尾瀬沼も冷静な目で見ると,いつもと比べて,かなり水位が低いなと感じた。今年は梅雨らしい天気ではなく,雨が少なかったためなのか,今夏の電力需要逼迫による影響なのか不明ではあるが,気になるところである。

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【夕暮れの尾瀬沼】

昨日に比べて暑い中歩き続ける時間帯も少なかったが,登りで多少汗もかいたし蒸すので,早々に長蔵小屋にチェックインした。風呂の時間を待って直ぐに風呂場に。しっかり汗を流し,大きな浴槽にゆったりと浸かった。風呂上がりに,この日上山してきた太郎さんとゆっくり話をした。夕食の時間になったので食堂に向かう。この日の宿泊客は全部で20名程度。この時期は,時間的にゆっくりと食事をとる時間があるのはありがたい。

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【久しぶりに尾瀬沼上空にあった雲が真っ赤に焼けてくれました。】

夕食後,少し休んでから,昨日の反省から完全なブユ対策をして,食事後,夕暮れの時間帯になるのを待ってカマッポリ湿原へ。良さそうな雲が西の空にあったので,これは焼けるかも知れないとの期待が高まる。低い位置にあった雲の隙間から太陽の光が漏れると周囲のコバイケイソウがオレンジ色に染まる。そして太陽が尾瀬沼の彼方に沈むと,その光は上空にあった雲を真っ赤に染め上げた。パレットのようにいろいろな色が入り混じり,時間と共により濃く,鮮やかになっていく。そして,その気分を台無しにするのがブユである。対策をしていてもお構いなし。周囲をぶんぶんと飛び回るので,まず奴らを追い払ってからシャッターを切らねばならない。本当に鬱陶しい。
ブユと格闘しながら撮影を終え小屋に戻る。部屋に戻って横になっていたらいつの間にか寝てしまった。

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【尾瀬沼から立ち上る銀河】

*空撮にあたっては,DIPS・FISS・機体登録,関係機関への連絡・調整済みです。
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