SSブログ

■紅に染まる燧ヶ岳[2] [燧ヶ岳]

10.jpg
【日没間際の真っ赤な光に山頂付近も染められます】

□10月1日(土)快晴
この時期になると,湿原に朝陽が射し始め,いよいよこれから撮影しようかという時間帯がちょうど山小屋の朝食の時間帯と重なる。久しぶりの山小屋で一番最後に一人で朝食をとるのはいやだったので,今回は朝弁当にしてもらった。これで朝食の時間を気にせず撮影に専念できる・・・。

20.jpg
【朝靄に覆われた尾瀬沼畔の朝。時折,水面を静かに漂う水鳥の声が響く・・・】

チェックアウト時間前にもう一度小屋に戻るつもりで,必要なものを持って尾瀬沼の畔へ。この日の朝もたっぷりの朝靄が大江湿原や尾瀬沼を覆っていた。しかも,足下にはうっすらと霜が降りていた。明るくなると急速に薄くなっていってしまう朝靄が,この日は長い時間周囲を漂っていたので,大江湿原もじっくり撮影できた。

30.jpg
【朝靄が急速に流れる浅湖(あざみ)湿原】

しかし,なんといっても燧ヶ岳で空撮をするのが今回の一番の目的だったので,バッテリーを温存するためにも空撮はなるべく控えた。その分このところ空撮ばかりに時間を取られ,じっくり撮影できなかった地上をじっくり撮影した。朝靄が薄くなり,大江湿原に光が射し込み始める頃を見計らってドローンを飛ばす。尾瀬沼の朝靄は岸辺に偏っていたが,朝陽を浴び,普段見慣れた景色をより一層幻想的な光景に変えていた。うっすらと降りた霜が溶けて雫となり,朝日に輝く頃,小屋に戻り出発準備を整えた。

40.jpg
【青空が映えるダケカンバの黄葉】

すっかり朝靄も晴れた初秋の大江湿原を横切り,燧ヶ岳の懐に。長英新道は下山には何度か使ったが,登るのはたぶん2度目。前回は,11月に腰まで埋まる雪の中をラッセルしながら登り,途中で撤退したとき以来だから,多分何十年も前のことである。ここまで前となると登山道の様子等の記憶は全くない。

50.jpg
【燧ヶ岳の山肌の様々な色合いの紅葉も今が見頃です】

尾瀬沼の周囲を歩き回るような,ゆるゆるとした登りが延々と続く。展望も全くない。午後の遅い時間にこの暗い森を歩くのは,ちょっと不安だろうなとは思うが,暑い時期の登山には高低差も少なめだし,日差しを遮ってくれるのはありがたいだろうと思う。距離的にほぼ半分進むと3合目。4・6合目あたりは一部展望がきく。ギラギラする太陽の光を反射して煌めく尾瀬沼。抜けるような青い空を背景にそびえ立つダケカンバも高度を増すと徐々に増えていく。

60.jpg
【ミノブチ岳とその周辺はすっかり秋色に染まっています】

登山道は雨水の通り道になっているが,いくつも階段が設置されていて登りやすい。最後の階段を上りきるとミノブチ岳に到着。ここまで来れば頂上は直ぐそこだ。荷物を下ろし周囲の様子をじっくり撮影する。全く風はなく,絶好の登山日和とあって直ぐそこにある山頂は多くの登山者で賑わっていた。

65.jpg
【御池岳付近の紅葉です】

軽く昼食を済ませて,山頂に向かう。風もなく穏やかな午後の日差しの中,久しぶりの山頂に立ち,ぼんやりと遠くを眺めてると,日光連山やさらに遠方の山々の上空には雲が懸かり,時折その雲がこちらにゆっくりと流れてくる・・・ 状況がどうなるか分からないのでまずは空撮と軽くドローンを飛ばす。

70.jpg
【燧ヶ岳の爆裂火口越しに見る尾瀬沼】

しかし,回収する際,不安定な足場の上でふらつき,機体をつかみ損ない指を3・4本切ってしまった。ドローン本体や周囲に血液が飛び散り悲惨な状況に。取り敢えず止血しようとテーピングして様子を見ることにした。これは帰れと言うことかな・・・と,直ぐに下山も考えたが,徐々に痛みも和らぎ血も止まったので,当初の予定通り山頂でのビバークを決めた。

100.jpg
【紅葉が夕日に染められてより一層鮮やかに輝きます】

やがて,柴安嵓の山頂付近を目がけて,一直線に日が傾いて行くと,太陽の日差しが徐々に温かい色に変わる。相変わらず風もない。この条件で空撮しないわけにはいかない。ただ,朝の撮影をメインに考えていたので正直ここでバッテリーを浪費するのは避けたくて,短い時間だけ空撮を行う。オレンジ色に染まる夕暮れの空に浮かぶ爼嵓と柴安嵓。午後の光を跳ね返して光る池塘の先にはオレンジ色の至仏山が鎮座していた。

110.jpg
【遙か日本海の彼方へと夕陽は沈んでゆきます・・・】

先ほどの衝撃でドローンがどうなったかちょっと心配であったが,問題なく使えたので胸をなで下ろす。ダメなら下山の一択だった。短い時間の撮影だったが念願の燧ヶ岳での空撮ができて大満足。やはり,今までと違うアングルの尾瀬が見られるのは新鮮な感動を呼び起こしてくれる・・・。

120.jpg
【月齢5の月が沈み,天の川がよりはっきりと見えてきました】

*空撮にあたっては,DIPS・FISS・機体登録,関係機関への連絡・調整済みです。
nice!(12)  コメント(0) 

nice! 12

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:[必須]
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。