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■いきなり晩秋,そして初冬へ[3] [尾瀬ケ原]

□10月22日(土)くもり
天気予報では午前中から徐々に天気が悪くなる予報だったが,それが前倒しになったようで,日の出の時刻になっても朝靄に覆われることも空が焼けることもなく,穏やかな朝が訪れた。静かな尾瀬沼の畔でたくさんの水鳥がせわしく餌を啄んでいた。長蔵小屋の周辺や大江湿原をゆるゆると散歩して,小屋に戻って朝弁当を食べる。

このところ朝弁当にすると決まって天候が崩れる。寧ろ,普通に朝食を頼んでおいた方が,撮影の好条件に恵まれるという皮肉な結果になっている。もっとも,スマホが使えない状況で好条件に巡り会ったとしても,肝心の空撮ができずにがっかりするのは目に見えていたのだが・・・。

太郎さんや小林さんに今シーズンの御礼を言って,小屋を後にする。今日は尾瀬を堪能できる最後の週末とあって,沼山峠からはたくさんの人が次々に押し寄せる。その中にKさんもいて,久しぶりに談笑することが出来た。沼山峠に着く頃には,少し日差しも出てきたが,低い雲が優勢で条件的には余り良くない。

しかし,当初の予定であった尾瀬の滝巡り4つめの滝「抱返の滝」を見るために,沼山峠休憩所脇の道を下る。実はこの滝を見ることも,このルートを歩くことも初めてである。地図では沼山峠休憩所から僅か25分程度と書いてあったが,高低差は200m以上はあった。

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【初めて見る抱返の滝】


道標が出てきたのでその方向に進むと直ぐ目の前に大きな岩盤を這うように流れる抱返の滝があった。水量は思ったよりも少なめだが,間近に見る滝は紅葉の森に見守られて静かに流れ落ちていた。もっと水量の多い時期にも見てみたいものだ。

見たかった滝を見ることができたので,七入には向かわず踵を返す。人通りのほとんどない寂しい道だが,古い木道や階段などが所々にあり,歴史とどこか懐かしさを感じさせる登山道は,帰りには登りがきついと感じる場所も一部あったが,沼山峠のこんな近くにこのような場所があるならもっとアピールしてもいいのでは・・・と思った。

シャトルバスに乗り込み御池に戻り,車で5つめの滝「モーカケの滝」に向かい,車に置き忘れた予備のiPhone7を使って空撮をすると,展望台からは見れないモーカケの滝の全容をはっきりと捉えることが出来た。周囲の紅葉と相まってこの滝の美しさを再認識した。6つめの滝として「竜ノ門の滝」の撮影も考えたが,現在は展望台への道が通行止めとなっているので断念せざるを得なかった。
*空撮にあたって,DIPS・FISS・機体登録,関係機関への連絡・調整済みです。

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【上空から見るモーカケの滝】

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■いきなり晩秋,そして初冬へ[2] [尾瀬ケ原]

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【真っ白な霜が降りた湿原に朝の光が舞い降りる】

□10月21日(金)快晴
雲も夕焼けも一切なく満天の星空が輝く尾瀬ヶ原。寝る前にちょっと湿原に様子を見に行くと,かなり冷え込み,湿原には既に少し霜が降りていた。明日は期待できそうだ。この時期になると撮影で忙しくなる日の出の時間帯は午前6時前後。その1時間ぐらい前からガサゴソと動き回る人の物音で目が覚め,ぼんやりした頭で少しずつ撮影の準備を進める。今回に関しては晴れを疑う余地は全くなく,期待していた霜がどれくらい降りているかが気になる・・・。

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【大霜の朝は空気が冷えすぎるため朝靄は出ないことが多いがこの日は違った】

恐る恐る確認すると,湿原は期待以上に真っ白だ。近くのダケカンバやカラマツの先端まで真っ白だ。大霜であることは間違いなかった・・・。心躍らせながら,滑り止めを装着して薄暗い湿原に。頭上にあった満天の星は数を減らし,下弦の三日月が輝く。行き先をシカ柵を撤去した下の大堀にするか,ヨッピ橋方面にするか決めていなかったが,湿原を見るとヨッピ橋の方に朝靄が漂っていたので,それに吸い寄せられるように足が自然とそちらに向かう。

