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■梅雨の晴れ間の尾瀬を歩く[2] [尾瀬ケ原]

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【この日見たかった花キヌガサソウ。尾瀬でも見られる場所はかなり限られる】

□6月14日(火)曇り 28387歩

 夜間に目が覚め星を確認するのは恒例になっているが,どんよりとした雲に覆われた空を確認し,部屋に戻ってウトウトする。
それでも,日の出前には目を覚ます。雨でも降らない限り,何があるか分からない尾瀬なので,4時30分には,最小限の撮影機材を持って龍宮十字路のベンチに向かうと,既に花見さんが三脚を立てて撮影中であった。(^^ゞ

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【ミネザクラ。6月に花見が出来るのは尾瀬ならでは・・・ 贅沢~】

 朝靄も風もない穏やかな朝。遠くでカッコウやカエルの音がこだまする。燧ヶ岳の北の空が明るかったので,ものは試しとドローンを使って上空から眺めてみたが,尾瀬の光景が劇的に変わるような状況ではなく,少しだけ動画を記録するだけにとどめた。

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【咲いたばかりのサンカヨウ・・・ 葉も十分開ききっていません】

 小屋に戻ると,温かい朝食が待っていた。食事を済ませて,荷物を整理してからそれぞれのルートで下山することにした。私は,荷物が負担になるので,リュックを龍宮小屋に預けてカメラだけを持って見晴へと向かった。その理由は,キヌガサソウが見たかったから。咲く時期はもちろん,場所もかなり限定的なためここ暫くこの花の良い時に出会えていない。植え込みにあると言うが,それでも十分,十分。

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【こちらも生まれたてのヤマドリゼンマイ。 あっという間に成長する姿に生命力を感じます。】

 行ってみると,ありました。ちょうど見頃の可憐な花が・・・。他にもサンカヨウなどもあったが,驚いたことに半分以上がシカに食べられていて,茎だけが無残に取り残されていた。こんな所まで奴らは来るのか・・・。じっくり撮影を済ませ,東電小屋に向かった。東電尾瀬橋の先のヨシッポリ田代のミズバショウは既に見頃も過ぎ,葉がかなり大きくなっていた。東電小屋ではイワツバメが元気に飛び交い巣作りに励んでいた。

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【ミツガシワの花 中央にたくさんついた縮毛が印象的です。】

身軽なので,足取りも軽い。あっという間に龍宮小屋に戻り,山の鼻に向かう。山の鼻では,尾瀬学校の児童や生徒が多数訪れ,かなり賑わっていた。その中に神崎さんや安類さんの姿があった・・・ 二人とも今日も仕事のようで忙しそうだった。ちょっとだけ挨拶をしてから,鳩待峠に向かうと,峠に着く頃には今までの天気が嘘のように空気がヒンヤリしてきて,みるみるうちに霧に覆われた。真っ白になった鳩待峠でぼんやりと時間を過ごして帰宅した。

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【リュウキンカ。今回は山の鼻地区でたくさんのリュウキンカが見れました。】

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【タテヤマリンドウ。 雨は降らない明るい一日だったので徐々に開いてきました。】

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【サンカヨウ。 雨に濡れると透き通る綺麗な花です。】

***** 今回の日記については,一部を割愛して公開しています・・・ *****
*空撮にあたっては,DIPS・FISS・機体登録,関係機関への連絡・調整済みです。
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梅雨の晴れ間の尾瀬を歩く[1] [尾瀬ケ原]

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【今年の山の鼻のミズバショウは,例年と比べても凄い密集度らしい・・・】

***** 今回の日記については,都合により,一部を割愛して公開します・・・ *****

■梅雨の晴れ間の尾瀬を歩く[1]
□6月13日(月)曇り時々晴れ 26774歩

 拙著「尾瀬夢幻 ~水が織りなす美しき世界~」の出版祝いを尾瀬ですることになり,尾瀬に向かった。
 例年よりも早く梅雨入りしてしまったので天気は期待できないと思っていたのだが,傘のマークがずらりと並ぶ天気予報の中に,ぽつんと晴れの予報が紛れ込んでいた。「雨に降られなければいいかな」ぐらいに思っていたので,心が躍った。それならばと,家を少し早めの5時に出て,鳩待峠に着いたのは8時30分。

