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尾瀬逍遥 2022 ① [尾瀬ケ原]

■残雪と新緑と青空と[1]
今年も尾瀬歩きの様子を一日ごとに日記風にまとめてUPします。
その日の行動を備忘録代わりに記録しているだけの文章ですが,今年もお付き合いください。

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【新緑と残雪が眩しい鳩待峠から】

□5月24日(火)快晴 20578歩
 温暖化の影響なのか近年尾瀬に積もる雪の量はかなり少ない。そのため,厳冬期の寒さから植物を守る雪の布団も薄くなる一方だ。春ともなれば直ぐに溶け,気まぐれな遅霜にやられて枯れてしまわないか,気をもむことも多い。

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【春の風物詩アカシボ。湿原内の鉄分とバクテリアが作り出したものらしい】

 しかし,昨冬は記録的な降雪量を記録していたので,久々に残雪豊富な尾瀬や花いっぱいの尾瀬を歩くことを楽しみにしていたのだが,シーズンが始まっても天候が不安定でなかなか予定が立てられない。そんなこんなしているうち,ちょっとしたはずみで腰を痛め,暫く尾瀬歩きを断念せざるを得なくなった。なんとも情けない・・・。何をするにも痛みが走り思うように動けず日常生活にも不便をきたしていたが,一週間ほどで何とか普通に歩けるまでに回復した。

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【いつもは遅い見本園のミズバショウも小さい花を咲かせていた】

 当初は,GW前半に予定していたが,あれから既に3週間以上が経ち,尾瀬ヶ原を覆っていた雪もほとんど消えてしまったようだ。気持ちは焦るが,まだ無理は出来ないので,少しだけでも尾瀬の風に吹かれたいと思い,車を走らせた。既に交通規制も始まっているので,乗合タクシーに揺られて鳩待峠に着く。
7か月ぶりの尾瀬。辺りを覆っていた雪はほとんど消え,周囲に堆く積もった雪の向こうには,新緑が眩しく輝いていた。雲一つない青い空から燦々と降り注ぐ眩しい光と,新緑の森に響く野鳥たちの嬉しそうな囀りに包まれて,すっかり春になった尾瀬を肌で感じた。

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【新緑と残雪が雪溶け水溢れる池塘に写ってら春らしさを演出】

 真新しい鮮やかな新緑の森を進むと雪溶け水の溢れる沢の音や小鳥の声が辺り一面に響いている。秋とは違って,あちこちに命が躍動し,明るく活気に満ちていた。テンマ沢付近では小さなミズバショウが多数顔を出し,尾瀬の本格的なシーズンが近いことを知らせていた。登山道はボランティアの方が除雪を行ってくれたお陰で,山の鼻付近まではほとんど雪もなく快適に歩けた。

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【この日は気温も高かったせいか水中のミズバショウも気持ち良さそう】

 人影疎らな山の鼻のベンチに重い荷物を下ろして,見本園内をぐるりと一周する。いつもは尾瀬の中でもミズバショウが最後に見頃となるここも既に小さなミズバショウがたくさん顔を出していた。特に圧巻だったのはアカシボ。残雪が広範囲にわたって赤銅色に染まるこの時期限定の現象なのだが,最近の学術調査の結果,湿原内の鉄分とバクテリアが反応しあってできることが証明されている。これもなかなか良い時に巡り会うのは難しいが,今回はちょうどいいタイミングだった。違う星にでもいるような感覚を覚えるくらい一面が赤茶色に染まっていた。そして,久しぶりの空撮。上空からは意外にもまだ残雪が多いことが確認できた。

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【上空から見た上田代付近の雪溶けの様子】

 山の鼻を過ぎると木道の雪はなく,とても歩きやすかった。池塘に浮かぶ僅かな残雪,湿原を取り囲む山の根開け,芽吹きが始まり新緑に染まりだした木々を眺めながら上田代に向かう。上田代の一帯が雪溶け水で溢れるいわゆる「尾瀬ヶ原湖」は時期的には終わりかけていたが,昨日降った雨のおかげで名残を見ることができた。逆さ燧の池塘脇のベンチで昼食後,行き交う人も少ない木道をゆっくり歩いて龍宮小屋に向かう。
 下の大堀の定番ポイントに立ち寄ると,ミズバショウは小さいながらもたくさん咲き出しており,見頃も近いと思われた。既に,シカの食害防止の柵が昨年以上に張り巡らされていた。花を守ろうとうする取り組みに異論は無いが,この柵があるためにあちこちで風景が台無しになっているのも事実だ。花だけでなく,美しい風景を見たくて尾瀬に来ている人もいるのに,もっと目立たない場所に設置できないものかと思ってしまう。

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【昨日の雨で復活した尾瀬ヶ原湖】

 半年ぶりの龍宮小屋に到着。受付を済ませ,久しぶりの龍宮コーヒーをいただきながら,暫く小屋主の澄夫さんとおしゃべりをして過ごす。4月に発売になった写真集とポストカードを届け,今回尾瀬に来た目的を一つ果たした。この日の宿泊客は7人。他に工事関係者が数名泊まっているようだ。ひっそりとした食堂で夕食を済ませてから,撮影機材を持ってベンチに腰を下ろし,のんびりと過ごす。雲も全くなく夕焼けも期待できなかったが,徐々に暮れていく空をぼんやりと眺めて過ごした。

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【上空から見た幻の「尾瀬ヶ原湖」。この時期限定です。】

 この日も星の撮影には問題なさそうだったが,できたら天の川が高く昇るまで待ってと考えたのがまずかった。さて,撮影しようと起き出してみると,龍宮小屋の周囲は真っ白な朝靄に覆われ,星の撮影どころでは無くなっていた。ちょっと,考えが甘かったようだ。
◆空撮にあたっては,DIPS・FISS・機体登録,関係機関への連絡・調整済みです。

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【夕暮れの尾瀬ヶ原・中田代】
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