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梅雨明けの尾瀬を歩く【2】 [尾瀬ケ原]

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【尾瀬沼で見る夏の夕暮れ】

7月19日(月)(晴れ時々曇り)
昨夜は条件が整えば星景写真の撮影をしようと考えたが,目が覚めた時には,龍宮小屋周辺は濃い霧に覆われていてとても無理そうだったので,この日の星の撮影はは諦めて寝不足を解消すべく早々と休んだ。

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【朝靄に包まれた森に朝日が差し込む。光芒が美しい。】

目が覚めた時には,既に日の出時刻を回っていた。必要な荷物だけを持ち,この日はヨッピ橋方面に向かう。気付くと,木道を覆うように伸びた草に付いた朝露が靴やズボンの裾をいつの間にかビショビショに濡らす。ネットで確認すると至仏山頂は既にモルゲンロートに染まっているようだが,尾瀬ヶ原は相変わらず深い朝靄に覆われ,目の前の景色は一向に変わらない。そろそろいいかなと思い,途中からドローンを飛ばす。100mも上げると尾瀬ヶ原に澱んだ朝靄を突き破り,朝陽に染まる燧ヶ岳と至仏山が顔を見せる。モルゲンロートに染まる至仏山に燧ヶ岳の影が重なる。

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【はっきりくっきり完璧な白虹が見れました】

尾瀬ヶ原に朝の光が届くまでにはもう少し時間がかかるので,変化の乏しい上空で暫く撮影を続ける。この時期は,山の鼻やヨシッポリ田代付近が真っ先に,朝陽に照らされるようだ。湿原の様子が変化するまで空撮を一旦休止して,地上の撮影を始める。朝露に濡れるヤマドリゼンマイ。朝靄が激しく蠢く湿原。しっとりとした夏の朝を満喫していると,やがて周囲が明るくなる。そろそろ湿原の朝日が射し込む頃だ。目を凝らすと目の前には大きなアーチが現れ,時間とともによりくっきりとした白虹になっていく。すかさずドローンを上空へ。地上から見た白虹が,上空から見るとドローンの影を中心にした大きな円に変わる。

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【上空から見る白虹の一部】

朝日が当たると朝靄が激しく動き,その分布の濃いところと薄いところが出来る。その朝靄の薄いところを通して朝陽を反射して眩しく輝く池塘が見える。この時間帯しか見れない光景を心ゆくまで撮影してドローンを戻す。所々朝靄が残る朝の湿原を横目で見ながら急いで小屋に戻る。
朝食や出発準備を済ませてゆったりと朝のコーヒーを頂く。深い朝靄や完璧な白虹を撮影できて,今日やるべきことはほとんど済ませた気分である。あとは気儘に尾瀬沼に向かうのみ。

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【朝のドラマの終焉。これからが暑さの本番です】

弥四郎清水で冷たい水を補給して見晴で情報収集。尾瀬ヶ原を後にして段小屋坂を登る。まだ10時だというのに既に蒸し暑い。イヨドマリ沢や谷筋を歩く時には,冷気が澱んでいるためホッとする。重い荷物と腰の痛みを堪えながら白砂峠を越え,尾瀬沼へ。

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【白砂湿原・盛夏】

沼尻の休憩所もトイレも今シーズンは開いていないが,休憩所周辺ではたくさんの人が休んでいた。ここで昼食休憩と空撮をするために大休止していたが,この日も遠くで雷の音が聞こえ出し,急速に雲が広がる展開に。

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【沼尻付近には藻がびっしり覆い尽くし,不思議な色彩を放っている】

急いで昼食を済ませた後は,空撮を取りやめて長蔵小屋に向かう。
昔から「コバイケイソウの当たり年はキスゲ等の花が不作」と言われていたし,SNSの情報でも今年のキスゲはそれほど良くはなさそうだったが,それは間違いではなかった。時期的にはちょうど見頃なんだけどなぁ・・・

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【空高く伸びていた入道雲も夕陽に染まる】

受付を済ませ,部屋で寛いでいると予想通り雨が降り出した。入浴後食事を済ませて尾瀬沼の畔でのんびりする。燧ヶ岳上空に現れた入道雲が夕陽に染まり美味しそうな綿菓子のようだ。昨日のような派手な夕焼けにはならなかったが,徐々に暮れていく尾瀬沼の夕暮れを暗くなるまで楽しんだ。

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【一番大きな入道雲が燧ヶ岳山頂にかかり夕陽に染まっていた】

*空撮にあたっては,DIPS・FISS登録,関係機関への連絡・調整済みです。
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