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【水たまりに映る青い空と湿原の芽吹きに季節の移ろいを感じます】

平日だというのにかなりの人出である。ずっと雨が続いていたし,ミズバショウも終盤を迎えていたので,天気のいいこの日に集中したのか,県民割による旅行代金補助制度の延長と拡大もこの人出に貢献したのか,いずれにしても,ここまで混雑してしまうとコロナ禍で静かだった尾瀬が妙に遠い前の出来事のように感じる。

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【やっと至仏山付近の雲がとれたので,ここまで引き返しました】

 鳩待峠で出会った花見さんの後を追うように,山の鼻に向けて出発した。登山道の雪は全くないが,ここ数日の雨で木道はしっとりしているので注意しながら歩き始めた。濡れた木道はよく滑る。登山道脇に顔を見せ始めたオオバキスミレ,イワナシ,サンカヨウ,ミヤマエンレイソウ等の花を見つけながらゆっくりと下り始めた。しかし,梅雨の晴れ間もそう長くは続かないようなので,貴重な時間を無駄にできないと思うと,のんびりもできない。約一時間程度で山の鼻に着いた。

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【周囲の森は,3週間前よりも明るくしっかりとした若葉に包まれていました】

 研究見本園のミズバショウを撮影するために,空いているベンチに荷物を下ろし,身軽になってから園内に・・・。ぐるりと園内を一周して,上田代へ。
時折,陽は射すものの,薄い雲が広がって中々青い空が広がらない。至仏山や燧ヶ岳の山頂周辺も雲が行き交いスッキリしなかったが少しずつ雲がとれてきたので,牛首付近のベンチで荷物を置いて,休憩。ドローンでの撮影を開始。

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【茶色から緑色に模様替えが進む尾瀬ヶ原(空撮)】

 空撮を済ませた頃から,急速に天候が回復してきて,影もはっきりしてきた。この状況は明日はもう見れないと思い,上田代に引き返した。湿原内のあちこちにまだある水たまりや池塘に映り込むのが青い空か黒い雲かでは,雲泥の差なのは明らかだ。さざ波がたつ池塘に,青い空を背景に聳える至仏山が映る。湿原内を見渡すと昨年の茶色になった枯草の間からたくさんの芽吹きが始まり,茶色から薄緑色に湿原の模様替えが始まっていた。

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【湿原のあちこちで芽吹きが始まっていました】

 そんな様子を撮影しながら,また同じ道を戻る。3週間前に来た時には,まだ,芽吹きが始まったばかりの淡い緑色の周囲の森も,光り輝くスッキリとした若葉に覆われていた。湿原では,タテヤマリンドウ,ヒメシャクナゲも咲き出している。ワタスゲも果穂が大きくなってきたが,その数は少ないようだ。心地良い風に吹かれながら,ヨッピ橋付近まで歩く。

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【ヤマドリゼンマイの芽吹きには生命力を感じます】

 龍宮十字路に着く頃には16時になっていた。龍宮小屋で受付を済ませ,まずは時間のかかるドローンのバッテリーの充電を始める。小屋主さんと暫く話をしてから,完全に日が落ちてしまう前に空撮をしておきたくて,十字路に戻りドローンを飛ばす。

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【雲の隙間から漏れた光が,零れて龍宮付近を照らします】

 この頃には,黒く低い雲が優勢になり,空の大部分を占めていたから,明日の天候は,ほとんど期待できない。上空から雲の隙間から漏れる光が池塘を照らし,池塘だけを浮かび上がらせる印象的な光景を見せていた。飛行を終わらせる頃には夕食の時間になっていたので,小屋に戻って夕食をとることにした。

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【夕暮れの龍宮十字路から・・・】

 情報交換後,消灯時間になったので,部屋に戻りすぐに休んだ。今夜の星の撮影は全く期待できないので,今晩は起きる必要もないだろう。

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【夕暮れ迫る尾瀬ヶ原(空撮)】
*空撮にあたっては,DIPS・FISS・機体登録,関係機関への連絡・調整済みです。

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尾瀬逍遥 2022 ② [尾瀬ケ原]