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【枯れて寂しげだった湿原が一気に華やぐ瞬間】

時間とともに今回の大霜の全容がはっきりしてきた。ここ数年見ていないくらいのレベルの大霜である。何処にカメラを向けても絵にはなるが,どんなふうに切り取ったら良いものやら・・・。大霜の日は相当冷えるので朝靄はそれほど出ないのだが,今回は例外的に朝靄も出ている。

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【湿原だけでなく,周囲の木々もj霧氷が付いて真っ白になっていた】

まずは,その朝靄が消えてしまわないうちに何とかしようとドローンを離陸させる。湿原,拠水林など辺り一面真っ白だ。しかも,朝靄がより一層幻想的な雰囲気を醸し出している。一通り写真撮影,ビデオ撮影を済ませていったん着陸させ,スマホ,デジカメ,デジイチで忙しく周囲の様子を撮影する。

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【朝陽を浴びて,大霜が一斉に煌めき出します】

気温-6℃。漸く朝日が湿原を照らす時間帯になる。朝陽を浴びて輝く大霜は最強だ。空撮を始めると地上の撮影が出来ないので,この時とばかりに夢中でカメラであちこちを撮影しまくる。その時間が長すぎたのかいざ空撮を再開しようとした時,事件は起こった。空撮になくてはならないスマホが真っ暗な画面のまま全く反応しなくなったのだ。以前尾瀬仲間からも聞いていたので,冷えすぎてバッテリー保護機能が働いたのだと直ぐにピンときた。暖めれば元に戻るだろうとたかをくくりポケットにスマホを入れ回復するのを待ったが結局,家に戻るまでスマホが復活することはなかった。(>_<)

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【紅葉と大霜が同居する晩秋の龍宮小屋】

空撮は諦めざるを得ず,仕方なくデジカメやデジイチでの撮影を続ける。しかし,今日一番の撮影チャンス時に空撮できないとは何とも無念だった。悔やんでも悔やみきれない。いつもなら予備に持っていたスマホを忘れたのも気の緩み・・・。大いに反省させられた。

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【湿原に鏤められた宝石の数々】

まだ大霜の光景は広がっていたが,気落ちしていつもよりも早めに小屋に戻り朝食をとる。ロビーで出発前に小屋主さんと話していたら,あちこちに撮影に出かけていた知り合いが次々と戻って来た。大霜を撮影できて満足そうな顔が並ぶ・・・。空撮は出来なかったが,大霜の撮影は出来たのだから,次にかけようと気を取り直して小屋を出た。

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【カラマツもそろそろ見頃となった長蔵小屋付近】

この後は,時間とともに増す膝と足首の痛みが心配だが,段小屋坂を経由して尾瀬沼に向かう。見晴の山小屋も開いているのは少数派になり,晩秋の段小屋坂を行き来する登山者もほんの僅か。より一層寂しさが漂う晩秋の雰囲気いっぱいの道を足を庇いながら時間をかけて尾瀬沼に到着。早々に長蔵小屋にチェックインして寛ぐ。いつもなら空撮に時間を取られるが,それがないとなると手持ち無沙汰だ。少し休んだら膝の痛みも和らいだので,デジカメだけ抱えて大江湿原や小屋の周囲でスナップ撮影。夕食の時間を待って今年最後の尾瀬の山小屋での夕食を味わって,この日も早々に休んだ。
*空撮にあたって,DIPS・FISS・機体登録,関係機関への連絡・調整済み。

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■いきなり晩秋,そして初冬へ[1] [裏燧・澁沢]

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【辛うじて間に合ったが,御池田代の紅葉も終盤】

□10月20日(木)快晴
間もなく開催される写真展に向け,10月だけで3度目となる予約を入れたが,10日前にも出かけていたので今回は天候が悪ければ無理に行かなくても良いかなと思っていた。しかし,完璧な晴れの予想に行かないわけにはいかない。

