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晩秋の尾瀬ヶ原を歩く【1】 [尾瀬ケ原]

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【朝早く雪降る鳩待峠を出発します】

10月24日(日)(雪のち晴れ)
最盛期の紅葉が見たくて出かけたのが先週だったが,僅か4日後の尾瀬沼や尾瀬ヶ原には初雪が降った。本格的な大霜や新雪が見られるのはもう少し先かなと思っていたが,例年よりも冷え込むのが早いようだ。
10月ともなれば,紅葉の情報に混じって,初霜・初氷・初雪などのニュースが届けられ,一喜一憂していたのだが,温暖化とともに,冬の訪れは年々遅くなる一方,尾瀬の山小屋の小屋締めも早まり,シーズン中に尾瀬ヶ原や尾瀬沼の雪景色を見る機会は年々少なくなっていた。やはり,新雪に覆われた尾瀬を見たい,贅沢を言わせてもらえば,紅葉と新雪のコラボが見れたら完璧なんだが・・・。

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【雪はそれほど積もっておらず,日陰などに僅かに前日の雪が残るのみでした】

これも温暖化の影響なのか,このところ,夏が終わるといきなり寒くなり,秋が短くなったように感じる。今年も暑い夏が終わったと思ったら,一気に寒さが来た。秋の準備が整っていないところに,急に寒気がやって来て自然も戸惑っていることだろう。
突然,ライブカメラやSNSで見る真っ白に雪化粧した至仏山がモルゲンロートに染まる光景は,美しく神秘的であった。天気が崩れるとは思ったが,ここまで雪が降るとは予想できなかったから,この状況を知った時は,その光景の中に自分がいないことが悔やまれた。
この雪は数時間後にはほとんど消えてしまったが,この先,できれば紅葉の残る早い時期に雪が降ったらすぐにでも出かけたいとの思いを強くした。待つこと数日。その願いをかなえてくれるかのような予報が出た。これは行くしかない・・・。冬用タイヤに交換し,その日を待った。

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【徐々に青空が広がり,至仏山も山頂が見えてきました】

予報通り,尾瀬に雪が降り始めた。しかし,降り過ぎると通行止めになる事もあるのでその前に駐車場に着かなくては。金精峠を越えると一気に雪景色だ。道路脇に佇むシカの群れに何度もドキッとさせられながらも,何とか新雪で真っ白になった鳩待峠駐車場に到着。僅か10台ほどの車が止まっていた。エンジンを止め,シュラフに潜る。静まりかえった暗闇で風がうなり,車を揺らす・・・

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【晩秋の尾瀬ヶ原・上田代。湿原に雪が殆どないのはやはり残念】

明け方近くになると,この雪を知ってか知らずか次々と車が入ってくる。外は相変わらず風が強い上,雪もまだ降り続いているようだ,しかし,いつまでもこうしていられないので準備をして,山の鼻に向かう。
林内は風もほとんどなく,風に飛ばされてしまったのか積雪も思ったほどではない。霧も立ち込め,幻想的な森を歩くのは心地良い。ただ,雨に濡れ,うっすらと雪が積もり滑りやすくなった木道は一瞬でも気を抜くと大怪我に繋がりかねない。滑り止めを付け慎重に登山道を下り山の鼻に着いたが,営業している山の鼻小屋を除いてはすっかり雪囲いで覆われ,静かな時間が流れていた。

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【青空を映す池塘と降ったばかりの雪を僅かに残す湿原】

雪はやんだものの,青空さえ見えない。徐々に回復するとの予報ではあるが,燧ヶ岳と至仏山の山頂も雲に隠れたままだ。期待していた雪も殆ど溶けてしまい,日陰に僅かに残るのみである。救いは周囲の山々に真っ白く残り,終わりかけの紅葉とともに晩秋の光景を見せてくれていたことだ。この雪が溶けてしまわないように,写真を撮りながら先を急ぐことにする。

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【紅葉の山々と新雪のコラボは心が洗われます】

牛首分岐あたりに着く頃には,青空が広がり,至仏山や燧ヶ岳の真っ白な頂もその姿を現してくれた。ここぞとばかりに空撮を始め,上空から雪の状態を確認するが,殆ど雪が残っている場所はなく,思い描いていたような光景を上空からは見ることができなかった。
しかし,周囲の山は何もない晩秋の尾瀬とは違い,僅かに残る降ったばかりの雪の白,まだ何とか見頃のブナの紅葉,針葉樹の緑。所謂「三段紅葉」の色合いに染まり色鮮やかだ。そこにスポットライトが射し込み,見事な光景を造り上げていた。

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【紅葉の森と新雪の森。季節は確実に進んでいきます・・・】

「東電下の大堀橋」と「ヨッピ吊り橋」は既に橋板が取り外され,橋桁のみになっているが,ここを慎重に渡り東電小屋に向かう。この日ヨシッ掘田代で会った人は僅か2名。ほぼ貸し切りだ。なんて贅沢な・・・ 殆ど人が行き交うことのない道を辿って見晴へ。今日宿泊する「燧小屋」以外はこの日で営業を全て終えるが,檜枝岐小屋の喫茶コーナーは幸い営業していたので,いつもの野菜の素揚げ入りカレーを注文した。

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【景鶴山と紅葉の森。今年はまだまだ紅葉も見られます】

昼食後,早めに燧小屋で受付を済ませ,荷物を置いて周辺をぶらぶらする。夕食まではまだたっぷり時間があるので,小屋締めができたのか気になっていた龍宮小屋に向かった。龍宮小屋では澄夫さんたち3人が,「今日やっとヘリが飛んだので下山できる」と最後の点検をしていた。直ぐにでも下山できそうだったが,思いの外,時間もかかっていたので,最後の点検をする皆を尻目に見晴に戻る。

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【いわゆる「三段紅葉」が美しい・・・】

尾瀬全体で唯一空いているのがこの燧小屋だけになったので,混雑しているのかなと思ったが,宿泊客は全部で12名ほど。その中には見晴休憩所等の閉所作業に当たるKさんもいた。久しぶりに会い少し談笑することができた。マイタケ御飯で夕食を済ませ,のんびりと風呂に浸かり,暖かい布団でゆっくりと休んだ。やっぱり車中泊とは比べものにならない。昨日の分までゆっくり休んだ。

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【こんな寒い時期なのに,今頃,龍宮小屋で咲いていたアケボノソウ】

*空撮にあたっては,DIPS・FISS登録,関係機関への連絡・調整済みです。
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