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【朝靄のフィルター通しに見る尾瀬の朝】

■残雪と新緑と青空と[2]
□5月25日(水)晴れのちくもり
朝靄に包まれていたため,星の撮影を断念して小屋に戻って横になっていたら,少しうとうとしてしまい気が付くと4時30分を少し回っていた。窓から外を見ると,相変わらず外は一面の朝靄に包まれ,辺りは真っ白だ。晴れているのか,曇っているのか・・・

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【しっとりとした朝に出あうと,尾瀬にいることを実感する】

ライブカメラを確認すると,上空は雲一つ無い青空が広がり,至仏山はモルゲンロートに赤く染まっていた。必要最小限の荷物だけを持って龍宮十字路のベンチへ。急ぎ,ドローンを飛ばすと数秒で朝靄の上に出た。上田代付近はやや朝靄が薄いものの尾瀬ヶ原全体が真っ白な朝靄に覆われている。この時期,尾瀬ヶ原で一番先に太陽の光が届くのが上田代。この付近から朝靄のベールがだんだん薄くなり,それが尾瀬ヶ原全体へと一気に広がる。

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【朝靄の尾瀬ヶ原】

朝陽に染められたオレンジ色のベール越しに残雪を残す池塘が見える。朝陽に照らされて輝く水面が見える。あらゆるものが朝靄に包まれ幻想的に,ドラマチックにうごめく。その光がドローンのいる高さまで届いた時に太陽を背にすると,朝靄の上にドローンを中心とした小さな円と大きな円が描かれる。地上では条件が整えば白い虹が見えていることだろう・・・。

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【地上から見る白い虹】

朝靄でセンサーが効かなかったり,水滴で濡れてしまって動作不良を起こしかねないので,朝靄の影響をなるべく避けながら慎重に飛行させる。パノラマ撮影には時間がかかるので,この間を利用して,慌ただしく地上での撮影も行う。原一面を覆っていた朝靄が晴れる頃,ちょうどバッテリーも予定していた数を取り終えたので空撮を切り上げて,小屋に戻る。

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【上空から見る完璧な白い虹】

朝弁当をお願いしてそのまま下山するのが手っ取り早いが,撮影終了後の小屋に戻ってゆっくり食べる温かい食事の誘惑にはかなわない。朝食後のまったりした時間も捨て難く,冷たい朝弁当には中々戻れない。ただ,この時期は日の出が早いので助かるが,やがて食事時間と日の出が重なるようになると,撮影が長引き,小屋の方に迷惑を掛けてしまうため,この点についてはいつも心苦しく思っている。

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【朝陽射す】

暫く,小屋主さんと雑談した後は小屋を後にしてヨッピ経由で下山する。見晴まで行ってぐるりと尾瀬ヶ原を回ろうかとも思ったが,まだ体調は完璧とは言えないし,午後からは天気が崩れそうなので,今回は無理をせずに直ぐに下山することにした。
朝一番には,風も全くない完璧な青空が広がっていたが,午後から崩れるとの予報通り,少しずつ雲が増えていった。写真を撮る上で,雲は全くないよりも,綿飴のような雲が飛んだり跳ねたりしてくれた方が寧ろありがたい。

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【根明けと新緑の尾瀬の森】

雪溶け水で水かさを増した池塘や大雨で氾濫したヨッピ川の水が湿原に溢れてできた大きな池に白い雲が写り,宛ら天空の湖を思わせる光景も。山の鼻に戻る頃には,かなり雲行きが怪しくなってきた。最後に,もう一度山の鼻の見本園でアカシボの写真を撮ろうと立ち寄ったが,初日の残雪の白さを残す赤シボでは無く,赤茶けた残雪だけが僅かに残る風景に変わっていた。特にこの時期の雪溶けは予想以上に早く,尾瀬の風景も急速に変わってしまうのだと改めて実感した。

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【あちこちに水が溢れ,天空の鏡とも言うべき光景が広がる】

この日は,校外学習で何処かの高校生と思われる生徒が何人か訪れ,昨日よりは賑わっていたが,行き交う人もそれほど多くはなく,静かな尾瀬歩きが楽しめた。
小鳥の声が響く森を雨に降られることも無く,ゆっくりとしたペースで登り切り家路についた。

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【終わりかけた「尾瀬ヶ原湖」も,雨が降って少し復活した】

◆空撮にあたっては,DIPS・FISS・機体登録,関係機関への連絡・調整済みです。

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