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【登山道に散り敷いた落ち葉もまた綺麗でした】

コロナの影響なのか,どの山小屋も小屋締めの日が例年よりも早い。先週末,尾瀬は紅葉シーズン真っ只中で多くの登山者で賑わっていたのに,もう今週末には尾瀬の山小屋のほとんどが,全ての営業を終える。せめてその前に,最後に山小屋を宿泊してゆっくり尾瀬を撮影しようと考えた。紅葉の名残や,初霜・初氷・初雪など初冬の贈り物を期待して入山するコアな尾瀬マニアも多く,知り合いに出会うチャンスも多いのでそれも楽しみだ。

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【燧ヶ岳・至仏山と燧裏林道の傾斜湿原 上田代,横田代(空撮)】

今年は紅葉の見頃が遅れ,先週末が尾瀬ヶ原周辺の紅葉のピークだったと聞く。それから,僅か4日ほどしか経っていないから,場所によっては紅葉が綺麗なところもあるに違いない。できたら,その紅葉を絡めて尾瀬の滝を撮影しようとの思いを強くした。

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【渋沢の大滝(空撮)】

ブナ林の紅葉が美しいルートを快適にドライブしながら御池から入山した。駐車場が平日ということもあり,それほど混雑していない。御池田代や姫田代の紅葉はすっかり赤茶色に変色していて,時期的には見頃は完全に過ぎていたが,赤茶系の色とりどりの山々もまた味わい深いものがある。ひとたび森に入ると,遅れて黄色く染まったブナやミズナラがあちこちで出迎えてくれた。しかし,ほとんどの紅葉は落葉し,登山道を埋め尽くしていた。この落ち葉をガサゴソとかき分け,踏みしめながら歩くのはいかにも晩秋の山歩きといった感じである。反面,岩や登山道が見えにくく転んだり,滑ったりする危険性もあり,いつもよりも時間がかかる。また,この朝は相当霜が降りたらしく,午前10時頃になっても日陰の木道には霜が溶けずに残っていて,極めて危険な状態だった。

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【紅葉のトンネルの中を歩いていると,身も心も清められていくような爽快感を覚える】

高い頻度で入山しているので,山歩きの持久力は復活したが,逆に下山時に痛めた膝や足首が回復する暇もなく,それを庇ってゆるゆると歩いて渋沢の大橋へ。そこから渋沢の大滝の空撮を試みる。滝は山間の電波の届きにくい場所にあるため思うように撮影できないが,何とか撮影し三条の滝へ。

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【錦秋の三条の滝(空撮)】

燧裏林道の醍醐味は,途中のブナ林の紅葉である。今年は時期的に遅すぎたが,この赤茶けたブナの紅葉のドームの中を歩く気分は何物にも代えがたい。所々に見られる透過光越しの鮮やかな紅葉もまた美しい。兎田代過ぎ,急峻な道を下り,三条の滝展望台に着くが既に閉鎖中だった。仕方なく,ドローンを飛ばして滝の様子を撮影する。モニタ越しに見る三条の滝は,一時よりもその水量は減ったものの爆音とともに激しく水飛沫をあげていた。

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【激しく流れ落ちる三条の滝(空撮)】

さらに,平滑の滝を空撮する時間帯には,滝を取り囲む両岸の崖の影が滝や只見川に影を落としていた。もう少し早い時間に撮影しなくてはいけないようだ。平滑の滝の撮影を済ませ,赤田代に到着すると,かなり日も傾き,誰もいなくなり物寂しげな元湯山荘や温泉小屋の傍で,夕陽を浴びたススキが風に揺れて綺麗だった。

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【静かに岩肌を流れ落ちる平滑の滝(空撮)】

見晴経由で龍宮小屋に着く頃にはかなり遅くなっていた。小屋では,FBやブログで知り合いの方々や暫く会っていなかったKさんにも会うことができて,久しぶりに談笑した。その日の夜は霧も雲もない完璧な満天の星空だったが,前々回イヤと言うほど撮影したので,今回は星空の撮影は見送りしっかりと寝ることにした。(^^ゞ
*空撮にあたって,DIPS・FISS・機体登録,関係機関への連絡・調整済み。

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【夕陽に輝くススキ原】
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